第3話 ・・・・・ 幸せって

森の中は一年前とちっともかわっていませんでした。

風が気持ちよくふいて、やはり鳥たちが歌うようにないていました。

ルミルミは両手を口にあてて

「おばあちゃ〜ん。」

とよびました。

それから2、3分したでしょうか。

「やあ、ひさしぶりだね。元気だったかい。どうかしたのかい。」

と、おばあさんは大きな木のかげからあらわれました。

「わたしね、あれからおばあちゃんと約束したとおり、

つらいことや苦しいことがあっても、がんばってきたわ。

でも、どうして幸せにならないの。」

ルミルミは不満そうにおばあさんに言いました。

「おや、そうかいルミルミ。

よーく考えてごらん。

幸せっていったいなんだろう。」

と、おばあちゃんはルミルミの目をじっと見つめて言いました。

「勉強をいっしょうけんめいがんばったあと、

けっきょくどうなったかい。

そうして、そのときのルミルミの気分はどうだったかい。」

「うーん、せいせきは5番くらい上がったかな。

お父さんやお母さんにほめられて、とてもうれしかったわ。」

おばあさんはつづけました。

「おかあさんのお手伝いはどうだい。お手伝いって、いやかい。」

「そんなことないわ。

お母さんのよろこぶ顔を見ると、わたしまでうれしくなっちゃうの。

今ではわたしの楽しみなの。」

「じゃあつぎだよ。

お父さんのかけっこのとっくんはとてもきびしかったね。

でも、そのときルミルミはどんな気持ちだったかい。

とっくんのけっかはどうだったかい。」

「とてもきびしかったわ。

でも、お父さんといっしょでなんだか楽しかった。

それにせんしゅになれたこと、もっとうれしかったわ。」

 おばあさんはつぎつぎとしつもんをしました。

それにこたえながら、

ルミルミはうれしいことやたのしいことは、

みんな苦しいことやつらいことといっしょにおきていることに気がつきました。

「そうだよルミルミ、幸せと苦しいことはいつもいっしょなんだよ。

つらいことをがまんして、いっしょうけんめいがんばって、

その後にうれしかったなとか、楽しかったなとかんじることが

じつは幸せというものなんだよ。

それをかんじとれないといつまでも幸せになれないということさ。

ものをたくさんもっていることや、おかねがたくさんあることが、

けっして幸せとは言えないんだよ。」

ルミルミはなるほどと思いました。

 そういえば、、いま思い出してみると、

つらかったことや苦しかったことよりも、

うれしかったことや楽しかったことのほうが、

つぎつぎと目の前にうかんでくるのです。

「おばあちゃん、よくわかったわ。

わたしなんだか幸せなきもちになってきちゃった。

わたし、これからもっともっとおおきな幸せな気持ちになるため、

もっともっとがんばるわ。

だから、かえそうと思ってもってきたこのボトル

またもってかえるわ。」




              (
つづく 次回をお楽しみに


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