不動産業者の選び方
不動産取引に失敗しないためには、なんといっても信用のある業者と取引することです。
経歴はどうか、義務は果たしているか、悪いうわさはないかなど、それらの結果を総合して判断してください。
○業者の免許
不動産取引業を営むためには免許が必要です。
免許には国土交通大臣免許(二つ以上の都道府県に事務所を置いて営業する場合)と都道府県知事免許(一つの都道府県にのみ事務所を置いて営業する場合)があります。
物件の調査
物件について、業者からいろいろな説明を受けると思いますが、納得のいくまで説明を求め、自分の目と足で確かめることが大切です。
自分が調査した結果と業者が説明する(あるいは説明した)ことが一致するかどうかが、業者の信用度のチェックポイントのひとつになります。

現地調査のポイント
1.自分で、通常の交通機関を使って行く
最寄り駅やバス停を確認しながら、自分の足で現地へ行きましょう。業者の案内する車に乗ったのでは交通の便がわかりません。

2.現地には二度以上行く
周辺の状況は曜日や時間、天候によっても違います。雨の降る日や休日以外の日にも現地に行きたいものです。

3.近所や地元の人にもいろいろ聞いてみる
夜間の交通、また建物の評判など、その土地に詳しい人に開いておくのも賢明です。

4.たくさんの人といっしょに行く
家族や経験のある人などのアドバイスも役立ちますので、現地にはできるだけたくさんの人といっしょに行くようにしたいものです。

5.あらかじめチェックリストを作っておく
下記を参考にしてチェックをしてみてください。
チェックポイント
 ●敷地や建物は?‥‥‥地形、地盤、隣地との境界、構造、間取りなど。
 ●交通は便利か?‥‥‥通勤・通学のルート、所要時間など。
 ●住環境は?‥‥‥日照、通風、交通騒音、振動、臭気、ぱい煙、隣地の建設計画など。
 ●日常生活は?‥‥‥買物、病院、公共施設など。
 ●供給施設・排水施設は?‥‥‥電気、ガス、水道、下水道など。施設の所有関係も。
中古住宅は以下の項目もチェックしましょう。
 ●建物の築年数は?
 ●リフォームは必要か、必要であればどの位かかりそうか?
 ●増築・改築により違反建築になっていないか?
 ●他人の排水施設、占有物件はないか?
 ●建築基準法上、再建築は可能か?(接道義務などを満たしているか)
 ●付帯設備(照明器具・冷暖房器具など)や植木・庭石などはどうなるのか?
 ●引渡時期は?‥‥‥売主が居住中で新しい住宅を他に求めている場合は、その取引の完了時点と連動します。
 ●小火(ボヤ)などの事故のあった物件ではないか?
現地持っていくもの・・・地図、公告、時計、巻尺、磁石など。

契約前に必ず重要事項説明書の説明を
●業者は買主に対して、契約する前に、取引する物件について一定の重要な事項を記載した書面(重要事項説明書)を宅地建物取引主任者から交付させ、それを説明させなければならないことになっていますので、必ず契約前にもらい、自分の確かめたいこと、疑問のことなど遠慮なく質問し、その説明をよく理解したうえで、取引するか否かを決めましょう。
また個々の取引においてはその他にも重要なことがあるはずです。重要事項説明書に書いてある以外のことで説明を受けたこともはっきり書面に書いてもらいましょう。
口頭の説明では、後で「説明した」「聞いていない」といった水かけ論になる恐れがあります。

●内容は間違っていないか。
重要事項説明書に書いてあることと、今までにあなたが調べたことを比較してみましょう。
もし、まだ調べていなければ、さっそく重要事項説明書がまちがっていないかどうか調査しましょう。

●申込・予約等をする案内所等には必ず取引主任者がいます。自分で調査して疑問に思った点はこの取引主任者に確認しましょう。
不動産登記簿の見方
不動産登記簿は何枚かの用紙に分かれています。
一枚目は「表題部」という用紙で、土地の場合は、その土地がどこにあるのか(所在)、その土地の地番、現在利用されている用途 つまり田や畑等の農地なのか、建物が建っている宅地なのか等(地目)、その土地の面積(地積)が記載されています。
建物の場合は、その建物がどこにあるのか(
所在地)、その建物の家屋番号、現在利用されている主たる用途(種類)、構成材料や屋根の種類、階層(構造)、各階毎の床面積が記載されています。
二枚目は「甲区欄」という用紙で、その土地や建物の所有者が誰であるか、その他所有権に関する事項が記載されています。
三枚目は「乙区欄」という用紙で、その土地や建物が銀行などの金融機関の抵当に入っているか等その土地の所有権を制限している第三者の権利に関する事項が記載されています。

取引をするに際してもっとも注意しなければならないのが、現在の所有者以外の第三者の権利に関する登記がされていないかということです。所有権仮登記や(根)抵当権、賃借権、地上権など、その他差押え登記がある場合は、売買するまでに(若しくは売買と同時に)これらの登記が抹消されるのか確認しておきましょう。

契約をするときの心がまえ
不動産の売買では、売主と買主が対等の立場で契約を締結します。
したがって、いったん、契約書を作成すると、それ以降その取引は契約書の記載内容に従って進められ、将来、取引について紛争が生じたときも原則として契約書に基づいて解決されることになります。

1.契約書は非常に大切なものです
不動産は買うにせよ売るにせよ、契約書の内容を十分確認しておかなければなりません。
契約書をよく読んで意味のわからないこと、納得のいかないことが書いてあったら、納得できるまで聞いたり調べたりしてから契約しましょう。

2.取引するために届出や許可が必要な場合があります
【国土利用法の届出】
一定の面積以上の土地の取引が行われた場合、その土地の権利を取得した者は、契約後2週間以内に市町村長を経由して都道府県知事に土地の利用目的や対価について届け出ることが義務づけられています。届出の対象となるのは、市街化区域の場合は2,000u以上、市街化調整区域などの場合は5,000u以上の土地などです。また、これらの土地が注視区域(地価高騰のおそれのある場所等)に指定されている場合は、契約の両当事者は事前に知事に届け出なければなりません。知事は、届け出られた土地の利用目的等に問題がある場合は勧告することができます。
【農地転用の許可】
これまで農地として利用されてきた土地を、宅地などに転用する目的で取引する場合には、都道府県知事の許可が必要です。
許可を受けずに取引すると、土地の所有権移転等の効力は生じず、現状回復などの是正措置命令がなされるほか、刑罰が適用されることがあります。許可を受けようとする者は、市町村の農業委員会を経由して知事に農地転用許可申請書を提出しなければなりません。なお、市街化区域内にある農地を転用し、権利を移動させるためには、あらかじめ農業委員会に転用の目的等を記載した届出書を提出する必要があります。

契約時の留意点
特に次のようなことに気をつけて、くれぐれも失敗のないようにしてください。
○ハンは必ず自分で押すこと
「ハンを貸してください」といわれて渡したところ、自分の知らない書類をつくられ、大損させられた例もあります。
○仮契約書、買付証明書、売渡承諾書は作らぬこと
「仮契約だから……」といわれて気軽にハンを押し、後で多額の違約金を要求されたという例もあります。
○口約束はトラブルのもと
後で「言った」、「言わない」の水かけ論になります。大切な約束事は必ず書面にしましょう。
○拇印や署名だけでも契約書は有効
「ハンを押さないのだから心配いりませんよ」といって、業者が拇印を押すようにとか署名をするようにと求めてきたので気軽に応じてしまい、後で違約金を請求された例もあります。
○契約する時期は
造成工事や建築工事が完了していない宅地や建物の売買は、宅地造成の許可や建築確認などがあった後でなければ、契約してはならないことになっています。この許可や確認などを受けているかどうかをよく確かめてから契約しましょう。
○手付金等を支払うとき
売主が業者の場合で、手付金等の支払額が一定金額を超えるときは、保全措置を講じてもらう。
業者が倒産して物件の引渡しが受けられないなどの不測の事態が発生したときでも、買主が支払った手付金等についてはその返還を受けることができるように、物件の売主業者に一定金額以上の手付金等を支払う場合には、保全措置を講じてもらいましょう。
すなわち、売買代金の10%(造成工事や建築工事が未完成の場合は5%)または1,000万円を超える手付金等(契約日以降、物件引渡し前迄に支払う手付金のほか中間金等を含む)を支払う場合には、保証機関の発行した保証書を売主業者からもらってください。
保証書等の交付がないときは、手付金等の支払いを拒めます。具体的な保全措置には、次の種類があります。
どの措置をとってもらえるのか業者から説明してもらい確認しましょう。
@国土交通大臣の指定を受けた信用保証会社等が業者との保証委託契約に基づき保証するもの。
A保険会社が業者との保証保険契約に基づき保証するもの。
B業者と国土交通大臣が指定する指定保管機関との間で手付金等寄託契約を、また業者と買主との間で質権設定契約を結び、手付金を保全するもの。(工事完了物件の売買に限る)
なお、手付金等の額が上記の一定金額以下の場合や買主への所有権移転登記がされた場合は、保全措置の対象になりません。
契約を解除するときは
契約をやめるときはより良い判断が必要です

契約が成立した以上は、その効力を一方的に否定することはできません。
契約は本来守るべきものだからです。それに、せっかく結んだ契約です。やめるのが本当に得策なのかを冷静に考えるべきです。しかし、どうしてもという場合は、次のようなことを参考にしてください。

法律の規定に基づいた解除

1クーリング・オフ制度
●解除のできる場合
 売主が業者の場合で、テント張りや仮設小屋での販売、押しかけ訪問販売など「事務所等」以外の場所で売買契約を結んだとします。その場合は、業者から書面によりクーリング・オフ制度について告げられたその日から8日以内に限り、書面を発信すれば無条件で契約の解除ができます。
●解除のできない場合
 物件の引渡しを受け、かつその代金を全部支払ってしまった場合は、クーリング・オフによる解除はできません。また、次の場所で契約した場合にもクーリング・オフによる解除はでさません。
  ○業者の主たる事務所(本店)・従たる事務所(支店)
  ○継続的に業務を行うことができる施設を有する場所
  ○10区画以上の一団の宅地か10戸以上の一団の建物の分譲を行う案内所(ただしテント張り、仮設小屋であればクーリング・オフでやめられます)
  ○買主がその自宅か勤務先で売買契約に関する説明を受けることを申し出た場合はその場所

2 契約違反による解除
 買主が代金を支払ったにもかかわらず、売主(業者)が物件の移転登記・引渡しをしてくれないような場合、買主は民法の定めに基づき、売主に履行を求める催告をした上で(または催告とともに)解除する旨を通知して契約を解除することができます。

3 瑕疵担保責任による解除
 宅地として買った土地に家が建たないなど、物件に瑕疵があり、契約をした目的が達成できない場合に限り、買主は契約を解除できます。

手付放棄による解除
●手付放棄と倍返し
契約にあたって、買主から売主に対して手付が交付されると、その手付は原則として解約手付と解されます。売主または買主は、その相手方が契約の履行に着手するまでの間であれば、いつでも契約を解除することができます。
例えば100万円の手付を払っている場合、買主はその100万円を放棄すれば契約を解除できますし、売主は受取った100万円と同額をプラスして200万円を買主に戻すことによって(手付損、手付倍返しの原則)契約の解除ができます。しかし、手付放棄により、結局多額の揖害を被ることになりますので、契約するにあたっては物件を充分調査し、後日、安易に解約するといったことが起きないような慎重さが大切です。

●履行の着手があったときは解除できない
履行の着手とは、「客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし、または庵行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」とされており、相手方に履行の着手がある場合は手付放棄による契約の解除ができなくなります。履行の提供のための単なる前提行為は履行の準備行為と呼ばれ、履行の着手には該当しません。

業者に媒介(仲介)・代理を依頼するときは
宅地や建物の売買をしようとするときは、業者に媒介又は代理を頼むのが一般です。
媒介契約には、次のように専任媒介契約・専属専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があり、依頼者が選択できるようになっています。どれが自分に合っているのかよく検討した上で依頼するようにしましょう。

媒介契約の共通点と相違点(国土交通省が定めた標準媒介契約約款による)
共通点         
●契約の有効期限は3ケ月以内です。(依頼者の申し出により更新できます)
●業者が媒介の依頼を受けた不動産の価額について意見を述べるときは、取引事例と比較するなど合理的な方法でその根拠を示さなければなりません。
相違点
専任媒介契約 依頼者の義務
●他の業者にかさねて媒介を依頼しない。
●他の業者の媒介によって契約した場合は違約金を、依頼者みずからが発見した相手方と契約した場合には業者に対して媒介契約の履行のために要した費用を支払う。
業者の義務
●指定流通機構への物件登録義務を負うとともに、売買契約の成立にむけて積極的に努力する。
●2週間に1回以上依頼された業務の処理状況を文書で依頼者に報告する。
専属専任媒介契約 依頼者の義務
●他の業者にかさねて媒介を依頼しない。
●依頼者がみずから発見した相手方と契約してはならない。
●他の業者の媒介によって契約した場合や依頼者みずから発見した相手方と契約した場合は、違約金を支払う。
業者の義務
●指定流通機構への物件登録義務を負うとともに、売買契約の成立にむけて積極的に努力する。
●1週間に1回以上依頼された業務の処理状況を文書で依頼者に報告する。
一般媒介契約(明示型) 依頼者の義務
●他の業者にかさねて媒介を依頼できるが、その名前を明示する。
●他に依頼した業者の媒介によって契約した場合、または依頼者みずからが発見した相手方と契約した場合には、依頼した業者に通知する。
●上記の通知を怠った場合、または明示していない業者の媒介によって契約した場合には業者に対して媒介契約の履行のために要した費用を支払う。

●成約を早める不動産流通機構
不動産流通機構は、不動産物件の流通を早く円滑にするために、数多くの業者が加盟してできた情報ネットワークです。加盟している業者と専任媒介契約や専属専任媒介契約を結ぶと、その情報が流通機構に登録され、ネットワークを通じて広く取引の相手方を求められます。


業者に支払う報酬額
業者に支払う報酬の限度額は決められています。
ただし、報酬に消費税がかかる場合は、上限額に消費税相当額を加えた額が上限額となります。消責税の計算の基礎となる取引代金の額は、代金にかかる消費税相当額を含む価格(税込み価格)となります。

@
売買、交換の媒介のとき
取引額200万円以下‥・5.4%以内
取引額400万円以下は
 200万円までの部分について‥・5.4%以内
 200万円をこえる部分について‥・4.32%以内
取引額400万円をこえる場合は
 200万円までの部分について‥・5.4%以内
 200万円をこえ400万円までの部分について・・・4.32%以内
 400万円をこえる部分について・・・3.24%以内

この報酬は、売り手買い手の両方がそれぞれ媒介をした業者に支払うものです。
(例)売買価格1,000万円の物件の場合
 0 〜200万……5.4%→ 108,000円
 200万〜400万……4.32%→ 86,400円
 400万〜1000万…‥3.24%→ 194,400円
 以上合計388,800円以内が報酬額となります。

A
売買、交換の代理のとき
 @で算出した金額の2倍以内を依頼者が支払います。ただし、この場合に業者が相手からも報酬を受け取るときは、両方の報酬を合わせた額が@で算出したときの2倍以内となります。

不動産にかかる主な税金
不動産を購入・新築した場合 不動産取得税(税額は課税標準の4%)
特別土地保有税(税額は課税標準の3%から固定資産税相当額を引いた額)
地方消費税
登録免許税
印紙税
消費税
贈与税(時価より著しく低い金額で購入した場合)
不動産を保有している場合 固定資産税(毎年1月1日現在固定資産課税台帳登録の所有者に対して。税額は課税標準の1.4%)
都市計画税(市街化区域内所有者に対して。税額は課税標準の0.3%)
特別土地保有税(税額は課税標準の1.4%から固定資産税相当額を引いた額)
地価税
不動産貸借の場合の不動産所得に係る所得税
住民税
個人事業税
消費税
地方消費税
不動産を売却した場合 譲渡所得に係わる所得税
住民税
登録免許税
印紙税
不動産を相続した場合 相続税
登録免許税
不動産の贈与を受けた場合 贈与税
不動産取得税(税額は課税標準の4%)
特別土地保有税(税額は課税標準の3%から固定資産税相当額を引いた額)
登録免許税


建築基準法での道路
 都市計画区域内にあっては、道路があっても必ず家が建つとは限りません。道路の幅や道路位置指定など、建築基準法の条件を満たしているかどうかをよく調べましょう。
 ここでいう『道路』とは,建築基準法第42条で定義された道路のことです。
 したがって,一般的な公道のほか,個人が所有する通路なども含む広い意味での道路と,建築基準法上の道路は必ずしも一致することにはなりません。
 このことを踏まえた上で,建築物の敷地に接することが必要となる『道路』に該当するか否かを調査することが必要です。

1 建築物の敷地と道路の関係について

 建築物の敷地は,『道路に2メートル以上接しなけ ればならない』ことになっています。(法第43条)

2 建築基準法上の道路とは・・・ 
 『道路』の定義は,法第42条以下に規定されてい ます。

【第1項第1号の道路】(道路法による道路)
 一般国道,都道府県道及び市町村道で,幅員4 メートル以上のものです。いわゆる公道のことです。
 公道であっても形態が存在しない場合や幅員が 4メートルに満たない場合は,建築基準法上の道路に該当しないこともあるので注意が必要です。

【第1項第2号の道路】(都市計画法等による道路)
 都市計画法の開発許可あるいは,土地区画整理法その他による許認可等を受けて築造した道路で幅員4メートル以上のものです。言い換えると住宅地造成地の道などが該当します。 
 原則として道路法による道路(公道=第1項1号の道路)となっていることが多いですが,小規模開発(千平方メートル未満)により築造したものや形態等(行き止まり等)の関係から公道に移管されないで事業主等が管理している場合には,この道路に該当します。

【第1項第3号の道路】(基準時に存在していた道)
 建築基準法が施行された時点で現に存在していた道のことです。
 道路としての構造形態が有り,一般に利用されていた幅員4メートル以上の道が該当します。
 公道であるか私道であるかについては,判別に係わりはありません。

【第1項第4号の道路】(事業執行予定の道路)

【第1項第5号の道路】(位置指定道路)
 土地を建築物の敷地として利用するために築造する幅員4メートル以上の道で,築造しようとする者が,特定行政庁から道路の位置の指定を受けたものです。(指定番号・指定年月日を確認しましょう)

※現況の道路形態の幅員が4メー トル未満の場合と,4メートル以上の場合とでは,種別が異なることがあります。
現況の道路幅員が4メートル未満の場合
【法第42条第2項の道路】(みなし道路)
 もとより,道路の幅員は原則として4メートル以上が必要となります。
 しかしながら,昔から(基準時以前)の4メート ルに満たない道で,既に家が建ち並んでいるような場合に,この道を『道路』でないとすると,改築等の再建築ができないことになります。 
 そこで,このような狭い道(公道であるか私道 であるかは問わない)にあっては,道の中心線から2メートルの後退線を道路の境界線とみなし門扉等を後退することによって再建築を可能とする,という緩和規定による道のことです。
 通称で《2項道路》と呼ばれています。 
現況の道路幅員が4メートル以上の場合
【法第42条第1項の道路】
 現況の道路形態の幅員が4メートル以上の場合には,公道に移管されているなど,新たな事実関係の発生や判明により,法第42条第1項各号のいずれかの道路に該当することになる場合もあるので,案件によっては建築課と協議が必要です。

【法第43条ただし書きを適用する部分】 
 建築基準法第42条に定義された道路には該当 しないが,建築物の規模や用途,又,ただし書き部分の形態整備等により,一定の範囲・制約の下で,道路に接しているものと同様な扱いをする部分です。
 通称《ただし書き道路》と呼んでいますが,正確ではありません。建築に際し,制約が伴うことがあるので建築課と協議することが必要です。

【道路でないことが明らかな部分】
 建築基準法に定義された道路でないことが,過去の事例や調査で既に明らかにされたものです。
 現況が道路状の形態であっても,法による道路ではないということです。底地を個人が所有していたり,あるいは公道や青地といったこともありますが,建築基準法第42条の定義に当てはまらないことから『道路』ではないということになります。

【形態は道路状だが,単に個人の所有する敷地の一部や単なる通路など道路でない場合】
 過去に調査事例がなく,又,資料等が不備で道路判定を行っていないこともあるので,案件によっては,関係資料を添えて建築課と協議する必要があります。

3 幅員を調べるには・・

  道路の形態・幅員等は,その種別・調査目的ごとに 調べる方法が異ってきますが,確認申請に係る場合は,必ず現況を実測する必要があります。 
 調査する場合は,次のような方法が考えられます。
【第1項第1号の道路】(道路法による道路)
 公道については,道路維持課等や土木事務所の道路台帳図などで調査する方法があります。(ただし『幅員』として表示されているわけではありません。)
【第1項第2号の道路】(都市計画法等による道路)
 都市計画法の開発許可あるいは土地区画整理法その他による許認可等に係る図書(開発許可の場合は開発登録簿)を閲覧する方法があります。
【第1項第3号の道路】(基準時に存在していた道)
 私道の場合は,一人の地主や個々人がそれぞれ所有しているものなど管理形態が様々です。
 行政庁が管理していないので,道路の位置や幅員を特定するのが困難な場合も多い。
したがって,幅員の調査方法も一定ではないが, 一般的には,現況の道路の形態を基本に,土地の所有・貸借関係の境界,周辺の地形・地物,基準時の航空写真等々を参考に,道路の位置を客観的・合理的に特定し,幅員を測定することになります。
 案件によっては,関係資料を基に建築課と調整の上,作業することが望ましい。
【第1項第4号の道路】(事業執行予定の道路)
 省略。
【第1項第5号の道路】(位置指定道路)
 建築課に備えてある位置指定の図面を縦覧して調査します。
【法第42条第2項の道路】(みなし道路)
 2項道路の場合,後退後の幅員は4メートルとなる。後退の起点である道の中心線を特定することが必要になるが,公道(含み)や私道などがあり,又,道の形態が明確でないことも少なくない。
 基本的には,第1項第3号の方法と同様に現況形態を把握し中心線を特定することになるが,案件によっては,建築課と協議する必要があります。

法令に基づく制限
法令に基づく制限をご存知ですか
建物を建築する場合には、都市計画法、建築基準法、農地法など制限法令がたくさんあるので、物件の所在地を管轄する都市計画課・建築課・農業委員会などに必ず問い合わせてください。

A 市街化調整区域ではないか
市街化調整区域は、市街化を抑えるために設けられた区域で、原則として一般の住宅を建てることができません。

B 用途地域はどうなっているか
用途地域によって、建築できる建物の種類、建ペい率、容積率、建物の高さなどの制限が異なります。

C 開発許可、宅地造成工事許可などが必要な土地であるかどうか
造成地を購入する場合、開発許可や宅地造成工事許可、あるいは農地転用許可などの許可が必要な土地があります。

D 建築確認はとっているか
まだ完成していない戸建住宅やマンションを購入する場合、建築確認をとってあるかどうか調べましょう。

E 都市計画道路にあたっていないかどうか
敷地が計画道路内のところは、建築ができなかったり、将来、建物を撤去しなければならなくなるおそれがあります。

F 敷地が建築基準法に規定する道路に適法に接しているか
都市計画区域内にあっては、道路があっても必ず家が建つとは限りません。道路の幅や道路位置指定など、建築基準法の条件を満たしているかどうかをよく調べましょう。

農地を売買するには
農地を売買するには、単に契約をするだけでは効力が発生しませんので注意が必要です。
@農地又は採草牧草地(以下「農地等」といいます。)を農地等として、各種権利(賃貸借権、使用貸借による権利、地上権、永小作権、質権等)の設定をし、又は贈与、売買等により所有権を移転する場合には農地法第3条の許可を受けなければなりません。
 許可申請書の提出先は、通常市町村農業委員会窓口となりますが、許可権限は、農地等の内容によって知事(農政事務所)あるいは市町村農業委員会となります。
A農地等を宅地や雑種地等、農地等以外の目的に供するために転用する場合で、しかも権利を設定し、あるいは権利の移転を行う場合には農地法第5条の許可を受けなければなりません。
 2haを超える場合は農林水産大臣宛、2ha以下の場合は知事宛許可申請することとなります。
B市街化区域にある場合は、簡易な届出手続きとなります。
 農地等を農地等以外の目的に供するために転用する場合で、しかも権利の移動を伴い、なおかつ当該農地等が都市計画区域内の市街化区域にある場合には農地法第5条の届出をすることになります。
 届出書の提出先及び処分権限は、通常市町村農業委員会となり、数日程度で届出が受理され、受理された時点で効力が発生します。

C除外申請
 農地法4条あるいは5条の許可申請手続きをする場合には、何よりもまず、転用申請地が「農業振興地域の整備に関する法律」に基づく農用地に含まれているか否かを市町村農政関係課に問い合わせる等して確認しなければなりません。
 農用地に含まれており、除外申請手続きを要するとなりますと、申請してから許可となるまで約6ヶ月〜8ヶ月位の日数がかかるのが通常です(都道府県により処理日数が異なる場合があります)。
 尚、農振除外となるかどうか事前に農政関係課と協議しておくことが必要です。