その他

◎輸入チーズについて

 日本でも最近のワインブームに乗ってか良質なチーズが輸入されるようになってきました。 かっては流通業者が取り扱いを心得ないままにチーズを扱ったために、スーパーの特売などで値段の安さに飛びついて(私だけでしょうか?)、劣化したチーズを食べて“もう二度と食べるものか”と思われた消費者の方もあるのではないでしょうか。スーパーを覗いていて、カビチーズにラップをかけたり真空包装されているのをみたりすると、今でも売り場の方が取り扱う知識のないままに売っているんだなと思うことがあります。専門店であればこんなことはまずないのですが。

 ナチュラルチーズは極めて温度の変化に弱い商品であるために、取り扱いに充分な配慮がなされないと簡単に劣化してしまいます。極端な例を一つあげてみると、店内で試食して味を確かめて購入し家に帰ると味が変わってしまう。夏の暑い日ならば、充分にありうることなのです。

 最近では消費量が増えてきていることもあり流通の関係者の知識・技術が追いついてきていることやメーカーが自衛策をとっていること、消費者の方々のチーズに対する知識や経験が増してきているために少なくはなっているようです。

 チーズによっては輸入された後でも、熟成が必要なものや更に販売するまでに管理が必要なものがあり、専門店では主に食べごろの商品を提供するか、あるいは販売時にお客様の好みを聞いて“冷蔵してこの位の時機に食べてみてください”というようなアドバイスをくれることもあります。熟成させるものは経験が必要なので自信がなければ、専門店で食べごろのものを購入するのが無難でしょう。かっては心無い業者が試食用だけに美味しいものを用意し、未熟成のチーズを陳列して販売したりすることもあったようですが、現在ではまず心配ないでしょう。

 最近では消費量が増えてきていることもあり流通の関係者の知識・技術が追いついてきていることやメーカーが自衛策をとっていること、消費者の方々のチーズに対する知識や経験が増してきているために少なくはなっているようです。それでもブルーチーズなどは売れ行きも悪いためなのか、品質が劣化した商品が並んでいて購入して失敗することが少なからずあるのが少々残念ではあります。

 また、商品を購入するときに賞味期限を気にする方も多いと思います。生鮮食品であれば当然のことですが、熟成させるチーズだと賞味期限に近いものの方が味がよく価格もかえって安い場合も少なくはありません。(少々の当たり外れはありますが?)

◎国産チーズについて

 日本でも各地で生産するところが増えています。個人で生産するには保健所の許可や流通の面で大きな不安があるのが実情で、チーズのみで経営を安定へと導くのはなかなか困難だと思われます。そのため、農協などの農業系法人の資本か行政との第3セクターによる経営が多く観光産業の中の一つとして組み入れられているタイプが多いようです。そのことから輸入チーズと比較して非常に高価なチーズが多いのでしょうか。(原料自体の価格の違いもあるので一概には比較出来ませんが。)

 ところで味についてはどうでしょうか。私見ですが、疑問符がついてしまいます。日本人向けをうたってはいますが、商品として市場に流通させていいものなのか疑問に思うものもありました。流通の段階で品質が劣化してしまうものもあるでしょうが、その製品は直販でしたので熟成の管理に難があったのかもしれません。 

◎低温殺菌乳

 日本人は鮮魚を永く食べてきたせいなのか、新鮮と言う言葉にいたく弱いように感じられます。確かに鮮度が良いものの方が好ましい食品もあります。また、日本のように高温多湿な気候下での食中毒を避けるためには、新鮮な食材を求めることは重要なことであったのではないかと想像されます。

 同様な嗜好性から来るのかわかりませんが、牛乳も新鮮なものが好まれるようです。その為なのか昨今、低温殺菌乳が非常にもてはやされているようです。単に嗜好性からこのような商品を消費者の方々が選ぶのは当然なんら問題はないのですが、それを販売するための能書きはかなりオカルト的です。科学的根拠の薄いものが多いようです。科学的に明らかに低温殺菌乳の方が優位だとする根拠はありません。しかも実験室での実験は極端なものが多く、実際のところ現実の食生活とは別物と考えたほうが無難です。

 

◎健康ブーム

 最近、メディアでは非常に多くの食品が日々紹介されていて、我々は国際的にも恵まれた食生活を送っているのではないでしょうか。ある程度の生活レベルが得られる中で、関心は健康に向いているようです。そのためか健康食品と称するものがかなり流通していて、中にはいかがわしいものもあるようで、警察のご厄介になるケースも報道されています。

 一部メディアでは、まるで食品に薬のような効果があるかのように報道されています。消費者の方々が身体により良いものをというのは自然なことでしょう。更に藁にも縋りたい気持で食べている方々もいるのも、ある意味仕方のないことかもしれません。

 しかしながら、まずどんな薬も食事も身体には異物にしか過ぎないということ。身体に良いとされる成分を含む食品を過剰に摂取しても排泄されるか、体内での生合成の量が減り調整されることになるでしょう。むしろ過剰に摂取し過ぎることで、身体にいらぬ負担を与えかねません。かって、アマチャヅルのお茶が流行ったときに、一部地域で朝昼晩毎日のようにお茶を飲んでいた方々に副作用が現れました。

 確かに日々の食事は、健康のためになくてはならないものではありますが、最低限バランスが良く品数の多い楽しい食事を心掛けた方が有益なように思えます。あまり小難しいことを食事に持ち込むとかえって、そのことがストレスになり健康を害してしまうのではないでしょうか。

◎私が作りたいチーズ

 本場のヨーロッパで製法を学ばれた方が生産にあたっているという話をよく聞きます。伝統的な製法のもとに生産されることも意義のあることだと思います。その反面、生産の場にある方々はお気づきだと思いますが、そもそもヨーロッパと気候、風土、飼育されている牛の品種が異なるのに同じ製法でというのは無理があります。また、外国の製法そのものでは日本での製造の実情や環境や日本人の好みには向かない(最近の輸入チーズの中には日本人好みのものもかなりありますが)と私は経験的に感じています。

 私個人としては外国製品の価値基準にこだわることなく伝統的な製法と異なっても、たとえ本式ではない亜流のものであっても日本人が美味しいと感じる安全な製品を生産してゆきたいと考えています。

   

BACK TO HOME