不思議な話
私の姉は、肺にできた癌で亡くなりました。
癌にもいろいろあるようですが、かなり悪質なもので
大変痛みに苦しんだ最期でした。

姉が亡くなって ひと月ちょっとした頃、12月の初めだったと思います。
休日にめずらしく昼寝をしていた私に、その姉から電話がかかってきました。
もちろん、夢なのですが・・・・

私: あれ?どうしたの元気?
    元気って言うのもおかしいか、もう死んじゃったのに
    (いつもと変わらない自然な会話です)
    どう? そっちは。 どんなようす?

姉: すっごく いいところよ。
    みんなとっても良くしてくれるの。

私: ふ〜ん、電話なんか掛けられるんだ・・・

姉: 電話は自由に掛けられるんだけど、おかしいのよね。
    なかなか通じないの。

私:  へぇ〜

姉: よかったわ。あなたに通じて。

私: どうしたの?

姉: 落ち着いて聞いてね。
    今、そっちから来た人の会話の中で、あなたの名前を
    小耳にはさんだから 聞いてみたのよ。

私: ???・・・・・・

姉: そしたら、リストにあなたの名前があって、

私: うん?????・・・・

姉: あなたは、大丈夫だからね。
    よーくたのんでおいたから。
    あなたは、絶対に大丈夫だからね

私: うん・・・(何のことかわからない)

姉: もし、からだに異変がおきたら、◆◆◆の裏の●●の・・・
    (音声が途切れがちになる)
    あなたは、大丈夫だからね・・・・・・安心してね・・・・・
  
私: もしもし、もしもし・・(切れちゃった)


そこで、目が覚めました。
左の手をじっと見つめる私。 そこには受話器の感触が残っています。
「夢? 夢だったのか・・・ すっごくリアルだった。」


それから、3ヵ月後。
勤務先の健康診断で、人間ドックへ。
大きな胃潰瘍があったので、精密検査をすることになりました。

そして、私の胃に癌があることがわかったのです。
「あっ、このことか、姉が教えてくれたのは」と、すぐに思いましたので、
「あなたは大丈夫」という姉の言葉が 不思議に安心感を与えてくれて
全くといっていいほど、ショックはありませんでした。

ところが、手術のため入院して、再び内視鏡検査を受けたときには、
癌の発見のきっかけとなった、あの大きな胃潰瘍がすっかり消えて
しまっていたのです。
癌は『顔付の悪い』ものだったそうですが・・・

医者は大変不思議がりました。
「どうして消えたんだろう???」

「もし、胃潰瘍がなかったら、癌は見逃されていましたか?」とたずねると、
「100%とはいわないが、かなり高い確率で見逃していたでしょう」とこたえ
しきりに「何をしたのか」と潰瘍が消えた理由を知りたがっていました。

まさか、医者には言えませんでしたが、妹は『お知らせ胃潰瘍』と命名していました。


姉が見せてもらった 私の名前が載っていたリストは、『次の世界へ行く人』の
名簿だったのかもしれません。
そう思うと、今私が生きていることを感謝するとともに、使命は何かを探しながら、
毎日を『生ききり』たいのです。
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