お 米 の 豆 知 識 (14)
1. 農業の主な役割
(1)国民への食糧供給
(2) 水・空気をはじめ自然生態系環境保全
2. 農業(地方)の現状
(1) 農業所得が少なく、後継者難
(2) 山管理、水路管理、農道・畦畔管理の労力の困難さ
3. 農業・地域維持・向上
(1) 後継者が育つ価格・所得補償政策
(2) 自然生態系・環境保全(地域集落の維持)への農家への直接補償
4. 今回の戸別所得補償制度による、地域と農業の基幹である稲作を見る
(1) 主食用米の助成 15,000円/10a
(2) 平成22年度米価変動の助成 15,100円/10a
計 30100円/10a
*無いよりましであるが、後継者が育つ農家所得向上にはなりません。
*地域集落を維持する労力への交付金と考えた方が現実的です。
5. 国民の食は日本の大地から、後継者が育つ、農業政策が求められています。
(1) 価格補償と農業所得を基本に位置づける。
(2) 地域集落維持への農家への交付金で自然生態系・環境保全へ方向づけする。
今、環境保全や生態多様性や食の安全性の確保は、世界的な課題となっています。
政府の生物多様性国家戦略では、日本において里地里山が生物多様性にもっとも重要な地域であるとされ、水田稲作や里山林を含んだ生活と農業のかかわりの見直しを求めています。
農業の分野でも、2006年12月には、有機農業推進法が成立し、農薬や化学肥料に頼らず、環境や生態系を生かした生産への転換がはじまりました。
一方、日本の農薬使用量は水田面積が大きいことから、稲作向けが最も多くなっています。除草や殺虫殺菌などに使われる農薬のうち、一部には過剰な防除が行われており、それは収量のためというより、農薬を前提とした制度の欠陥によるものもあります。
それが、米の検査制度です。現在の米の検査制度は、見た目の格付けを重視するあまり、生産者にとって不利な価格差を生む構造となっており、生産者の安易で過剰な農薬使用を招いているだけでなく、生産者を経済的に不利益にし、悪意を持った一部の流通業者や加工業者が不当な利益を得やすい構造を生んでいます。
そこで、米の検査制度を有機農業推進や環境保全、生物多様性や農業生産者の経済的な公平性の確保の観点から見直し、修正することを求めます。
以上「提携米ネットワーク 牧下圭貴」より引用
お 米 の 豆 知 識 (12)
お米の美味しさの表示
1.ご飯の味は、各個人によって様々な嗜好があるのは当然です。
2.日本穀物検定協会が専門家によって毎年試食検査(官能試験)して、発表している
食味ランクがあります。その表示を宣伝チラシやインターネット等々の媒体物にて見て
いるかと思いますが、その意味も理解をしていることだと思います。
基準―複数産地コシヒカリのブレンド米を基準米として比較
基準米より特に良好なもの 『特A』とランク
基準米より良好なもの 『 A 』とランク
基準米とおおむね同等なもの『 A` 』とランク
基準米よりやや劣るもの 『 B 』とランク
基準米より劣るもの 『 B` 』とランク
3.このランクは、米産地の栽培努力等々を食味評価し表示するもので、産地の個々の農家 の生産した『米』の食味を直接評価したものではないと考えています。
4、魚沼産コシヒカリの宣伝等を見ると、産地の宣伝ではなく、販売される個々の『米』又 は、個々の農家の『米』があたかも食味ランク『特A』の最高の食味であるかのように表 示されていることに違和感を持つのは、私だけでしょうか。
5.一般的にご飯の美味しい『米』の栽培条件について整理してみます。
(1) 食味を左右する要因―農林水産省 食品総合研究所などの研究による
1.品種2.産地3.その年の気象4.栽培法5.乾燥6.貯蔵7.精米加工8.炊飯
最大なのは、品種、次に産地・栽培法・気象が大きな影響を与えるという
(2) 新潟県内の中で、美味しい米の出来る産地の共通条件
1.日当たりよい、ゆるい傾斜地で、透水性の良いこと
2.さわやかな川風が吹く等、風通しの良いこと
3.黒ボクの火山灰土でなく、河川の運んだ土砂等が堆積した肥沃な砂壌土の水田で
あること
4.比較的上流の汚染の少ない河川を用水に利用していること
5.発熟期間の日平均気温が24度から25度程度で、しかも気温の日較差が大きいこと
「産地という地理的条件だけで、一義的に食味が決まるわけではない・・・・・。5年間か ら10年間の平均値を取れば、産地と食味の間には、一定の傾向が出てくるのも事実であり・・・・・
そして、日本穀物検定協会の食味ランキングが、毎年魚沼コシヒカリを最上位の「特A」に ランクしていることを見れば、魚沼地域に産するコシヒカリこそが、日本一の味と評しても、決して不当とはいえまい。
[5の項は、酒井義昭著「コシヒカリ物語」(中公新書)より]
お 米 の 豆 知 識 (11)
稲架掛米・天日乾米の実態は・・・・
1、稲架掛米とは、かつての農村の風景で、立ち木や支柱を利用して、稲の手刈り・バ インダー刈を天日で乾す。
その後脱穀して「籾」にする。
2、天日乾し米とは、稲架掛は、表裏の「籾」の乾燥に大きなばらつきがあります。
そこで、晴天の日に「籾乾し」(庭に籾を広げて天日にて乾し)して、籾の水分を適 正にします。
適正な水分の「籾」を籾摺りして「玄米」(あるいは精米)にして出荷
3、最近の事情
① 稲架掛の風景は若干に見受けられるが、庭での晴天の日の「籾乾し」がほとんど 見られない。
善良な一部の人を除くとそこでの実態は、稲架掛→コンバインで脱穀→乾燥機 →籾摺り→出荷になっている感を持つ・・・・
② 出穂を仮に8月10日、刈取り9月25日とすると約45日天日の恵みを受けて生長して います。
現在の多数の農家は、コンバイン(刈取り・脱穀)→乾燥機→籾摺り→出荷
*現在の乾燥機性能は、充実しているといわれています。
③ 稲架掛は、コンバインが入れない田、倒伏してコンバインでの刈り取りができない田になされている感がある。
④ 稲架掛米というと「天日乾し米」と同じと思われがちですが、違うのでしょうか 。
稲架掛米というと価格が高くても買う人がいるのでは・・・
お米の豆知識(10)
五 穀 豊 穣
● 五穀とは、人が常食する5種類の食べ物をあらわす。
○ 712年「古事記」においては五穀とは、米、あわ、麦、あずき、
大豆であったが、
○ 720年「日本書紀」においては五穀とは、米、あわ、ひえ、麦、
豆(あずき、大豆)にかわる。
● 日本の歴史はつねに米とともにあったが、水田稲作は、畑作にくらべて苦労があった ので、おおくの日常食は、麦や雑穀が支えた。
○ 麦や雑穀は、戦後の経済成長とともに衰退し、家畜飼料としてあつかわれた。
○ 近年は、健康志向が高まり、雑穀に含まれる栄養価が見直されている。
◇ 雑穀の栄養―100g中の含量(参考)
・マグネシウム ― あわ110㎎、きび84㎎、精白米23㎎
・鉄 ― あわ4.8㎎、きび2.1㎎、精白米0.8㎎
・ビタミンB2 ― あわ0.07㎎、きび0.05㎎、精白米0.02㎎
以上、五訂増補版より
● 雑穀の食べ方
○ 日々の食生活に上手にとり入れる方法は、米と一緒に炊くのが良い。
○ 米全量の1~2割を雑穀に置き換えると食べやすいのではないでしょうか?
○ 水加減は、若干多めにして適度な硬さに仕上がった方が食べやすい。
● 豊穣は、穀物(近年では『米』)が豊かに収穫できる願いのことです。
○ 村祭りで『五穀豊穣』『豊年万作』をかかげてお祈りの行事をするのです。
平成22年3月19日
お米の豆知識(9)
玄米の米粉の特質
(1)健康食品として無農薬の玄米食が広がってきています。
もう少し、手軽に摂取する食べ方を紹介して欲しいという要望もきています
(2)粉類は、「匂」や「湿気」を特に吸収しやすいので保存に特に注意が必要です
① 賞味期限
●玄米は、粉にすると白米のこめ粉より脂質があるために酸化し易く品質
の低下になりやすいのです。
・そのため粉に調整した年月日より約1か月間を賞味期限とします。
(保存方法を守って下さい)
・開封したら期限に関わらず早目に消費して下さい。
② 保存方法
● 強い「匂」の物の近くに保存しない。
● 湿気のない冷暗所に保存して下さい。
●開封後や夏場は、密封して冷蔵庫の野菜室(15℃以下)で保存して下さい。
(3)頒布上の一般的注意事項
●玄米という性格上、どうしても無害ですが、虫くい等の「粒」が混入する場合が ありますが、ご了承をお願いします。
●穀類は、粉にしますと酸化し易く、とりわけ玄米は資質があるため酸化がすすみま すので、注文をいただいてから製粉します。
お米の豆知識(8)
米の主な栄養比較-100g当り
食品名 |
単位 |
玄米 |
半つき米 |
七分つき米 |
胚芽精米 |
精白米 |
栄養素 |
|
|
|
|
|
|
エネルギー |
Kcal |
350 |
353 |
357 |
354 |
356 |
タンパク質 |
g |
6.8 |
6.5 |
6.3 |
6.5 |
6.1 |
脂質 |
g |
2.7 |
1.8 |
1.5 |
2.0 |
0.9 |
炭水化物 |
g |
73.8 |
75.4 |
76.1 |
75.3 |
77.1 |
カリウム |
㎎ |
230 |
150 |
120 |
150 |
88 |
カルシウム |
㎎ |
9 |
7 |
6 |
7 |
5 |
マグネシウム |
㎎ |
110 |
64 |
45 |
51 |
23 |
リン |
㎎ |
290 |
210 |
180 |
150 |
94 |
鉄 |
㎎ |
2.1 |
1.5 |
1.3 |
0.9 |
0.8 |
亜鉛 |
㎎ |
1.8 |
1.6 |
1.5 |
1.6 |
1.4 |
マンガン |
㎎ |
2.05 |
1.39 |
1.04 |
1.53 |
0.80 |
ビタミンE |
㎎ |
1.2 |
0.8 |
0.4 |
0.9 |
0.1 |
ビタミンB1 |
㎎ |
0.41 |
0.30 |
0.24 |
0.23 |
0.08 |
ナイアシン |
㎎ |
6.3 |
3.5 |
1.7 |
3.1 |
1.2 |
葉酸 |
μg |
27 |
18 |
15 |
18 |
12 |
食物繊維 |
g |
3.0 |
1.4 |
0.9 |
1.3 |
0.5 |
※ 1、表の数値は(水稲穀粒)の状態のもの
2、「五訂増補日本食品標準成分表」より
◎ 玄米の構造-胚芽、胚乳、ぬか層
2010年1月22日