豊徳園おとぎ村
第1話 はじめは?
ちいさな村のまんなかに、ちいさな小川がながれていました。
その小川には、大きな木をたおしてつくった一本のはしが
かかっていました。
村のみんなは、それを「まるたんばし」とよんでいました。
さて、ある日のことです。
小川は春のあたたかいひざしの中できらきらとかがやいていました。
そこへ、村いちばんうるさいやせっぽちやぎさんがやってきました。
やせっぽちやぎさんは、きょうもなにやらぶつぶつつぶやきながら、
まるたんばしをわたりはじめました。
小川の中では、たくさんのあひるたちが、
ガアガア、クエックエッとないていました。
はしのまんなかあたりまでわたったところで、
「うるさいあひるだこと。おだまり!」
やせっぽちやぎさんは、あひるたちにむかってこうどなると、
かたいひずめで、ちからいっぱいまるたんばしをけりつけました。
あたたかい春かぜの中で、いいきもちでねていたまるたんばしは、
いきなりよこっぱらをけられてたのでたまりません。
「いたい!」
と、さけぶと、おもわずからだをくるりとまわしました。
やせっぽちやぎさんはたまらずあしをとられ、
まるたんばしから、どぼーんと小川の中におちてしまいました。
(つづく つぎをおたのしみに)