人からのご好意に感謝しながらも「これをしてくれるのだったら、
○○をしてくれた方がよっぽど嬉しいのに・・・」と思ったことはあ
りませんか?
日常的に割とよく聞く言葉なのです。そこで、質問です。
「○○をしてくれた方が嬉しいわ」と相手に本音を伝えたことは
ありますか?
おそらく多くの方は伝えたことがないと思います。
「そんなこと、言えるわけないじゃない、言えるとしてもごく
親しい友人か家族だけよ。」そんな声が聞こえてきそうですね。
でも、一度試してみてください。言葉の選び方や言い方に充分
配慮した上で、あなたの本音を伝えるのです。
私は幼少の頃から「一を聞いて十を知れ」と言われて育てられ
てきました。中学校の部活の先生は「言われなくても相手が望ん
でいることを察知して、先に行動しろ」といつも言っていました。
見るからに亭主関白というイメージの体育の教師です。
言われなくても相手の望んでいそうなことを提供するのはとても
素晴らしいことです。心がけていたいことですね。
でもそこには2つの危険性が潜んでいると思います。
自分の行動として心がけているうちはいいのですが、人に対して
「言わなくても私の望んでいることをわかって欲しい」と思って
しまう危険性があります。
どんなに親しい間柄でも、「いわなくてもわかってあたりまえ」
という態度はいかがなものでしょう。
聖書の創世記1章3節にこうあります。
“神は言われた。「光あれ。」”
有名な天地創造の場面です。なんでもおできになる神でさえ、
ご自分の意を伝えるために言葉を使われたのです。
更に、ヨハネによる福音書1章3節には
“万物は言(ことば)によって成った。成ったもので言によらずに
成ったものは何一つなかった。”
と書かれています。
人は言葉を得て進化しました。言葉をコミュニケーションの手段と
しています。ですから、言葉に心をこめて自分の思いをお伝えする
努力をしなければいけません。
誰に対してでも、何を伝える時にも言葉を尽くすのです。
もう一つの危険性は「思い込み」です。
「Aさんはこういう人だから、こうすれば喜ぶに決まっている。」
「以前にこうしたら喜んでくれたから、今回もこうすれば良い。」
本当にそうでしょか?
人は変化します。環境・状況・好み等がいつまでも変わらない人は
あまりいません。充分に観察することなく自分の思い込みで相手
を判断することは、避けたほうが賢明でしょう。
相手をよく観察すること、相手の言葉に注意深く耳を傾けること、
そして自分の思いを言葉にしてお伝えすることを習慣化していき
ましょう。
2006年 7月