家庭の医学


睡眠時無呼吸症候群sleep apnoea syndrome(SAS);G473

■原因・症状:
睡眠時無呼吸とは成人の場合、睡眠時(睡眠中)の呼吸の為の鼻と口での気流が停止された状態が10秒以上の場合を言い、睡眠1時間あたりこれが5回以上起きると睡眠時無呼吸症候群と定義されています。被験者(患者)により時間ごとのばらつきがありますが一晩(7時間)で概ね30回以上見られるならこの病気に入ります。

また酸素飽和度の3-4%低下が見られる低呼吸も無呼吸として扱われる場合もあります。それで睡眠1時間あたりの無呼吸ないし低呼吸が起きる回数を無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index;AHI)として診断などにも用いられていて、このAHIが5以上であれば睡眠時無呼吸症候群と定義されています。
しかし上記の数値に達していなくても日中症状などが出るのであれば治療の対象及び健康保険適用となる場合も多くあります。

●閉塞型SAS:
無呼吸中に呼吸努力を行う場合に閉塞型に入ります。無呼吸が生じるごとに認識して短期覚醒をし無呼吸を解除しますので1晩に30回以上覚醒を経験するため日中過度の眠気を催す場合があります。
原因は肥満と老化などで上気道部分が狭まってしまう場合がかなりあり、普段の生活の中での過度の喫煙、飲酒、暴食などがリスクを高めると考えられています。首回りに脂肪がつき過ぎると発声の変化も起こり独特の太り声を示す場合が多く見られます。

●中枢型:
無呼吸時に呼吸努力を行わない場合にこの型に入り、以下のチェーン・ストークス呼吸 はその代表的なものとなります。この場合肥満などの体型は関係ありません。
・チェーン・ストークス呼吸Cheyne-Stokes breathing:
周期性呼吸を示し、換気量の増減変動(呼吸のリズムと強弱の乱れ:呼吸が荒く速まった後遅くなる)が生じた後に無呼吸を起こすというパターンを周期的に繰り返すもので、周期は30秒-120秒程度で見られます。呼吸の調整には脳、末梢神経、ガス系の化学調節があってその炭酸ガス(二酸化炭素)分圧の感度に問題が起きると周期性呼吸を起しやすくなります。

●混合型:
上記両者が混合されたもの。



■診断:
以下の検査方法が一般的に用いられています。
・終夜睡眠ポリグラフ検査polysomnography;PSG
睡眠中の脳波、酸素飽和度、筋電図、眼電図、心電図、呼吸運動測定などの生理現象を同時進行で複数測定する方法が一般的にとられます。皮膚表面などに様々なセンサーや電極を装着することで多くのデータが得られます。



■治療例:
●経鼻持続気道陽圧(nCPAP)療法
固定圧を一定に加圧する方法と患者の無呼吸状態をセンサーで感知して加圧を自動調整する方法とがあり、様々な事情に応じて選択します。
●口腔内装具(OA)
仰向け状態で睡眠時下顎(したあご)が下降すると無呼吸に一層拍車をかける事となりますのでマウスピース形態の装具をくわえる事で下顎を前方にずらして咽頭部の狭窄を軽減させます。 
上記の方法では対症療法で病気が治るわけではありませんが肥満が関係している場合にはやはり減量対策をとる事が重要です。肥満の原因に合わせた減量得方法を得て実行すべきです。




自然気胸(しぜんききょう)spontaneous pneumothorax(原発性・続発性)

■原因:
自然気胸とは肺が虚脱きょだつ(潰れるもしくは萎む)して空気が胸腔内に入り込む病態で、事故などによる外傷性や 人口気胸*などを除いた部類のものを指しています。 その内、ブラbulla(気腫性肺嚢胞のひとつ)やブレブbleb(胸膜内に及んだ気腔)の破裂が原因の場合を原発性、 病気や薬剤が原因のものを続発性と呼び区別しています。
*人口気胸:有効な薬物療法が生まれてない時代に行われていた肺の虚脱療法の一種で、経皮的に空気を500mL程度挿入 させる事によって結核病巣を萎縮させる方法。現在は施行されなくなりました。

その中でも原発性の頻度が高く20代男性を中心に多く見られます。 続発性の原因となる疾患では肺結核、肺がん、喘息、肺化膿症、肺炎、肺サルコイドーシスpulmonary sarcoidosis (肺に出来る肉芽腫granuloma)、子宮内膜症endometriosisなどがあります。



■症状:
気胸が起きると肺の呼吸機能に甚大な影響を与えますから呼吸困難や息切れ、発作的な咳、 また背中や肩にまで広がるような胸部の痛みを覚えます。



■診断:
先ず聴診器で気胸側の呼吸音の減弱、打診では横隔膜の低下を確認出来ます。
胸部X線写真では虚脱した肺と胸腔に空気が貯まっているのを見ることが出来ます。また胸部CT検査では肺の表面にあるブラやブレブの位置や大きさを確認出来る場合があります。



■治療:
軽度であれば安静にしているだけで虚脱部分が再び膨張します。しかし中度以上になれば胸腔内にチューブを挿入して脱気の処置をするための胸腔ドレナージを行います。その場合再発率は20~40%とかなり高めです。 その治療を繰り返したり効果がなくなってくると、手術が適応されます。

手術は胸腔鏡手術で、小さく1cm程皮膚切開した場所から内視鏡と器具を入れて行ない、肺の表面に出来たブレブを切り取ります。




肺真菌症(はいしんきんしょう)pneumomycosis;pulmonary mycosis


■原因:
肺真菌症とはカビ(真菌・しんきん)による感染症で、院内感染すなわち病院内で起こす感染に多くみら れます。カビの種類は非常に多くありますが、その内の三例を簡単に取り上げます。

●アスペルギルスによるアスペルギルス症aspergillosis;
アスペルギルスは自然界のどこにでも存在する糸状真菌で、その胞子(分生子)は 常時空中浮遊していますから、大抵は肺を侵します(アスペルギルス肺炎aspergillus pneumonia)。 また、感染者の免疫状態によって病態が分けられています。
①侵襲性(続発性):免疫不全症の場合罹患し、死亡の場合もあります。
②半浸襲性:長期のステロイド使用や糖尿病などで中等度に免疫機能が低下している場合で、治療により軽快します。
③非浸襲性(腐生性):アスペルギローマaspergillomaのことで、病気が原因で肺に出来た隙間もしくは空洞にこのカビが侵入して増殖するとX線撮影で独特の三日月形の影を映し出します。

●肺クリプトコッカス症:
クリプトコッカス・ネオフォルマンスCryptococcus neoformansという無性生殖酵母様真菌で鳩の糞や土壌などに生息しており、これを経口的に吸う事で、健常人にも発症する疾患です。


●肺ムコール症pulmonary mucormycosis

ムコールは自然界のどこにでも存在するカビで基礎感染に隠れて潜在的に発症したり急性肺炎の症状 を見せたりし、血管の侵襲性が強いために出血を起こしやすい病気です。

●ニューモシスチス・カリニ肺炎Pneumocystis carinii pneumonia
カリニは元来原虫と思われていましたが、遺伝子解析ば進んだ結果真菌に類縁の微生物と考えられる ようになりました。 幼少期に感染したあと潜伏状態が続き、免疫機能が著しく低下すると発症します。 症状は乾性の咳、発熱、呼吸困難が主ですがそのまま放置すると殆ど助からなくなります。
まだ十分な効き目のある薬はありませんが、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤 sulfamethoxazole/trimethoprim( ST合剤)やイセチオン酸ペンタミジンpentamidine isetionateが有効ですが副作用も強いので使用には十分の注意が必要です。



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