2004年5月
「あれは 何という木だろう
いま生まれたばかりのようなうすみどり
梢梢に揺れながら若葉は花のようだ
花のように美しい・・・」
大木実 楢の若葉より
毎年この季節になるとこの詩を思い出す。
透き通るようなうす緑色の若葉が、
五月の風に揺れ、木洩れ日をキラキラと輝かせる。
風と青空と金色の陽射しとうす緑色の若葉のカルテット。
生きている実感に心から感謝する瞬間。
「生きているということは
モーツァルトを聴けるということだ (中略)
この深いよろこび
この大きなしあわせ
生きているあいだ 生きているかぎり」
大木実 モーツァルトより
私は朝目覚めると「あっ、生きている」と思い深呼吸する。
暫らく静寂の時をすごし、ノートに「今日やること」を書
きこむ。ほとんど無意識にペンが動くままに。
そして、終わったものから消し込んでいく。
夜寝る前、ノートを見ながら「今日も生きた」と思う。
いっぱい いろんなことが出来てよかったね。
そしてまた翌日
何も変化していないように装う森の中へ
ほんのちょっぴり 和声に色づけしたカルテットを聴きに行く。
私にとって生きているということは
風を感じることなのかもしれない。
生きているあいだ 生きているかぎり