自然から学び 自然と共に生きる はっとさんの森

 

連載 コーネル氏から学ぶ アナンダ村訪問

第2話 アナンダ村訪問

コーネル氏が来日した翌年の1987年4月に、『Sharing Nature with Children』(「ネイチャーゲーム1」)を翻訳した人たちが中心となってシェアリングネイチャー研究会が設立されました。


中心メンバーは、20代後半の若者たち。活動内容は、定例会の開催、定期観察会の実施、機関誌の発行、夏にはアナンダ研修旅行をする計画も立てていました。

 

定例会では、毎回テーマを決めて研究活動をしていました。ネイチャーゲームの言葉を理解するために「シェアリング」、「フローハイク」、「アウェアネス」の意味について議論をしました。


しかし、机上でいくら議論しても理解は深まらない。コーネル氏が住むアナンダ村へ研修旅行をしたいという気持ちがだんだんと高まってきました。


一方、私は、『Sharing Nature with Children』に紹介されていたアナンダ村に興味を持ちました。森を背景にして建っている木造の家の写真に心が引かれ、いつか必ずここへ行こうと心に決めていました。



ついに夢が実現


ついにその日がやってきました。1987年8月、研究会のメンバー6名と子ども1名でアナンダ村に向けて出発しました。


アナンダ村がある場所は、カリフォルニア州とネバダ州との境にあるネバダシティーの郊外の山間部です。サンフランシスコ空港から車でレンタカーを借りて出発しました。


途中、ミュアウッズ国定記念物に寄り、約4時間走ってアナンダ村から少し離れたメディテーション・リトリートに着きました。ここはコーネル氏ご夫妻が暮らしているところです。ここで宿泊することになりました。



メディテーション・リトリートは、自然の中で共同生活をしながらメディテーションなどを修行する場所といった感じでした。


中心部には、ドーム状の食堂とメディテーションをする建物がありました。

メディテーションをする建物では、毎日朝と夕方の2回、メディテーションが行われています。


簡素な生活に新鮮さを感じる


食堂では、ベジタリアンの食事を食べます。オートミル、シリアル、穀物、ナッツ、新鮮な野菜、果物、飲み物、全粉粒のパン、ミルクなどです。自分の好みで食べることができます。

おいしいベジタリアンの食事を摂することで、体も心も健康になったような気がしました。


宿舎は、質素なバンガローでした。電気はなく、ガス灯で明かりをとっていました。バスタブが使えるのは1週間に1回でしたので、もっぱら共同シャワーを使いました。トイレは、すべて野外にある小屋です。深く掘った穴の上に小屋が乗せてある簡素なものです。


建物の周りは、マツやオークの林に囲まれていて、野生のシチメンチョウやシカを見ることができました。ブラックベアーもいるとのことです。文字どうり人と野生動物が共存して暮らしている村でした。


おだやかなアナンダ村の人たち


ここで生活しているどの人たちも穏やかでした。

もの静かで、微笑みながら挨拶を交わし、話しかければ穏やかに笑顔で応えてくれました。

ここ ほんとうにアメリカ? と疑うくらいの驚きでした。


翌日は、コーネル氏の案内でアナンダ村を案内していただきました。学校、マーケット、ヨガの聖人たちの肖像が飾られている建物、ヨガナンダの記念館などを見てまわりました。



アナンダ村は、自然に囲まれた広大な敷地の中で、簡素な生活、高邁な思想を生活の指針として、ヨガやメディテーションを学び、実践している人たちが暮らしていコミュニティであることがわかってきました。


アナンダ村での生活は、コーネル氏の人生哲学に大きな影響を与えたそうです。

コーネル氏は、「アナンダ村に長年暮らしてきました。希望にあふれたコミュニティでの生活は、自分の人生だけではなく、シェアリングネイチャーの仕事にも大きな影響を与えてきました」と語っています。