前提となる事柄

  • 性格と気質
  • α因子・不快刺激
  • β因子・快刺激

  •      性格と気質

     人の性格は何によって決まるのでしょうか。常識的に答える ならば、遺伝等の内在的要因と環境的要因とが 作用し合ってできるということになると思います。全てが遺伝に由来すると主張することも、100%環境に基づくと 主張することも一応可能でしょうが、いずれもきちんとした証明がなされなければ、広く受け入れられるものには ならないでしょう。ここでは「常識」に従っておきます。

     「性格」というものを、ある程度固定化した行動パターンと定義してみます。ヒトではありませんが、 調教師が動物に何らかの行動パターンを身につけさせようとする場合を考えてみましょう。覚えさせようとする パターンに即した行動をとった場合には餌を与えて誉めます。パターンに反した行動をとった場合は罰を与えます。 次第に動物はそのパターンに即した行動をとるようになります。こうしたことが可能なのは、環境中のあるものを 快として、別のものを不快として感じ、反応するシステムが動物の生理構造に備わっているからです。 つまり、快・不快反応システムという生得的な構造に、「アメとムチ」という外来の要素が作用して、 行動パターンが形成されるわけです。

     人の行動は動物よりはるかに複雑ですが、基本的な部分には動物と同じ 構造があります。ある行動が快をもたらすならば、その行動は繰り返されるようになり ます。不快をもたらす行動は避けられるようになります。意図的に方向付けられたものではないにしても、環境にある快・不快刺激は、あたかも調教師の与える ものと同じように、人の行動を方向付け、行動パターンの形成に影響します。この時、人が快・不快をどのように感ずるかということは、 性格の形成に対する生得的条件として重要な意味を持ちます。こうした生得的条件をこのサイトでは気質と呼びます。(あくまでもこのサイトにおける用語法です。) 「酒好き」とか「甘いもの好き」というのは性格の一部です。気質とは、そうした性格の前提として、 性格の形成に影響する、ある性質のことです。 同じ気質であっても、環境が異なれば異なった性格になることは、当然予想されることです。しかし、その場合でも、 共通する条件の下に形成された性格であるならば、ある程度共通の性質を持つと考えるのは自然なことです。

     「気質」の基礎には何らかの生理的構造があるはずです。しかし、その働き方について考察する限りにおいては、 生理的構造は無視して考えることができます。快刺激があると、それを追い求める行動をとるようになるという 関係が成り立っていればよいのであって、それが神経系の働きによるのか内分泌系の働きによるのか、運動系やら 免疫系やらが影響するのか等といったことは、とりあえず考えなくてよいわけです。

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         α因子・不快反応

    人は自らを傷つけるものに遭遇すると不快感を覚えます。痛み・怒り・悲しみ等々、不快感 はその程度や状況に応じて様々に形を変えますが、いずれにしても、以後その人はその対象を避けようとする行動をとるようになります。同じ不快感は、誰しも 繰り返して味わいたくはないのです。性格というものをある程度固定化された行動パターンと定義するならば、不快刺激に対する回避行動は性格を形成する有力 な要因となります。

     同じ刺 激を受けても、不快を感じる人と感じない人とがあります。不快刺激に対する感受性に強弱の違いが あるわけです。この強弱を左右する因子を、このサイトではα因子と呼ぶことにします。 感受性の強いタイプをα+型、弱いタイプをα−型とします。ところで、不快感は生物が自身を 傷つけるものから身を守るためにあるものです。感受性の弱いタイプであっても、この必要な水準に達しないものは、 そもそも生物として存続することができません。人間ならば、人間として生きていける最低の水準があるはずです。 この水準に近いものをα−型と考えればよいでしょう。これに対し、α+型は、人間として必ずしも必要ない レベルまで、不快感を感じ取ってしまいます。α−型が不快を感じる対象は、他の人にとっても不快なものです。 このため、この型の人は他の人と不快感を容易に共有できます。これに対し、α+型の人が不快を感じる対象が 他の人から容易に理解できるとは限りません。


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         β因子・快反応

    動物は自身の生命を維持し、子孫を残すために活動し、食物や異性といった、必 要な対象を獲得しようとします。 獲得に成功した場合、それは快刺激としてフィードバックされ、次の行動をうながします。 非常に単純化して言うならば、ヒトを含め動物は快感を得るために行動するのです。 人がどのような対象に快を感じるかということは、その人の行動様式に密接に関わることになります。

     快刺激 に対する感受性にも個人差があります。快刺激に対する感受性の強弱を左右する因子を、 このサイトではβ因子と呼びます。感受性の強いタイプをβ+型、弱いタイプをβ−型とします。 ところで、上に見た通り、快反応は動物が自己ないし種を保存する行動をとる上で重要な役割を担っています。 摂食行動・生殖行動を起こそうとしないものは、動物として存続できません。 人間として必要な水準をかろうじて満たすものがβ−型です。β−型の人が快を感じる対象は、 幼少時ならば食物・おもちゃ・親の保護など、成長後はお金・権力・名声など、 他の人にも容易に理解でき、共感を得やすいものです。これに対し、β+型は、 人間として必ずしも必要ないレベルまで、快感を感じ取ってしまいます。 β+型の人が快を感じる対象が他の人から容易に理解されるとは限りません。


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    (2004年8月9日)

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