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第80回 Left Alone ゲスト米原さん 1944 正木まどか

第80回は、ゲストに、正木のファン1号?にして、ジャズ通。
自らライブハウスで歌うこともある米原さんを迎えて、第3回でも紹介した「Left Alone」を再度、お届けします。
なお、米原さんには、第84回まで、お付き合いしていただく予定です。よろしくお願いいたします。

早速、米原さんに、登場していただきましょう。


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1.自己紹介

正木まどかとは、上野アリエスで知り合う。正木の古くからのファンであるが、自ら、ライブで、歌うこともある。

2.ジャズの魅力と本質と要素

・ジャズは色っぽくないといけない。
・ジャズは媚薬ある。
・4年間、正木まどかの歌を追っかけている。正木も媚薬、薬物?
・4ビートジャズは肉体的快感とつながる。心臓の鼓動、本能に近い。
・ジャズは英語で歌われることやダンスミュージックの要素も独特。ダンスは体と体がぶつかる。肉体的快感の最たるものだ。
 (グレン・ミラー、トミー・ドシー、デユーク・エリントン)

3.正木とのなり染め、正木のファンになった理由

正木まどかにジャズの要素はあるのか?

・正木は、夜と酒が好き。ジャズの最低条件。夜のにほいがする。
・ジャズは、恋愛もの=トーチソンズ+ワークソング=プロテストソング+リリカルなお昼の抒情曲に大別される。
 正木は、お昼の抒情曲は、カバーしていないが、トーチソングとプロテストソングは、カバーしている。

4.「Left Alone」への思い入れや感想。

・正木まどかの持ち歌のベスト3に入る。
・大学生時代、ジャズ喫茶で、「Left Alone」が、よくかかった。1960年代半ば。1時間に1回はかかる。皆、下を向いて、没入して聴いた。学生運動、貧乏、孤独と結びついた。ともか暗い曲の代表格。

・ビリーホリディ自体が、性的虐待、売春、ドラッグ、アル中、暗い過去を背負い、44歳の若さで、逝った。重く暗い不幸の象徴のようなもの。その彼女が自分の人生を振り返って、最後に書いた詞である。最晩年のピアノ伴奏者のマル・ウォルドロン(Mal Waldron)が彼女のこの詞に曲をつけて、トリビュートとした。色気のない人生を語るジャズのひとつのジャンルである。

 マルのアルバムで、この曲を吹いているジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は、白人だが、黒人の血が混ざっており、音には、黒人のジャズフィーリングがにじみでている。
http://www.youtube.com/watch?v=VNE8eXDsP5Q
http://www.youtube.com/watch?v=PU2Clcd_tN8
http://www.youtube.com/watch?v=13ywEdcrrNg
http://www.youtube.com/watch?v=fZnZnU7F0R8
 ビリーを彼が演じる役割である。抑制した演奏がよい。ビバップの最後の巨人で、普段は饒舌に吹きまくる彼が、黙々と抑えて演じた。ビリーとマルに敬意を表したのである。


・Left Alone のLPは大事にとっている。
 同様に、ソニー・クラーク(Sonny Clark) のクール・ストラッティング(Cool Struttin) のLP、女性のハイヒールと足の有名なやつも大切にしている。

http://www.youtube.com/watch?v=XkEqSgKzFZE


・米原は、演歌もPOPSも好きだが、夜、眠るとき、最後には、口直しに、ジャズを聴いて眠る。正木も同じ生態である、実は。

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曲の解説ですが、作詞のビリー・ホリディー(Billie Holiday)と作曲のマル・ウォルドロン(Mal Waldron,)は、以前に、何度か紹介しているので省きますが、曲の成り立ちについて、少し解説します。

サンフランシスコに向かう飛行機の中で、暇だった?ビリーとマルがたまたま、7時間かけて、彼女の人生をテーマにしたこの曲を作ったそうです。一説によると、ビリーは生前、なんどか歌ったが公に発表し録音する前に亡くなってしまったのだとか。

マルは、ビリーの晩年、1957年から1959年の彼女の死まで、伴奏をしているのですが、多大な影響を受け、妹さんまで、含めた家族ぐるみのつきあいだったようです。破天荒な人生を送り、一見、わがままで、つきあいずらそうに見えるビリーですが、マルによると、ナイスパーソンだったとのこと。

マルが、ビリーの追悼アルバム「Left Alone」を作る運命になるのは不思議な縁にも思えます。聴く限り、数あるマルのアルバムの中でも、このアルバムが、最高のできばえでしょう。レスター・ヤング(Lester Willis Young)をはじめとし、数々の著名ミュージシャンに囲まれていたビリーですが、死んだときは、多くが、他界していて、マルしか、主なミュージシャンが残っていなかったのかもしれません。

「Left Alone」=一人残されたのは、最初は、ビリー。後は、マルだったのでしょうか。

ご存知のように山川先生は、この曲を主題歌にした、角川映画「キャバレー」にピアニスト役で出演。映画の中で、何度もこの曲を弾きます。マルのアルバムの完全コピーではありませんが、イントロなどは、ほぼ忠実に真似ています。
http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/cabaret/


歌詞大意です。

私を満たしてくれる恋人はどこにいるの。
私から離れないで、ずっと、一緒にいてくれる恋人はいないのかしら。
誰もが私を傷つけ、去っていった。
私は、ひとり残されている。

運命の恋人は、神様のいたずらで、いつも私のそばを、通り過ぎていった。
でも、死ぬ前には、その人が現れるの。
そして、心を開いて、愛し合うの。
だけど、そのときまで、私は、ずっと、ひとりぼっち。


では、正木まどかの歌で、お聞きください。「Left Alone」
http://www.youtube.com/watch?v=VhWaBDj5Df4

 


山川浩一
http://www14.plala.or.jp/inu789/yama/
正木まどか
http://www.madocamasaki.com/
高井健
http://www.geocities.jp/onhermajesty_s/
山川浩一のスタンダードジャズ入門
http://www.voiceblog.jp/yamafan/



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