平成18年6月2日(金)
照会先 厚生労働省医政局歯科保健課
担当 鳥山、坂本、大坪
電話:03-5253-1111(内2582、2584)


平成17年歯科疾患実態調査
結果の概要について(発表)



 この調査は、わが国の歯科保健状況を把握し、今後の歯科保健医療対策の推進に必要な基礎資料を得ることを目的に、昭和32年より6年ごとに実施している。
 平成17年11月に実施した、第9回の調査結果の概要が、別紙のとおりまとまったので発表する。
 なお、この調査は、全国を対象として、平成17年国民生活基礎調査により設定された単位区から無作為に抽出した300単位区内の世帯及び当該世帯の満1歳以上の世帯員を調査客体としており、今回の被調査者数は4,608人(男1,927人、女2,681人)であった。


6月4日(日)から10日(土)までの1週間は
「歯の衛生週間」です。



1. 20歯以上の歯を有する者の割合
成人の歯は親知らず4本を入れると、上下左右でそれぞれ8本、合計32本あります。
親知らずを4本抜いた人は28本になりますので、われわれ歯科医は28本揃っていれば
正常だとみなします。20本以上歯が残っていると、自分の歯でなんでも食事することが可能だといわれています。そのためわれわれ歯科医は「一生20本以上自分の歯を残して、一生自分の歯でかむようにしましょう。」ということを目標にしているのです。(低い目標だと指摘する専門家もおりますが、現時点では仕方ないと思います。)言い換えると20本より歯がすくなくなると取り外し式の入れ歯を使わないと満足に食事をすることは難しくなるということです。

図1 20歯以上有する者の割合

図1  20歯以上有する者の割合

 昭和62年調査の80歳以上の年齢階級は参考値。(80歳以上の層をひとつの年齢階級としたため、平成5年、11年、17年の調査値とは質的に違うデータである)


表1  20歯以上有する者の割合(%)

調査年 年齢階級(歳)
40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85-
昭和62年 91.8 80.9 72.6 54.9 40.1 26.8 15.2 9.4 (7.0) (-)
平成5年 92.9 88.1 77.9 67.5 40.9 31.4 25.5 10.0 11.7 2.8
平成11年 97.1 90.0 84.3 74.6 64.9 48.8 31.9 17.5 13.0 4.5
平成17年 98.0 95.0 88.9 82.3 70.3 57.1 42.3 27.1 21.1 8.3

昭和62年の調査では40代前半で、すでに8%の人が20本より少なくなって(部分入れ歯などが必要)
になっていたのですね。
以前の事を思えば今の状態はかなりよくなっているのがわかります。
平成17年では40代前半なら98%の人が20本以上自分の歯を保てています。
ですので現在は40代前半になっても自分は将来入れ歯になると考えている人は少ないと思います。
ところが50代になると1割強の人が、また60台前半では約3割の人が、20本よりも少なくなっています。
70代前半では58%の人が80代に至っては79%とほとんどの人が入れ歯といっても良い状況です。


 昭和62年調査の80歳以上の年齢階級は参考値。(80歳以上の層をひとつの年齢階級としたため、平成5年、11年、17年の調査値とは質的に違うデータである)


 ○  20歯以上を有する者の割合は40歳以上のいずれの年齢階級でも増加。

 ○  80歳で20歯以上の歯を有する者の割合は、初めて20%超。
(75−79歳では27.1%、80−84歳では21.1%)。


2. 1人平均現在歯数の年次推移
(注:現在歯数とは、残っている歯の総数で、健全歯、処置歯、未処置歯の全てを含む。)


図2 1人平均現在歯数(年齢階級、年次別)

図2  1人平均現在歯数(年齢階級、年次別)

 昭和62年調査の80歳以上の年齢階級は参考値。(80歳以上の層をひとつの年齢階級としたため、平成5年、11年、17年の調査値とは質的に違うデータである)


 ○  1人平均現在歯数は増加傾向。

 ○  80歳の1人平均現在歯数は、約10歯。
(75−79歳では10.66歯、80−84歳では8.87歯)
40歳代では、まだまだ26本ぐらいある人がほとんどですね。ということは40歳代では
平均すると2本ぐらいみなさん抜けてしまっている状態です。
一本抜けるだけの場合はブリッジという処置を保険治療では行いますが、
おそらく40歳の人の口をみるとブリッジが二つくらい入っているでしょう。


3. 永久歯の健全歯、むし歯の処置・未処置の状況


図3 永久歯の健全歯、むし歯の処置・未処置の状況(平成17年)

図3  永久歯の健全歯、むし歯の処置・未処置の状況(平成17年)


 ○  年齢階級が上がるとともに、健全歯数は減少。

 ○  1人平均の未処置歯数は、全年齢階級で1歯前後。

一人平均の未処置歯数はすべての年齢階級で一本ということです。
ということはみなさん、治療を行っていないわけではなく、直すべきところはなおしてあるのですね。
たくさん直すべきところがあるのに放置している人が多いのではなく、直すべきところは直してあるのです。

ではムシバで直すべきところは直してあるのになぜ年を取ると歯がなくなるのでしょうか?
ムシバを放置していたわけではなかったはずなのに。

4. 歯周病の状況


図4 4mm以上の歯周ポケットを持つ者の年次推移

図4  4mm以上の歯周ポケットを持つ者の年次推移

 平成17年は平成11年調査よりも診査内容を厳格化したため、平成11年の調査結果における4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合は、平成17年の結果より過小な検出となっている可能性がある。


 ○  54歳以下では、4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合は、減少傾向。

 ○  65歳以上では、4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合が増加。

  *  歯周病は歯の周囲にのみ起こりうる疾患であるため、現在歯数が増加したため4mm以上のポケットを持つ者の割合が増加したと推測される。

歯周ポケットというのは歯と歯茎の間の溝のことです。
3mmまでが一応正常範囲内であるといわれています。4mm以上は危険です。
手入れの行き届いている人は1,2mmであることが多いです。

5. 歯みがきの状況

よく言われる質問があります。「先生歯周病治したいから良い歯磨き粉教えてください。」
それを使えば歯周病が治るという歯磨き粉があれば、私が教えて欲しいです。
極端に言えば、水以外なにもつけなくても良いのです。
歯磨き粉に何を使うか。より大事なことはどのように磨くかです。
下に回数について書いてありますが、回数だけを論じても意味がないと思います。
一日3回磨いたとしても、それぞれ一分しか時間を使わないならば、
一回しか磨かないけれども5分間しっかり丁寧に磨く方がより良いのです。
ちなみに私の場合は一日一回夜10分間です。そのほかは糸ようじを使います。
夜歯磨きをしないで寝ると気持ち悪くて寝付けません。
たまに疲れて歯磨きをしないで寝てしまうとかなり気持ち悪い目覚めになります。
口の中に最近がうじゃうじゃいる感覚になります。実際いるのですが。
それを知っているから余計に気持ち悪いです。歯の汚れ(デンタルプラーク)1mgのなかに、
細菌は数億個いると言われています。どうやって数えたのかは知りませんが。
教科書にそう書いてありました。

図5 歯ブラシ使用状況の年次推移、回数別

図5  歯ブラシ使用状況の年次推移、回数別


 ○  1日2回歯をみがく者、1日3回以上歯をみがく者の割合が増加。


図6 歯みがきの状況(平成17年)

図6  歯みがきの状況(平成17年)


 ○  1日2回歯をみがく者が最も多く49.4%、1日1回みがく者が25.8%、3回以上歯をみがく者が21.0%。

H18年6月2日に公表されたデータです。赤字で書いた文章は
いのうえが脚注を加えたものです。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/06/h0602-2.html
より転載させていただきました。

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