雑記帳

96.フラガール

この秋に台風16号、17号それと低気圧が合体して

大雨が2日間も降り続いた日、

仕方ないのでフラガール鑑賞と決め込んだ。

単なる踊り子の物語、話題が福島県内だし

どんな感じの映画だろう

位の軽いノリで出かけたが、なかなかどうして

笑いあり、涙!涙!涙!の感動大巨編だった。

そもそも当時の踊り子になった娘達と

当時就職したばかりの自分と

環境はそんなに代わりはない。

岩手の田舎の三男坊、働く場所が地元にない

黄金列車に揺られ、花の東京、関東園で

働くしかない。

気持ちの中はとにかく最低限自分自身の食い物くらいは

自分で手にする為、働くしかない。

それと炭坑住宅、炭住にすむ人たちと、差はない。

あれこれ今の様に職業の選択肢はない。

踊り子に気持ちが重なってつい涙した。

最初こそ流れる福島弁に笑っていたが

そのナマリも完璧で、従来なら

何処かおかしな福島弁になるのが通例だが

この映画の場合無かった。

全国版でもこのままだとつい本当にこれでよいのと心配になる。

吉本役の岸辺が踊り子の指導役と

居酒屋で言い合いになった時、まくし立てる場面

主演の指導役の松雪 泰子が言うように

他の県の人は判らないかもしれない。

又、その踊りも見事。

女優とはいえそれなりにこなせるとは言え

相当の練習のたまものと思う。

普通は吹き替えなどでうまくごまかす。

この映画の監督李相日はただ者ではないと思った。

今は亡き親父と子供達とそのハワイアンセンターに

行ったことがある。

もちろん初めて見るその踊りは見事だった

ドーム一杯に響く音と、ショウは見事だった。

それを踊るダンサーが、皆もと炭坑に住む住人

同じ県内でいわき弁話す人々とはつながらなかった。

(私は岩手県出身)

今福島は官製談合で揺れている。

全国的話題になるときは悪いニュースが多い。

日本初の誘拐犯が県内出身

10年ほど前は須賀川の祈祷し殺人事件

そして数十年前に起きた県知事の贈賄による汚職事件

忘れた頃に今回の事件、ウンザリするが

この映画見て、福島県も捨てたモンデもないと思った。

今年前半に元会津武士がモデルの

「バルトの楽園」これも良かった。

今は年末恒例になった「第9」の切っ掛けがこれ。

それと矢祭町。

合併に揺れる町が多いが、ここは合併しない宣言している。

3人目、4人目の子供に手厚いお祝い金がでる。

エネルギー革命に追われ、石炭から石油へ

その狭間で起きたことは、今後も形を変えて

起こることはバブル以後の、そして最近のリストラみれば

繰り返されることだ。

閉山からハワイアンセンターへ

大きく変貌する事業、それで全員再就職出来るとは

思わない。だがそこに留まる事も出来ない。

やるしかない。

それが今はやりたいことがない、働く道がないと

部屋に閉じこもるフリーターも居るが

誠に勿体ない。若さ情熱有るじゃない。

あの子達には、閉じこもる自分の部屋は無かった。

欲しい物買えるお金もない。

そして練習に明け暮れ、何とか踊れる様になって

綺麗に化粧した踊り子が

家族を、弟妹を養えるかもしれない

貧乏から抜け出せるかもしれない

嬉しさの余りはしゃぎ、弟妹に見せる。

その晩、解雇通知手にした親父に殴られ、

顔をぐちゃぐちゃにされた、あの娘の顔

気持ち是非見てやって下さい。

殴る親も、相当に辛かったハズです。

解雇された情けなさ、娘にソンなカッコウさせる情けなさ

親なら、何れ同じような気持ちだったと思う

そして紀美子にスターの夢を見、車で別れる。

その後の事は映画に譲るとして

こんな形で、踊り子が映画になるとは

思っても居なかった。

だがその生き様は、踊り子にしろ、平山 まどかにしろ見事。

当時、みんな貧乏だったが

何も知らず、一生懸命

まじめさだけで生きる。

多くの中学生がソンな気持ちで

就職列車に揺られたのは間違いない。

それと気持ちが重なる。

鑑賞に出かけるときはハンカチ3枚もって、どうぞ!

フラガール公式サイト

2006.10