記録的な猛暑が終わったら、9個の台風の上陸。観測史上初だそうです。
1シーズンに9個も台風がくると、風雨による被害のほかにも、飛行機の欠航便が
大手2社で3000を超えるなど、経済的な打撃も大きいようです。

しかし、突然起きる地震や、梅雨の終わりごろの狭い地域での集中豪雨と違って、
台風は数ある自然災害の中でもかなり正確な予測が立てられるものです。
家屋等の損壊や農作物への被害は免れないとしても、何故、9個目の台風でさえ
死者や行方不明者が出るのでしょう。とても残念です。
自然災害の恐怖を思い知らされます。また、「自分は大丈夫」という根拠の無い
安心感があるのではないかと、改めて危機管理の重要性を感じました。
 
 もしも十万人に1人死者が出るとしたら、死ぬ確率は十万分の1なのでしょうか?
全体から見るとそうなのかもしれません。でも、私個人にとって生きているか
死んでしまうかは、二分の一の確率なのではないかと思うことがあります。
車を運転して事故にあう確率も、出かけて無事に帰ってくる確率も二分の一。
何でも自分の身に起きることはAかAでないか、コインの裏表のようなもの。
何事もなく平和に暮らせていることは、本当はとてもラッキーなのではないか。
そう考えると、いま在ることに心から感謝できるようになります。
 
 高校生の娘が、学校から帰ってくると、私は開口一番「無事に帰ってきてくれて
ありがとう」と言い頭を下げます。初めはただ『無事で良かった』という思いだけ
だったのですが、最近は娘にお礼を言うというよりも、娘を守ってくれている『力』
のようなものに頭を下げているような気持ちになってきました。
 
 我家には2ひきの金魚がいます。1匹は5年ほど前に我家で生まれたものですが、
もう1匹は10年以上も前に、家族と一緒にこの家へ引越してきたものです。
かなりの『お年』で、目は白内障におかされ、鱗がはげ落ち、ひれの先はぼろぼろに
なってしまいました。自然界では考えられないほどのご長寿。いつ寿命がきても…
と思う私の心配をよそに、ただひたすら生きることに全力で取組んでいます。
毎朝、水槽の中を何事も無いかのように泳ぎまわっている老齢の金魚を見ると、
うれしくて 『ただ存在する』ことに 感謝の気持ちが生まれます。
 
 自分が置かれている環境の中で、わが身に起きること、目の前にあることを否定
せず全力で取組むことが、私にとっても『幸せな生き方』なのかもしれません。
2004年10月
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