|
●回虫症(かいちゅうしょう)ascariasis,ascaridiasis:
回虫roundwormという虫が原因で起こる病気で、成虫はヒト小腸に寄生して雌は約30cm、雄は約20cmの長さがあり、肌色若しくは淡紅色の細長い紐状のいわゆる線虫です。
日本では一時衰退した病気ですが、最近無農薬や有機栽培野菜などの人気で感染者が再びみられるようになってきました。
ヒトが野菜を食べる際に回虫の成熟卵を経口的摂取して感染します。
小腸で卵が孵化して幼虫になり小腸壁から静脈内に入り肝臓、心臓、肺へと運ばれ、
肺で発育して肺胞から気管、咽頭、食道を通って再び小腸に戻り成虫になります。
症状:
殆どが無症状ですが、肺に移行する時に一過性の肺炎症状をおこすこともあり、きつい咳や喘息発作も見られます。
滅多には見られませんが多数の寄生虫が絡み合って塊を作ると腸閉塞を起こす場合もあります。
回虫は一定場所に留まってはいませんからいろいろな症状を来たす可能性があります。
胆管、膵管、虫垂などに侵入すると激痛を覚えたり胃に入ると口から吐くこともあります。
診断:
検便で卵がみつかれば虫がいますが、雄虫だけの場合は卵は出てきませんのでX線検査や腹部超音波検査を行います。
治療:
回虫、鉤虫、蟯虫駆除薬では
パモ酸ピランテルpyrantel pamoate(商品名:コンバントリン;ファイザー)、
鞭虫駆除薬ではメベンダゾールmebendazole(商品名:メベンダゾール;ヤンセン-協和発酵)。
予防として、有機栽培野菜を丁寧に洗ったり加熱して食することです。
糞などの肥料を用いる場合は肥溜めなどで腐熟させてから用いるようにしなければなりません。
●鉤虫症(こうちゅうしょう)hookworm disease,ancylostmiasis:
鉤虫hookwormは約1cm程の白い虫で、鉤の名の通り頭部に鋭利な一種の歯hookがあるのが大きな特徴です。
ズビニ鉤虫とアメリカ鉤虫の2種がヒト寄生鉤虫の主要をなしており、フィラリア型幼虫が経口及び経皮感染をして
食道、胃、小腸、肺、気管と循環し、最終寄生部位の小腸に再び到達して成虫となります。
症状:
かつて農村部で、まかれた肥やしの中からでた虫卵が土の上で幼虫となって野菜に付いたものを食べたり(経口感染)、
土に皮膚が直接触れて皮膚から幼虫が入る(経皮感染)ことがよく見られました。
皮膚から入った場合肥料かぶれ(肥まけ)を起こし点状の皮膚炎を起こしたり、肺に移行して吐き気や喉の痒みを覚えたり
咳き込んだりして、いわゆる喘息様発作を起こすこともあります。
また成虫が吸血すると人は失血をして鉄欠乏性貧血に代表される小球性低色素性貧血を生じることもあります。
予防と治療:
便の検査で虫卵が見つかれば駆除します。幼虫は野菜の葉に付着している場合が多いので丹念に洗い流すことが大切です。
また経皮感染を防ぐには裸足で田畑の作業をしないようにすべきです。
尚駆除薬は上記の回中症と同様です。
●蟯虫症(ぎょうちゅうしょう)enterobiasis,oxyuriasis:
蟯虫pinworm,seatworm,oxyuridは雌が約1cm程の白い釣鐘型の虫で雌虫は夜中に肛門に出てきて肛門周辺に約1万個の産卵をします。
また雄の大きさは5mm以下が普通です。
虫卵は口に入ってから2,3週間後に盲腸に寄生して成虫になります。
症状:
肛門に出て産卵すると、肛門周辺や会陰部に激しい痒みや湿疹、皮膚炎を生じさせます。
その状態が長期化すると特に児童などでは掻き傷を作ったり、睡眠障害、夜尿症、記憶力低下、
注意力散漫などの神経症を類発することがあります。
検査法:
夜間肛門周辺に産卵する習性を利用して早朝などにセロファンの粘着テープで出来たキットを肛門に押し付け、それを顕微鏡で虫卵の有無を検査します。
しかし陽性と出てもその段階では必ずしも依然是成虫が寄生しているとは限りません。
同時に陰性であっても現時点で蟯虫感染が無いとは言い切れません。
それで精度を高めるためには二回法のキット検査が行われています。
駆除薬は上記の回虫症と同様です。
●寄生虫アレルギー:アニサキス症・アニサキスアレルギー
■原因:
鯖(サバ)など海産の魚などにアニサキス幼虫が寄生していることは広く認知されるようになりました。その魚を摂取することで様々なアレルギーを引き起こします。
■症状:
●消化管アニサキス症:アニサキスが寄生した魚をヒトが生(酢でしめたものを含む)のまま摂取すると寄生していたアニサキスが消化管の胃粘膜などに食いつくと胃腸の粘膜に激痛を伴うアレルギー炎症を起こします。この場合胃粘膜など限定的なアレルギー症状となります。
●アニサキスアレルギー(全身性:全身症状のもの):アレルギーが全身に広がったものでじんま疹のような症状を示します。鯖を食べてじんま疹が起こるのは近年このアニサキスが原因であると考えられています。
■治療・対処:
消化管アニサキス症の場合抗原となるアニサキスは魚類を加熱や冷凍をすることにより不活化させることが出来ます。一方じんましんを生じさせるアニサキス抗原は熱耐性がありますので、両者の抗原は異なるものと考えられます。それで熱を通した魚ではアニサキスは死滅していて激痛などの症状は起こしませんが、じんましんなどの症状は起こし得ます。
胃内視鏡検査を行い胃粘膜に寄生虫が食いついているアニサキスを確認すれば、内視鏡的手術でアニサキスを取り除く事で症状を改善することが出来ます。
じんま疹の場合の処方例:
【抗ヒスタミン薬】d-マレイン酸クロルフェニラミン:ポララミン錠2mg 3錠 分3
寄生虫アレルギー:Parasite Allergy アニサキス:Anisakis アニサキス症:anisakiasis
じんま疹:urticaria 消化管:digestive tract 胃粘膜:gastric mucosa
|