逆子(骨盤位)の治療

1、はじめに

ここ数年、逆子(骨盤位)の治療に来られる妊婦さんが激増しました。鍼灸師の資格を取って仕事を始めてから年に1回くらいは治療することもありましたが、最近のように1ヶ月に1人くらいの割合で患者さんが来られることはありませんでした。妊婦さんが自分から思いつくわけはありませんし、関西のように鍼灸治療が盛んな土地柄でもありませんので、不思議に思っていました。来院された妊婦さんに尋ねたところ、近くの総合病院の看護婦さんや助産婦さんが逆子の治らない妊婦さんに鍼灸院での治療を勧めてくださっているのだと分かりました。さらに最近では口コミや、当院のブログの記事を見て来られる方もいらっしゃいますので、ホームページに「逆子治療」のページを作ることにしました。


2、逆子(骨盤位)とは?

一般的には「逆子」と言いますが、医学的には「骨盤位」といいます。赤ちゃんの頭が上を向いている状態のことをいいます。ほとんどの場合には出産が近づくと正常な位置(「頭位」といいます)に戻るのですが、中には戻らない場合もあります。自然分娩の場合には「頭位」であることが望ましいのですが、「骨盤位」でも出産が不可能なわけではありません。但し、多少の危険も伴いますし、最近のように医療裁判の多い状況では医師のほうが、帝王切開手術を勧めるケースが多いようです。


3、逆子(骨盤位)の原因

西洋医学的には原因不明ということになっていますが、当院では原因は「冷え」というスタンスで治療をしています。もっと言うと、「内臓温の低下」が原因ではないかと考えています。西洋医学には「冷え」という概念がないので、なかなか理解していただくのが難しいのですが、赤ちゃんはお母さんのおなかの中が寒いので、寒さをしのぐために逆子になっているのではないだろうかと考えています。それでも寒さに耐え切れなくなった時に外に出てしまう、つまり早産になってしまうのではないだろうかと考えています。但しこれらは科学的に証明されているわけではありませんので、あくまでも推測ということになります。しかし、この考え方で多くの赤ちゃんが「頭位」に戻りますので、あながち間違いでもないと思っています。
現代ではアイスクリームやビールなどの冷たいものを口にすることは普通になっていますが、人間の体にとっては想定外の温度のものが体の中に入っています。アイスクリーム1個でおなかの温度は一気に3℃低下するといわれています。また便利になったおかげで運動量が減り、体温が産生されにくくなっています。これも体にとっては想定外の出来事です。このように体にとって想定外のことが、現代では当たり前になっています。せめて妊娠中だけでも体を想定内に戻してあげることが母子にとって必要なことだと思います。


4、逆子(骨盤位)の治療

治療は、@お灸治療、A足浴、B生活指導の3つを行います。皆さん「何をされるのだろう」と不安な顔をされて来院されますが、それほど過激なことをするわけではありません。赤ちゃんの居るおなかには一切触りません。触るのは足だけ、しかも膝から下だけです。
皆さん「逆子を治したい」という理由で来院されるのですが、治療自体は逆子を治すというよりも母体を正常な状態に戻すということを目的に行います。もっと具体的にいうと「おなかの中を温かくする」ことを目的に行います。おなかが温かくなり、赤ちゃんが逆子でいる理由がなくなり、結果的に「逆子」が治るという理屈です。ですから、妊娠の初期からでも、逆子でなくても、治療することは母体にとってとても良いことだと思います。

@お灸治療
来院されるほとんどの妊婦さんが「お灸」とはどんなものなのかを知らないで来院されます。中にはテレビで宣伝している「せんねん灸」をイメージされて来られる方もいらっしゃいます。逆子治療で行うお灸は、本当のお灸「点灸」という方法で行います。もぐさをひねってツボに置き、それに線香で火をつけて燃やします。すごく熱いわけではありませんが、「チクッ」とした感じがします。また多少皮膚が焦げますので火傷をします。但しお灸の目的はこの小さな火傷を作ることにありますから、この点は少し我慢していただきます。
お灸をするツボは左右の「三陰交(さんいんこう)」「至陰(しいん)」の計4ヶ所だけです。「三陰交(さんいんこう)」は内くるぶしの上方にあるツボで、別名「女三里(おんなさんり)」と呼ばれています。女性の病気には必ずといっていいほど使用するツボです。「至陰(しいん)」は足の小指の爪の脇にあるツボです。
お灸は毎日1回行います。来院時には当院で行いますが、来院できない日には家庭でやっていただきます。

A足浴
おなかを温めるために足を温めます。「眠り姫」という器械を使います。心臓から出て下行した血液は足を巡って帰ってきます。足は顔に比べると9℃ほど温度が低い冷たい場所です。そこを巡ってきた血液も当然冷たくなっておなかを通ります。ですから足を温めることによって温かい血液をおなかに返そうという発想です。赤ちゃんも温かくて喜ぶこと間違い無しです。詳しくは「全国冷え症研究所」のページをご覧になってください。但し、妊婦さんには超短波は行いません。

B生活指導
おなかを温かくすることを目的とした生活指導を行います。入浴方法や食事、衣類について指導いたします。腹巻、レッグウォーマーは必須アイテムです。当院でも自然素材のものを販売していますので、お持ちでない場合には買っていただきます。


5、料金、その他

料金は自由診療となります。初診時が4000円、2回目から2500円です。初診時の料金には自宅でやっていただくための「お灸セット」の料金が含まれています。また出来れば予約をお願い致します。
治療の頻度は患者さん次第です。毎日が理想ですが、最低でも週に2回は来院してもらいます。お灸の位置の確認と訂正を行うために週に2回の来院は必要です。来院できない日には自宅でお灸をしていただきます。
服装は普通の妊婦さんの支度で来てください。但し、膝から下は肌に施術をいたしますので、肌を出しやすい支度をしてきてください。


6、治療期間

逆子の治ったほとんどの方が治療開始から1週間から10日で治っています。但し、治療開始の週数にもよると思いますので、根気よく治療する場合もあります。
また、多くの方が32週前後で来院されます。おそらくこのあたりが病院側も妊婦さんの側も焦りが出てくる頃なのだと思います。理想はもうちょっと早い時期からの施術がよいと思います。
34週以降の開始では成功率がグッと下がります。この治療は妊婦さんにマイナスになる部分は全くありませんので、赤ちゃんのためと思って早めに来院されてください。


(逆子関連のブログ記事)
・「赤ちゃんは寒いんだって!、その1」(2007.3.18)
・「赤ちゃんは寒いんだって!、その2」(2007.3.19)
・「逆子が治った」(2009.10.30)
・「逆子が治った、その2」(2009.12.22)
・「逆子が治った、その3」(2010.6.5)
・「逆子が治った、その4」(2011.1.15)
・「逆子が治った、その5}(2012.1.26)

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