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川上回新堂薬局
千葉県鴨川市南小町772−3







最近の話題




 @アクリルアミド (炭水化物のオコゲ)

 アクリルアミドとは、主に紙力増強剤、合成樹脂、合成繊維、排水中等の沈殿物凝集剤
、土壌改良剤、接着剤、塗料、土壌安定剤らの原料として用いられています。



 そのアクリルアミドがポテトチップスやフライドポテトなどの油揚げ食品から検出されました。
 スウェーデン政府より、ストックホルム大学と共同で行った研究の結果、炭水化物を多く
含むイモ等を焼く、または揚げることにより、アクリルアミドが生成されるという発表がありま
した。いわゆる炭水化物のオコゲの成分です。

 国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer)による発がん
性分類において、アクリルアミドは2A(人に対しておそらく発がん性がある)に分類されてい
ます。しかしながら人における発がんについては、現時点で確認されていません。(動物実
験のみです)





        (参考)国際がん研究機関(IARC)による発がん性分類
分類
評価内容
 例
 
  人に対して発がん性があ
る 
コールタール、アスベスト、噛みタバコ、カドミウ
ム等 
2A
 人に対しておそらく
発がん性がある
アクリルアミド、ベンツピレン(魚の焦げ)、クレオソト(木材の防腐剤)、ディーゼルエンジンの排気ガス等 
2B
人に対して発がん性を
示す可能性がある 
  クロロホルム、わらび、コーヒー等 
人に対する発がん性については分類できない
 カフェイン、お茶、コレステロール等 
 人に対しておそらく発がん性がない
  カプロラクタム(ナイロンの原料)等 






       アクリルアミド濃度測定結果
         FAO/WHO専門家会合報告書にある海外5カ国(ノルウェー、
            スウェーデン、スイス、英国、米国)の結果と、わが国で測定した結果
国立衛研
海外5カ国
ポテトチップス
467〜3,544 
170〜2,287
フレンチフライ 
512〜 784 
<50〜3,500 
ビスケット、クラッカー
53〜 302
<30〜3,200 
朝食用シリアル
113〜 122 
 <30〜1,346 
とうもろこしチップス類
117〜 535 
 34〜 416 
食パン、ロールパン
<9〜 <30 
<30〜 162  
チョコレートパウダー
  104〜 141 
  <50〜 100  
コーヒーパウダー 1
51〜 231
 170〜 230 
ビール
 <3 
<30  
                含有量の最大値と最小値(単位はμg/kg)
 
   
     
  


 厚生労働省では、このアクリルアミドというのは、ありふれた多くの食品に存在するので
摂取をゼロにするのは、難しいが、十分な野菜や果物を、毎日少なくとも5種類以上を含
む健康的でバランス有る食生活を心がけることにより、ガンから健康を守ることは充分可
能である、と話しています。



 揚げ物や焼き物を摂りすぎ無いこと。野菜・果物を摂ること。焦げた魚を控えることで、
健康な生活を送れます。あまりこれをリスクとして考えず、なるべく多くの種類の食品を摂
取できるよう心がけましょう。



  A健康食品の王様・・・・されど

 健康食品といえば一番はなんといっても大豆製品でしょうか。納豆、豆腐、豆乳などや枝
豆、煮豆、ゆば、がんもどき、味噌、醤油ですね。
 外国人の日本食嗜好(健康志向)はここから来ていると云っても過言ではありません。
先頃こんな記事を見ました。
大豆には胃ガンを防ぐ効果があった・・。

 岐阜大による追跡研究「高山スタディー」によると、男女共ともに、大豆の高摂取群は、
低摂取群に比べて、胃がんで死亡するリスクが約半分になっているというデータでした。
納豆、豆腐、豆乳など大豆を含む食品の摂取状況から、1日の大豆摂取量を推定して約7
年間の追跡調査(住民の摂取頻度と量を自己申告の形でデータ化)で、岐阜県高山市の
35歳以上の住民(男性1万3880人、女性1万6424人)を対象に行われました。
 なぜ胃がんで死亡するリスクが約半分になったかは確定されていませんが、有望な成分
としては、プロテアーゼインヒビターという発がん遺伝子の活性化抑制作用があるそうです。
そのほかにフィトステロールといい、コレステロール、中性脂肪を低下させる抗炎症作用の
ある成分や、TVなどでもおなじみのサポニン、イソフラボンといった抗酸化作用の成分も
含まれており、これらの相乗作用が、胃がんを減少させているようです。

 大豆イソフラボンは、体内で女性ホルモン(エストロゲン)と似た作用をするようです。こ
れは、分子構造が女性ホルモンと似た構造であることから、フィトエストロゲン(植物女性
ホルモン)とも呼ばれます。この大豆イソフラボンは大豆胚芽に多く含まれています。
 更年期障害といえばいろいろの不定愁訴を起こしますが、これは一部には女性ホルモ
ン(エストロゲン)の減少が考えられます。このような時、この大豆イソフラボンを摂取するこ
とで、更年期障害の症状緩和に効果があるようです。
 さらに女性の閉経後、骨粗しょう症が多発しますが、これはエストロゲンの減少により、
骨からカルシウムが流出することに起因します。エストロゲンの存在は、このカルシウムの
流出を防ぐのです。これに大豆イソフラボンの擬似女性ホルモン作用が功をなします。す
でにこれは動物実験等で明らかになっています。
 さらにこの大豆イソフラボンは、コレステロールの低下(血中コレステロールを低下させる
のは新たな胆汁酸の生成を促進するため)や血圧の安定(大豆タンパクの分解後のペプチ
ドは、血圧の調節に関与する酵素であるアンジオテンシン変換酵素"ACE"を強く阻害する
ため血圧を安定させるようです)にも効果もあるようで、動物実験では成果を出しているよ
うです。
 この大豆イソフラボンは女性のみならず、男性の場合は前立腺の肥大等の予防も考え
られます。男性ホルモン過剰を少しは抑えてくれるのではと、これも現在動物実験中だそう
です。
 さらに大豆は、神経伝達物質のアセチルコリンを生成し、学習能力の向上や、老化によ
るボケの予防効果も期待できるということです。

 日本人の大豆食品の使用量は、1日平均約70g〜90gだそうですが、米国食品医薬品
局(FDA)では、大豆タンパク質のもつコレステロール低下作用に着目し、大豆タンパク質
を1日あたり25g(大豆75g≒豆腐一丁)含む食品について「心臓病のリスクを低減する食品
」と指定したそうですが、この数字が本当なら、日本には心臓病患者はいないはずですね・・
・(大豆食品70g≒大豆タンパク25g)。 平均値の上回る人と、下回る人の差で、病気が出
ているのでしょうか。

 もうひとつ大豆といえば納豆です。
納豆にはナットウキナーゼという酵素があり、これが血栓の溶解作用を持ち、また血栓を
溶かすプラスミンという別の酵素を活性化させるといいます。
 納豆は朝食に摂られることが多いですが、血栓の生成される時間帯は就寝中が多い
ので、血栓予防には夕食に食べたほうが効果があるそうです。
 さらに納豆の臭いのピラジン化合物が、血を固まりにくくする作用をもちます。当然腸内
では納豆菌により悪玉菌が少なくなり、善玉菌を増やす要因になり、ひいては便通を助け
、納豆の食物繊維と協調して、腸内を掃除し整腸作用が期待できます。この整腸作用が
大腸ガンなどの二次的な予防効果にもなるようです。






 このように、見てきますと、大豆は完璧な健康食品であるように見えます。

 ところが、漢方的に見ますと、大きな欠点がありました。

 それは摂りすぎると、体内を冷やす事です。一般的に豆類は冷やす作用(陰の性質)が
あります。冷えは内蔵の機能低下につながり、免疫力や体の恒常性を損なわせ、長期に
わたるとアートニー体質などを引き起こします。摂りすぎると、内蔵が「虚」の状態に傾き
ます。
 たとえば、
 「冷奴にショウガ」 とか、「納豆にカラシとネギ」 
という食べあわせがありますが、これらを「薬味」といいます。
これは一時的に食べ合わせで、互いの害を緩和し、冷えを予防するための漢方の知恵
です。ショウガやネギは、温める作用があります。
 昔からの食べ合わせて美味しいと感じる物の中には、このように理にかなったものが多
いのですが、これは元来、漢方の考え方からきたものです。それゆえ「薬味」というのでは
ないでしょうか。
 この例のごとく、日本の昔からの食べ方等の習慣やスタイルを壊してはいけません。これ
らの「薬味」や「食べ合わせ」の習慣は、多くの先達の知恵と経験(何百年もの失敗例の)
の積み重ねの結晶ではないでしょうか。大事にしたいと思います。

 そのような理由から、どんなに良い食品だと判っていても、摂り過ぎれば、「害」が出るの
です。
  一回に摂りすぎるのではなく、少しづつ、あるいは、何度かに分けて、日々の食事の中に
加え、他の食品とのバランス等を考え、召し上がったほうが良いと思います。
何事も、及ばざるは過ぎたるに勝れり・・・なのです。







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 ○摂り過ぎとは

 この場合摂り過ぎとはどのくらいかというと、摂る人の体質にもよりますが、食事の全体
量により決まります。あくまでもバランス良く摂ることです。良いとなるとそればかり多く摂ろ
うと心がけますが、これがいけません。
 先の例(米国食品医薬品局(FDA))ですと、「大豆タンパク質を1日あたり25g(大豆75g
≒豆腐一丁)」ということですが、みそ汁、納豆・・なども摂る様でしたら、豆腐は半丁以下で
も良いと思います。必ず薬味を添えてお召し上がり下さい。

 漢方的には、陽の食品、例えば、ご飯(陽)や、煮込んだ野菜(陽です。しかし生野菜は
陰です。特に根類の野菜を煮る事により陽になります。)等と一緒に召し上がれば、陰陽
のバランスは整うと思います。
 先に、「他の食品とのバランス等を考え・・」と書いたのは、このような意味がありました。


 ○陰陽のバランス

 例えば欧米では肉にパンというのが、普通でしょう。
肉は陽の食品です。そしてパンは麦ですから陰の食品です。日本人が、肉(陽)をおかず
にご飯(陽)を食べると、陽+陽の形になり、炎症性の疾患が出やすくなります。
欧米の場合、肉食に生野菜(陰)を加えることにより、さらに良いバランスになります。

 反対に、日本では、一般には、ご飯に味噌汁に、納豆か豆腐を加えた食事ですが、これ
は先に記したとおり、陰と陽のバランスからして、たいへん良く整っています(といっても若
干陰に偏り気味です)。
 さらにここに煮込んだ野菜(特に根類が温める力が強くなる)、あるいは煮た魚類(刺身
は生なので、陰です)を加えることにより、より完璧な陰陽バランスを達成できます。

 野菜は生のままでは、陰ですが、火を通す事により、陽になります。これを 漢方では、「
陽にする」 とはいわずに、 「陽に戻す」 といいます。「陽体が、自然体」 だということを云っ
ているのだと思います。一般に火を通す事により、陽に戻りますが、その素材自身が陰の
場合はどんなに煮ても陰は陰という食品もあます。大豆や水物(お茶やコーヒーやジュース
類や氷水等)がそのような性質を持ちます。反対にショウガは生でも煮ても陽です。









 以上のように、日本の風土と日本人の体質に合わせながら、食事のスタイルも、何年も
何年も病気や失敗を繰り返しながらバージョンアップしてきたのが、今の日本食です。昔か
らの食の習慣と食べ合わせ(薬味など)を守って、食生活を組み立てられれば、自然に健
康になれるでしょう。


 

 
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