無料で読める家庭の医学 病気・疾患の解説、英語名、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学


小児科疾患:学校伝染病

●学校伝染病(学校出席停止期間の基準)
第一種:エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱、ペスト、コレラ
     細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス、パラチフス、急性灰白髄炎
     (全ての疾患:治癒するまで)     
第二種:インフルエンザ(解熱後2日経過まで)、百日咳(特有の咳が消失するまで)
     はしか(解熱後三日経過するまで)、流行性耳下腺炎(耳下腺腫脹消失するまで)
     風疹(発疹消失するまで)、水痘(全発疹が痂皮化するまで:痂皮かひ・カサブタ)
     咽頭結膜熱(主要症状の消退後2日を経過するまで)、結核(伝染のおそれがなくなるまで)
第三種:腸管出血性大腸菌感染症、流行性角結膜炎、流行出血性結膜炎、他
     (伝染のおそれがなくなるまで)
●第三種:その他の伝染病(代表例)
溶血性連鎖球菌感染症(ようけつせいれんさきゅうきんかんせんしょう);溶連菌感染症:
連鎖(レンサ)球菌の中でβ溶血能を有する菌群による感染症で、中でもA群溶レン菌による感染が殆どです。 この菌に冒されると咽頭炎、扁桃炎、膿痂疹(のうかしん)を起こします。 この菌の合併症として リウマチ熱と急性糸球体腎炎があります。
B群溶連菌感染症では新生児の敗血症、髄膜炎、更に肺炎を起こすことがあります。 また、この菌の発赤毒素による特異的な疾患として猩紅熱(しょうこうねつ)があり、 激症型の敗血性ショックを来します。

ヘルパンギーナ(ヘルパンギナ)・水疱性口峡炎・疱疹性アンギナ
ピコルナウイルス科に分類されるウイルス属である エンテロウイルス感染症の一種で咽頭の口蓋弓部に沿った口腔粘膜に小水疱や浅い潰瘍を認めます。 主に夏季に4歳以下の幼児に流行します。2-7日の潜伏期を経て発熱、ほ乳低下、流涎(よだれ)、 咽頭痛、嚥下困難(呑み下し困難)などをきたします。

手足口病(てあしくちびょう)
エンテロウイルス感染症のひとつで、手足の広範囲と口腔粘膜に水疱性丘疹を来します。ヘルパンギーナと同様、主として夏季に四歳以下の幼児に好発します。 4-6日の潜伏期を経て発熱、口内痛、食欲低下を来します。 乳幼児期の場合、臀部(尻)、膝、肘など皮膚に厚みのある部位にも水疱性丘疹がみられます。

伝染性紅斑(でんせんせいこうはん);第5病・リンゴ病
小児に多い疾患で、ヒトパルボウイルスB19感染母体より胎児に罹患し、出生した小児に 発症するウイルス性発疹症です。 症状は頬を平手打ちしたような紅斑が出来るのを特徴としています。 それで英語の病名はslapped cheek disease、直訳では平手打ちを撃けた頬病になります。 頬は赤いりんごを連想させることからリンゴ病の別名もあります。頬の紅斑が出来た後、四肢に網状の紅斑をも認めます。

感染源のヒトパルボウイルスB19は直径22nmほどの球状ウイルスで種特異性が強くヒトだけに 感染し、大人の場合でも飛沫経気道感染を起こします。 このウイルスはエンテロウイルス同様、エンベロープを持たない正二十面体構造をしています。 ウイルス表面(外殻)に脂質二重層により成り立つエンベロープを持つウイルスでは糖蛋白の存在を認められますのでそこに大きな違いがあります。すなわちエンベロープ蛋白があると有機溶媒などで脂質が 溶解して感染力が消失してしまいます。



日英対語:
インフルエンザ:influenza  百日咳:whooping cough  流行性耳下腺炎:mumps  風疹:roeteln
溶連菌感染症:streptococcal disease,β-hemolytic streptococcal infection  ヘルパンギーナ:herpangina
口峡fauses  手足口病:hand foot and mouth disease  ジフテリア:diphtheriae   猩紅熱:scarlatina
パラチフス:paratyphoid fevers  腸チフス:typhoid  コレラ:cholera  ペスト:plague   細菌性赤痢:bacillary dysentery
ラッサ熱:lassa fever  マールブルグ病:Marburg virus disease   急性灰白髄炎:poliomyelitis,polio
流行性角結膜炎:epidemic keratoconjunctivitis  伝染病:communicable disease, infectious diseases
咽頭炎:pharyngitis  扁桃炎:tonsillitis  膿痂疹:impetigo  リウマチ熱:rheumatic fever   口蓋弓:pillar
嚥下:deglutition   伝染性紅斑:slapped cheek disase   リンゴ病(第5病):fifth disease
ヒトパルボウイルスB19:human parvovirus B19   エンテロウイルス:enteroviruses    エンベロープ:envelope




百日咳pertussis 【カタル期・痙咳期・回復期】

■原因:百日ぜき菌と百日咳毒素
百日咳は鞭毛のない偏平好気性グラム陰性小桿菌である「百日咳菌」により起こる急性気道感染症です。この百日咳菌は0.5~1.0×0.2~0.3μmの大きさの卵形や楕円形に近い形をしています。この菌はヒトからヒトへくしゃみや咳などで飛沫感染(ひまつかんせん)します。

またこの百日咳菌はA型とB型の構造をもつ蛋白物質である百日咳毒素を産生します。 乳幼児がよく罹りますが、成人になっても罹患する場合も多くあります。



■症状:
症状はカタル期、痙咳期(けいがいき)、回復期の三期に分れます。

カタル期(1-2週) 感冒様症状(風邪に似た症状で軽い咳や鼻水程度)
痙咳期(2-3週) この時期は入ったからと言って風邪に似た症状が 重くなるわけではなく、普段は健康に見えますが、一旦発作が始まると連続性の激し い咳込みとその反動で起こる吸気笛声(ヒューヒュー ヒーヒーと言うような息の吸い込 み)を繰り返します。何回か繰り返した後喀痰を出して発作は一旦収まります。
百日咳顔貌:上記の症状に加えて静脈圧亢進、眼球結膜出血、顔面紫斑、浮腫なども連鎖的に起こることを言います。
回復期(1-2週) 発作回数が減少して症状が治まってきます。


■診断:
鼻咽頭からぬぐった体液をボルデ-ジャングー培地による培養をもって検査します。
(ボルデ-ジャングー培地にて分離培養:百日咳菌は培養中の発育阻害物質の 影響を受けやすいのでジャガイモ滲出液に含まれる多糖類などの作用と発育素の ニコチン酸の含まれた分離培地。)
更に末梢血白血球殊にリンパ球増多、ペア血清による百日咳菌凝集素価の測定なども行います。


■治療:
生活行動面では痙咳期の食事に注意し、温度変化を避けるようにします。
生後六ヶ月から一歳(例)
①アジスロマイシン水和物(ジスロマック細粒小児用) 10-12mg/kg/日  分1 5日間 (保険適用外)
②クラリスロマイシン(クラリスドライシロップ小児用 100mg) 10-20mg/kg  分2 7日間
上記①②のいずれかと下記を併用
・ヒベンズ酸チペピジン(アスベリンシロップ5mg/mL) 5mL 分3
入院例
ピペラシリンナトリウム(ペントシリン注射用1g) 50-125mg/kg 7日間 静注


百日咳:pertussis,whooping cough 百日咳菌:Bordetella pertussis  気道感染症:respiratory tract infection
百日咳毒素:pertussis toxin カタル:catarrh ボルデ-ジャングー培地:BodetGengou medium




麻疹・はしかmeasles 【カタル期・発疹期・回復期】


■原因:
●ウイルスにより空気飛沫系の気道感染を起こす病気。
はしかとはパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に分類されるはしかウイルス(一本鎖RNAウイルス)によって引き起こされる病気で、空気飛沫系の気道感染をする病気です。 乳児期後半から幼児期にかけて発症することが多い病気です。 しかし最近、我が国では成人でのはしかも多く報告され問題視されるようになってきました。 潜伏期は9~12日で、病気はカタル期、発疹期、回復期の3期に分けられます。



■症状:
●カタル期・発疹期・回復期
はしかの初期に見られるカタル期には発熱、鼻水、くしゃみ、咳、流涙、目の充血などを起こします。 それが数日過ぎると奥歯にあたる頬の内側の粘膜辺りに小さな白斑が出現し、 それを口内疹(コプリック斑)と呼んでいます。
その後更に数日を経て一旦熱は下がりますが、発疹期に入り、発疹が耳の後部から顔面、胸、背中、お腹、手足へと全身に広がって行き、高熱も続くようになります。 初めのうちは小さな紅斑状丘疹がぽつぽつと出来ますが、やがてそれらが融合していろいろな 大きさの斑状疹になり、地図を描いたような状態になることもあります。 また高熱やカタル症状も続きます。
続いてはしかの回復期は発疹出現後、3~4日で解熱し、他の諸症状も軽快していきます。発疹は褐色の色素沈着を暫く残して皮が細かく剥がれ、約1週間で全快します。
コプリック斑:ヘンリーコプリックHenry Koplik(米国・小児科・1858-1927)が1896年により記載された。


■診断・治療:
診断は臨床的に行えますが、カタル期に於いてはコプリック斑も特徴的症状です。 はしかウイルスに直接的に有効な薬はなく、対症療法がなされます。
・発熱の対症療法
以下を選択
アセトアミノフェン(アンヒバ坐剤小児用50-200mg)
アセトアミノフェン(カロナール細粒50%) 1回10mg/kgを頓用。6時間ごと、1日4回まで。

・カタル症状の対症療法
下記を適宜組み合わせ使用
塩酸シプロヘプタジン(ペリアクチンシロップ0.04%) 0.5mL/kg
ヒベンズ酸チペピジン(アスベリンシロップ0.5%) 0.5mL/kg
カルボシステイン(ムコダインシロップ5%) 0.6mL/kg


日英対語:
はしか:measles   はしかウイルス:German measles virus   パラミクソウイルス:paramyxoviruses
気道感染:respiratory tract infections   潜伏期:latency period   カタル:catarrh    発疹:exanthema   発熱:pyrexia
くしゃみ:sneeze   咳:cough   流涙:lacrimation   コプリック:Koplik spot


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