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ネットワーク機器

 ケーブル

 ネットワーク機器同士を接続するケーブルは、OSI 基本参照モデルの物理層に当たります。 ケーブルには、「同軸ケーブル」「ツイストペアケーブル」「光ファイバーケーブル」があり、現在最も身近なものはツイストペアケーブルです。 パソコンのLAN カードに差し込むLAN ケーブルも、ツイストペアケーブルです。 ツイストペアとは、電磁波ノイズを避けるために電線を2本ずつ撚り合わせてあるという意味です。 ツイストペアケーブルには、ノイズを抑えるためにシールドが施されたSTP(Shielded Twisted Pare)と、シールドされていないUTP(Unshielded Twisted Pare)があります。 シールドされている方が効率は良いのですが、価格差があり、用途や使用箇所が異なります。

 ツイストペアケーブルは、EIA(米国電子工業会)によって規格化されていて、仕様によってカテゴリとして区別されています。 次に、各カテゴリの周波数帯域、通信速度、用途をまとめました。

ツイストペアケーブルのカテゴリ
カテゴリ 周波数帯域 通信速度 用途
カテゴリ1 20Kbps 電話線
カテゴリ2 1MHz 4Mbps ISDN
カテゴリ3 16MHz 10Mbps 10Base-T
カテゴリ4 20MHz 16Mbps ATM、トークンリング
カテゴリ5 100MHz 100Mbps 100BASE-TX
カテゴリ5e 100MHz 1Gbps 1000Base-T
カテゴリ6 250MHz 1Gbps 1000Base-TX
カテゴリ6e 500MHz 10Gbps 10GBase-T

 ツイストペアケーブルケーブルには、ストレートケーブルとクロスケーブルがあります。 ストレートケーブルは、コンピュータとコンピュータ以外の機器を接続するのに使用し、クロスケーブルはコンピュータ同士やコンピュータ以外の機器同士を接続するのに使用します。 これらのケーブルは、データの送信側と受信側で信号が衝突しないように使い分ける必要があります。 市販のケーブルもこの2種類がありますが、パソコン同士を直結する事は少ないので、たいていはストレートケーブルを使用します。 ルータやハブはストレートケーブルとクロスケーブルのどちらも使える物が多く、これらはお互いをストレートケーブルで接続しても問題ないので、クロスケーブルの使いどころは多くありません。 ストレートかクロスか表記されていないものは、ほとんどがストレートケーブルです。

 ツイストペアケーブルには下位互換性があり、1000Base のものであれば100Base や10Base の通信も行えます。 10Base と100Base では、8芯のうち4芯(2組)を使用して通信しますが、1000Base では8芯(4組)すべてを使用して通信を行います。 また、ギガビット通信にはパソコンのネットワークカードもギガビット仕様でなくてはなりません。


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 リピータ

 リピータは、OSI 基本参照モデルの物理層で規定されているネットワーク機器です。 IP アドレスなどのパケット情報に関係なく、電流の増幅や整流を行います。 ネットワークケーブルには、それぞれ最大伝送距離が定められていて、この距離を越えると電流が減衰してデータ等が破損します。 そのため、ケーブルとケーブルを中継するようにリピータを設置し、電流の増幅と整流を行います。

 リピータという言葉は聞き慣れないかもしれませんが、リピータは多数の接続ポートを持って「ハブ」という名前で使用されています。 つまり、ハブはマルチポートリピータとして使用されてるのですが、リピータ機能だけでなく、多人数が接続できるという面でも活用されています。 リピータを使用する事で伝送距離が長くなりますが、データの遅延などの関係で段数制限があります。 例えば、100Base-TX では2段までなどと規定されていて、これより多段に接続した場合には通信に異常が出ることがあります。 この物理層のハブを、後述のスイッチングハブ(データリンク層で規定されている)と区別するために、「リピータハブ」あるいは単に「ハブ」と呼ぶ事があります。


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 ブリッジ

 ブリッジは、コリジョンドメインを分割するネットワーク機器です。 コリジョンとは、データを送信した際にデータ同士が衝突する事を指し、コリジョンドメインはその衝突を検出できる範囲を指します。 ブリッジは、MAC アドレスを解釈してフィルタリングを行う事により、無駄なトラフィックを抑制します。

ブリッジ

 デスクトップPC が初めてノートPC にデータを送信する場合、同じネットワークに属するブリッジにも信号が届きます。 ここで、ブリッジは宛先パケットMAC アドレスから、デスクトップPC とノートPC が同じセグメントにある事を学習します。 初めて通信を行う際には、ブリッジは各ノードが属しているセグメントを学習していないので、ブリッジを超えてデータを送信し、無駄なトラフィックが発生します。

ブリッジ

 再び、デスクトップPC がノートPC 宛てにデータを送信すると、ブリッジは2つのノードが同じセグメントに属している事を学習しているので、ブリッジを超えた転送は行いません。 従って、トラフィックが軽減されます。


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 スイッチングハブ

 スイッチングハブは、データリンク層で機能するネットワーク機器で、L2スイッチとも呼ばれます。 ブリッジと同様に、MAC アドレスを解釈して通信を制御します。

スイッチングハブ

 リピータハブとは異なり、内部でスイッチングを行うので、リピータハブでは不可能であった複数ノード間での通信が可能になります。 但し、リピータハブよりも処理の負荷が大きく、接続するノードの数によっては効率が低下する場合もあります。 また、スイッチングを行うので、プロトコルアナライザなどでパケットを取得する際には、すべてのパケットを取得できません。


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 ルータ

 ルータは、ネットワークドメインを分割するための機器であり、ネットワーク層で機能します。 ルータはIP アドレスを参照して、パケットの宛先がルータの内部か外部かを判断し、パケットの転送を制御します。

例えば、ある家庭のパソコンが次のように接続されているとします。

ルータ

 ルータはインターネット側(WAN 側)と家庭側(LAN 側)にそれぞれネットワークカードを持ち、それぞれにIP アドレスを与えなければなりません。 WAN 側のIP アドレスは、プロバイダ等から与えられるIP アドレス(グローバルIP アドレス)です。 LAN 側のIP アドレスは、自分で決める事ができるIP アドレス(プライベートIP アドレス)です。 ここでは、WAN 側のIP アドレスをAAA.BBB.CCC.DDD とします。

 LAN 側のルータと各パソコンには、自由にIP アドレスを与える事ができます。 ここでは、ルータに192.168.10.1、各パソコンには192.168.10.2〜192.168.10.4のIP アドレスを割り当てたとします。 スラッシュの後の数値は、サブネットマスクの長さを示します。 「/ 24」の場合は、サブネットマスクが24ビット、つまり255.255.255.0となります。 また、デフォルトゲートウェイとしてルータの内側のIP アドレス、192.168.10.1を指定します。

 さて、整理すると次のようになります。

上記例における各設定のまとめ
設定内容 PC 1 PC 2 PC 3
IP アドレス 192.168.10.2 192.168.10.3 192.168.10.4
サブネットマスク 255.255.255.0 255.255.255.0 255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ 192.168.10.1 192.168.10.1 192.168.10.1

 この条件のもと、いくつかの通信について説明します。 ルータはパケットのIP アドレスを参照して、パケットの宛先がルータの内部か外部かを判断する事は先にも述べました。 例えば、PC 1がPC 2と通信する場合には、同じネットワーク同士なのでルータはパケットをルータの外部へ転送しません。 同様に、PC 1がPC 3と通信する場合、PC 2とPC 3が通信する場合もルータはパケットをルータの外部へ転送しません。 これは、ルータは3つのPC が同じネットワークに存在する事を知っているからです。 ルータが保持しているこの情報を、「ルーティングテーブル」と呼びます。 ルーティングテーブルは、Windows ならばコマンドプロンプトで「route print」とすると表示されます。

 一方、いずれかのPC がYahoo などのWeb サイトを閲覧したい時にはどのように通信するか考えてみます。 Yahoo のWeb サイトを提供しているコンピュータは、この家庭の中にはありません。 従って、パケットの宛先はルータの外側へ行かなくてはならなくなります。 このように、同じネットワーク内にパケットの宛先が存在しない場合、各PC はパケットをルータの外へ転送してくれるように頼まなくてはなりません。 つまり、LAN 内に宛先が存在しない場合には常にルータへパケットを転送しなくてはならず、この場合にはルータのLAN 側のIP アドレスにパケットを送る事になります。 この場合のルータを、デフォルトゲートウェイと呼び、ルーティングテーブルに含まれています。 LAN 内に通信の宛先が存在しない場合には、デフォルトゲートウェイにパケットを転送し、デフォルトゲートウェイであるルータはパケットを中継します。 実際には、宛先までいくつかのルータを経由しますが、それぞれのルータは近くのルータの情報(ルーティングテーブル)を保持していて、その情報に基づいてパケットを宛先へと届けます。

 ルータはネットワークドメインを分割する機器である事は、先にも述べました。 これは、あるネットワーク内で完結する通信は、他のネットワークへ影響を及ぼさない事を意味します。 上記の例で示したように、家庭内で通信する際にはパケットがルータを超えることはなく、他の家庭のネットワークに影響を与える事はありません。 ルータは、ルーティングテーブルの情報をもとに、通信の経路を制御する事によって、無駄なトラフィックを抑制します。


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