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自作の準備

 パソコンの販売形態

 パソコンは、電機屋さんや専門店、インターネット販売など様々な所で売っています。 パソコンの販売形態は、次のように分類できます。

・ メーカー製
 メーカー製のパソコンは、電機屋さんでコーナーを設けて販売しています。 OS はWindows が標準でインストールされていて、Microsoft Office や色々なソフトが付属しています。 デジカメやプリンタ、ブロードバンド契約とセット販売になっている事も多いようです。 メーカー製のパソコンは、説明書の通りにマウスやキーボード、ディスプレイを接続して電源を入れれば確実に動き、これがメーカー製パソコンの最大の利点であり、ユーザー向けのマニュアルやサポートが充実しています。 メーカー製は、上記の販売形態の中でも価格は高いですが、OS が予めインストールされていて、様々なソフトが付属してくる事、製品であるために保障やサポートもしっかりしている事が特徴的です。 最近のメーカー製パソコンは、マルチメディア機能が充実している製品が多く見受けられます。 例えば、DVI 形式の高画質ディスプレイ、ウーファーサウンド付きディスプレイ、TV チューナー、ワイヤレスキーボード・マウスなどが付属している事が多いようです。 メーカー製パソコンは、基本的にはユーザーがパーツを増設したり交換したりする事を想定せずに設計されていています。
・ ショップブランド
 ショップブランドとは、オリジナルブランドやオリジナルパソコンなどとも呼ばれ、パソコン販売店やパーツショップなど店舗独自のパソコンを示します。 セット販売用パーツを組み立てて販売しているものや、適度な価格、性能になるように店舗で組み立てて販売しているものがあります。 メーカー製に比べてかなり安価で購入できます。
・ BTO
 BTO は、購入者がパーツを選んで組み合わせて注文し、それに合わせてメーカー(マウスコンピュータ、DELLなど)が組み立てて販売します。 ユーザは、メーカー側が提供している範囲で自由にパーツを組み合わせる事ができ、実際に組み立てる作業はメーカー側が行います。 自分の用途に合わせてパソコンの性能を決める事ができるので、メーカー製パソコンよりも無駄が少なくなります。 パーツの交換や拡張性もメーカー製パソコンより良いですが、自作には適いません。 また、OS はオプションでインストールされる事がほとんどですが、メーカー製パソコンの様な付属ソフトは標準ではありません。 ショップブランドはパーツの知識がなくても買えますが、BTO はパーツを選ぶため、幾分か知識が必要です。 最近は、ショップブランドとBTO の両方を兼ねている業者が多くあります。 BTO は低価格化が進み、購入しやすい価格でパソコンが販売されています。
・ 自作キット
 自作キットは、ショップが自作に必要なパーツを一通り揃えてセットにして販売しているものです。 組み合わせが数通り用意されていて、組み立てるのは自分か、もしくは有料で組み立ててくれる所もあります。 BTO と似ていますが、パーツを自分で選ぶ必要が無く、組み立てる工賃が削減されています。 同じパーツをバラバラに購入して揃えるのと、価格面ではそれほど大きく変わりません。 後からパーツを交換する事も自由にでき、自作初心者にとってはやさしいものになります。 最近は、ベアボーンキットなどが人気があります。
・ 自作
 自作パソコンは、一言で言うならば「自由」です。 自分の思うままにパソコンを作る事ができます。 組み立てるまでのコストは幅広く、性能を保ちつつコストを最小限に抑えることもでき、いくらでもお金をかけて高性能なパソコンを組み立てる事もできます。 一部のパーツが壊れたのであれば、その部分だけを交換することもできます。 必要な部分だけ、より良い性能のパーツに交換することもできます。

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 自作のメリットとデメリット

 自作パソコンには、メリットとデメリットがあります。 自作を始める前に、これらについてよく考える事が大切です。 以下に、メリットとデメリットをいくつか挙げます。

  メリット
  • 自由にパソコンの性能や価格を決められる
  • 知識や技術が身につく
  • おもしろい
  デメリット
  • すべての責任は自分にある
  • ある程度の知識を要する
  • ソフトウェアに費用がかかる場合がある

 パソコンを自作する上で、必ずしも高度な知識が必要という訳ではありません。 誰もが初めは自作初心者であり、高度な知識を持っている訳ではないからです。 高度な知識よりも必要なのは、「自己責任」です。 自分でパーツを購入して組み立てて、電源を入れてみると・・・動かない、だからと言ってパーツを購入した店に責任を押し付ける事はできません。 当サイトも含め、Web サイトや書籍の通りにやったのにダメだった、からと言って責任を押し付ける事もできません。 こうした自己責任が、自作において最も大きなリスクです。

 自作パソコンでは、OS やソフトも自分で別途用意しなくてはなりません。 Windows OS やMicrosoft Office は非常に高価です(Linux やBSD 、OpenOffice はフリーです)。 どんなにハードウェアが安く組み立てられても、WindowsOS やMicrosoft Office を購入すればプラス7〜8万円かかります。 組み立てる前には、これらの必要なソフトの見通しも重要です。 デスクトップ環境でフリーのLinux OS、OpenOffice を利用する場合や、Linux サーバ機を組み立てる場合には、ソフトウェアの問題は関係ありません。

 パソコンを自作をする上では、様々な問題に直面します。 中には初心者では到底解決できないような問題もあります。 しかし、自作の世界は自己責任です。 自分で情報収集して、自分で解決する事が求められます。 近くに詳しい人がいればラッキーですが、そうで無い場合がほとんどです。 自作の良書がたくさんあります、インターネット上にたくさんの情報があります。 中には親切にアドバイスをくれる人もいるでしょうし、そうで無い人もいます。 この世界に踏み込むには、結構な覚悟がいる事だと思います。 しかし、様々な問題に直面する事で、パソコンについての知識を広げる事ができるのは大きなメリットです。 自作の世界はリスクを跳ね除けるだけの魅力があり、ユーザを満足させてくれるものです。

 では、自作パソコンが価格面で得かどうかを考えてみます。 パソコンの価格を大きく左右するのが、ソフトウェアです。 ソフトウェアの中でも重要なのが、Windows などのOS と、Microsoft Office のようなオフィスソフトです。 OS に関しては、WindowsXP Pro ならば3万円くらい、Microsoft Office であれば3万〜5万円します。 ハードウェアに加えて、これらのコストが上乗せされます。

 電機屋さんで売っているような、OS とOffice がインストールされ、液晶ディスプレイが付属しているメーカー製パソコンを基準に考えて見ます。 メーカー製のパソコンは、概ね18万円〜22万円前後で販売されていて、最新のものから一歩〜2歩下がった位置のパーツが使用されている事がほとんどです。 CPU やメモリに関しても、Pentium4 ではなくCeleron を使用したり、1GB メモリではなく512MB メモリを使用するなどして、コストをそれなりに下げています。 例として、折込広告に載っているような、19万円のメーカー製パソコンを基準にします。 ここから、WindowsXP とMicrosoft Office がインストールされている分を差し引きます。 WindowsXP(メーカー製はHome Edition が多い)を2万5千円、Office (メーカー製はWord とExel くらいしか入っていない)を3万円として差し引くと、14万円になります。 さらに、製品によって幅がありますが、付属ソフト代を1万5千円と仮定して差し引くと、12万円になります。 この12万円を、メーカー製パソコンのハードウェア価格と仮定します。

 一方、必要なハードウェアとソフトウェアを一式準備して自作するとどうなるでしょうか? 先ほどのメーカー製パソコンで仮定した価格12万円を下回るコストで自作できれば、得な気がします。 つまり、パソコンパーツを12万円以下で構成すれば、OS とオフィスを購入してもメーカー製より安くなります。 問題は、12万円以下で同じくらいの性能を実現できるかと言う点と、環境設定やアフターサポートなどの有無です。 性能に関しては、12万円あればメーカー製パソコンの本体と同じくらいのものを構成する事は十分可能です。 但し、環境設定はすべて自分で行わなければならず、動作保証はありません。 結論として、メーカー製パソコンと自作パソコンをトータルコストの面で考えた場合、それほど差異はありません。 場合によっては自作の方が高くつく場合もあります。

 さて、今度は必要なハードウェアやソフトウェアがある程度揃っている場合についてはどうでしょうか? 例えば、自作は2台目でWindows OS やOffice は既に持っている、あるいはLinux を使用するからWindows OS やMS-Office は不要という場合には、かなりのコストダウンが期待できます。 Windows OS やMS-Office は合計で6万円以上もするので、この分安くなります。 2台目以降の自作では、必要なソフトウェアや知識がある程度揃っている事が多く、メーカー製パソコンに比べれば圧倒的に優位と言えます。 また、高価なソフトウェアを必要としないLinux サーバ機を自作する事は、コスト・性能面から見て良い選択と言えます。


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 自作の流れ

 パソコンを自作する流れは以下のようになります。

@ 計画
どのようなスペック(仕様・性能)のパソコンにするかを計画します。 自分の用途に合わせたスペックや予算などを考えます。
A パーツの選定・購入
計画に沿って各パーツの選定を行い、購入します。
B 組み立て
購入したパーツを組み立てます。
C BIOS の設定
BIOS の設定を行い、各ドライブやメモリなどの認識などを行います。
D OS のインストール
パーティションの設定や、OS のインストールを行います。
E 各種ドライバのインストール
ビデオカードなどのドライバをインストールします。
F 環境設定
自分の好きなように環境設定やソフトをインストールします。

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 自作の計画

 自作の計画は非常に重要です。 使用目的に合わせたスペックを考えます。 例えば、ネットゲームを快適にプレイしたいのであれば、相応のビデオカードが必要になります。 個人でWeb サーバを公開するのであれば、Pentium 4ほど高パフォーマンス・高消費電力のCPU も使いたくはないと思います。

 計画する上では、今後の拡張性も考慮した方が良いです。 例えば、将来的にTV 録画をしたいのであれば、拡張スロットに余裕を持たせた方が良いと考えられ、相応のマザーボードを選択しなければなりません。 ミニD-sub15とDVI の両方に対応したモニタを購入して汎用性を持たせる事も良いと思います。

 予算面での計画も大切です。 自作の場合には、OS やOffice の代金が別途発生するので、これも含めた検討が必要です。 予算をある程度決めてから、パーツを予算内で収まるように選ぶ方が良いです。


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 パーツの選定

 計画したスペックと予算を目安にパーツの選定を行います。 ある程度の知識も必要になるので、各パーツに関する事前調査もしておきます。 以下に、自作パソコンに必要なパーツの相関図を示します(変な箇所があればご一報下さい、修正します)。 矢印は、「○○が決まれば → XXXXが決まる」と読み替えてください。

PCパーツ

 例えば、上図においてマザーボードを中心に考えてみます。 購入するマザーボードを決定したとすると、マザーボード(チップセット)によって使用可能なメモリ、ハードディスクなどが決定します。 ソケットによってCPU も決定し、マザーボードの大きさでケースも決定します。

 PC ケースを先に決定した場合には、ケースに収められるマザーボードを選択しなければなりません。 ハードディスクやドライブを格納できる数は、ケースのベイ数に制限されます。 ケースファンも、ケースに取り付けられる大きさにしなければなりません。 また、CPU を先に決定すると、そのCPU をのせる事ができるマザーボードを決定しなければなりません。 CPU が決まれば、CPU の冷却パーツも決定します。

 以上のように、あるパーツを決めると他のパーツが自動的に制限される場合が多く、特にマザーボードは大きな影響力を持つので、慎重に選択しなければなりません。 パーツを選ぶ際には、計画に沿いながらパーツ間での制限をうまく考慮する必要があります。


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 パーツの購入

 パーツを購入するには、2つの方法があります。 これらのメリット・デメリットをまとめました。

・ 通販のメリット
  • 店頭より在庫切れが少ない
  • 店頭までの移動費、移動時間がない
・ 通販のデメリット
  • 送料・手数料などがかかる
  • 不良品だった場合に返品が面倒
・ 店頭のメリット
  • 店員に相談できる
  • 現物を見てから買える
  • 通販より保障がしっかりしている
・ 店頭のデメリット
  • 品薄の場合がある
  • 店頭までの移動費、移動時間がかかる

 通販で一式揃える場合には、一つのサイトから購入する方法と、複数のサイトから購入する方法があります。 欲しいパーツは複数のサイトに散っている場合がほとんどですが、購入先を複数にすると送料が無駄に発生する事があります。 通販の場合には、○○円以上お買い上げならば送料無料というキャンペーンなどを有効に活用します。

 店頭で購入する場合でも、各パーツの価格帯やレビューなどを調べてから出かけます。 初心者であれば、複数の店を回って買い物をするよりも、1つの店で一通り揃える方が良いと思います。 店員が親切に教えてくれながら、一緒に選んでくれる所もあります。 移動費がかからないようであれば、複数の店舗を回って購入した方が良いです。 ○○はXXXXで購入した方が安い・良いなどといった事があります。


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 バルクとリテール

 パソコンのパーツを購入する前に、販売形態を知っておく必要があります。 パーツの販売形態には、「リテール」、「バルク」と呼ばれる2つの販売形態があります。

 リテール品とは、小売店で個人に販売するように出荷された製品です。 きちんとした箱に入っていて、説明書やメーカーの保証も付いていますが、バルク品に比べると価格は高くなります。

 バルク品とは、メーカーが出荷したパーツが、コンピュータに組み込まれずに小売の流通経路に出回った製品の事です。 メーカーが、過剰な在庫を抱えた場合の調整の際などにバルク品が出回ります。 バルク品は、個人向けではなく業者向けの製品であるため、簡易包装であり、説明書や保証書などは付属していません。 しかし、リテール品に比べると格段に安く、自作PC を組み立てる上ではバルク品を購入する事が多いです。 特に、メモリや光学ドライブ、ハードディスクはバルク品でも十分です。

 メモリの場合は、リテール品はBUFFALO やCENTURY などがあり、保証書付きで箱に入って販売されています。 一方、バルク品はノーブランドとして販売されているものがほとんどです。

リテール品メモリ

リテール品メモリ
(BUFFALO)

バルク品メモリ

バルク品メモリ
(ノーブランド)


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