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*Alice* 私は、夏の休暇のときにいつも避暑に行く、お祖父様のお屋敷で アリスは、お祖父様のお屋敷のメイドの中ではかなり若いほうで、今まだ20歳ほど。 でも私はアリスが好きじゃない。 アリスは仕事はきちんとするけれど、無口で、愛想がなくて、まるでお人形のよう。 私の質問には答えてくれる。 だから私はアリスが好きじゃない。 「アリス」 「アリス」 「アリス!」 「……何でもないわ」 朝起こしてくれるときも、着替えを手伝ってくれるときも、食事の前も食事の後も そう思いながらお祖父様のお屋敷へきた、3度目の夏。 その日はなぜか星がなくて、月の光も見えなくて 怖い夢を見たの。 時計の音、扉の音、足音。 「アリス! アリス!!」 私、あんなに好きじゃないと思っていたアリスの名前を呼んだわ。 「はい、お嬢様」 あんなに苦手だと思っていた抑揚のないアリスの声でも。 でもアリスは相変わらず、無表情でお人形のようにそこに立っているだけ。 「……」 私、その様子をみて、何だか我に帰ったの。 「…なんでもないわ。少し、怖い夢を見てしまったの。 それだけ言って、毛布にもぐり込んだ。 アリスはカーテンを少し引っ張って整えなおして、いつもと同じように一礼すると …いこうとして、振り返った。
「お嬢様。 明日、きっと、いいお天気ですわ」
耳に届いた、静かだけれど、確かに暖かな声。 きいたことなどなかった、でも間違いなく、それはアリスの声。 私、鳥の羽に包まれたようにとても、安心した。
その次の日は、言葉通りにとても綺麗な朝。 そう、だからそれ以来 私、アリスのことが 少し好きなの。 |
(SS−84 明日の天気)