Podcast 山川浩一のスタンダードジャズ入門 補足情報 放送リスト
第82回 God Bless the Child ゲスト米原さん 1941 広瀬麻美

第82回も、ビリー・ホリディーの自作自演で1941年にヒットした「God Bless the Child」を、お届けします。
https://www.youtube.com/watch?v=U-3O-X6UUpY

村尾陸男先生のジャズ詩大全によると、ビリーが、金を出して、母親が営んでいたスナックがそこそこ繁盛していた。ある日、金に困った彼女が、母親に、借金を申し込んだところ、あっさりと断わられた。ビリーは、憤慨し、「神は自ら助くる者を助く」つまり「自分で稼いでくる子供を祝福する」というテーマのこの曲を作ったのだそうだ。


社会の真実をついていると有名な歌詞の大意は以下です。


金持ちはますますリッチになり、貧乏人は、ますます貧しくなる。
聖書の言っていることは、今でも真実だ。

ママもパパも金を持っているようだけれど、
それに頼らず、自分で稼ぐ子供を、神様は、祝福されるの。
自分で手に入れるしかないの。

持てる者=強者はますます何でも手中に収めてゆく。
一方、持ってない者=弱者は、消えてゆくだけ。

金があれば、人が、たくさん寄ってくるけど
金がないと、誰も、来なくなる。

 

⇒ここで、米原さん、ビリーやこの曲にコメントをお願いします。

名曲だけど、自分では歌うことはできない。
また、ビリー・ホリディーの生々しい人生は想像するかないので意図すること、意味することも、確実に理解はできない。
彼女は麻薬もやり、性的な暴力と孤独感にも生涯つきまとわれていたし、アル中でもあり、犯罪者であり、暗い多面性をもった人である。しかし、歌うときは、明るい歌も希望の歌も説得力を持って表現した。

常人では手をつけられない存在感、重い領域にある。
凡人は、おどけた、軽い、セクシーな色恋の歌を歌っているほうが楽。


ジャズの魅力のひとつは、エンタメであること。しかし、ジャズは自由だから、やってるほうが楽しくて他人を楽しませることを忘れがち。独断専横になりがち。お客さんから金をもらう以上、計算されつくしたパフォーマンスでなければいけない。顧客満足度も重要。ライブをやる店、クラブのあり方も考えないといけない。

その伝統もあった。それらを確実にこなしてゆけば新たな顧客、市場を開拓し広まる可能性もある。


正木まどかは、この点、合格点をやれる。

・常にセクシーなドレスを着る。(不注意な歌手が結構多い。困ったもんだ。)
・MCが上手い。
(フランク、自然、そこそこHだが、下品にならない。品格がいやしくない。)


ビリーが男に泣かされ続けた理由はなぜか?
騙されても、裏切られても、男が好きで仕方がない、かわいい女だったから?

もてる怖さ、もてることは孤独である。人に見られる怖さ。人気者は孤独である。心の支え、つっかえ棒がほしかった。米原さんが、そのとき、いれば、守ってあげたのに?


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では、広瀬麻美さんの歌で、お聞きください。「God Bless the Child」

https://www.youtube.com/watch?v=6_8OCHttkI8


山川浩一
http://www14.plala.or.jp/inu789/yama/
広瀬麻美
http://www14.plala.or.jp/inu789/yama/hirose-cd.htm
正木まどか
http://www.madocamasaki.com/
高井健
http://www.geocities.jp/onhermajesty_s/



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