無料で読める家庭の医学 病気・疾患の解説、英語名、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学


肝硬変(かんこうへん)Liver Cirrhosis;hepatic cirrhosis;hepatocirrhosis


■原因:
肝硬変は肝炎ウイルスhepatitis virusesだけでなく、アルコールによっても引き起こされる病気です。 成因の割合では、HCV感染によるものが約70%、HBV感染によるものが約15%、アルコール性のものが10%となっています。また栄養不足からも起こります。 文字通り肝臓が硬くなる病気で肝の繊維化が増強して正常組織が消失していきます。



■症状:
肝機能検査を受けても異常のない場合もあり、その場合は代償性と呼んでいますが、非代償性は胃腸に変調を来たし、黄疸(おうだん)をはじめ、上腹部にはりを感じ食欲がなくなり便秘や下痢、嘔吐が生じます。お腹の右上辺りに肝臓が硬くなっていることを触って確認出来ます。 また手のひが赤くなり皮膚に血管が浮き出てくるようになります。また浮腫や腹水も見られ、お腹が膨れて水が溜まるようになりますが、その頃は相当の苦痛を伴います。



■治療:
肝硬変のうち、代償性のものは慢性肝炎と同じように行います。また、非代償性の場合は先ずアルコールを完全に断たなければなりませ ん。安静を保ち、運動も控えたほうが無難でしょう。 食事療法も重要で一般的には高タンパク、ビタミンB複合体などを多く摂るようにします。 またブドウ糖液の点滴やビタミンや副腎皮質ステロイド注射も行います。

アミノ酸製剤として、リーバクト顆粒(味の素フォルマ)・アミノレバン(大塚工場) などを処方します。
また血清トランスアミナーゼが異常値を持続すれば、胆石の溶解薬としても用いられているウルソデオキシコール酸ursodeoxycholic acid(UDCA):商品名・ウルソ錠(三菱ウェルファーマ)、 別にはポリエンホスファチジルコリンpolyenphosphatidylcholine:商品名・EPLカプセル(アズウェル)や強力ネオミノファーゲンシー注(ミノファーゲン-鳥居)が処方されます。

また、治療法の選択や効果予測、また予後判定などには肝細胞機能の程度を 知ることが重要で、下に記す表が広く用いられています。


肝硬変の重症度分類(Child-Pugh分類)
評点1点2点3点
血清ビリルビン(mg/dL)2.0以下2.0~3.0 3.0以上
血清アルブミン(mg/dL)3.5以上3.0~3.5 3.0以下
腹水なしコントロール可能コントロール困難
プロトロンビン時間延長(秒)4.0未満4.0~6.0 6.0以上
昏睡度なし軽度(Ⅰ~Ⅱ)重度(Ⅲ~Ⅳ)
各項目の点数を合計し、5~6点がグレードA、7~9点がグレードB、10~15点が グレードCとして判定します。




アルコール性肝障害 alcoholic hepatopathy:alcoholic disease


■原因:
アルコール性肝障害のカニズムが解明されているわけではありませんが、アルコールの飲酒の総量と肝障害との係わりは明らかといえます。 肝障害の分類は脂肪肝、アルコール性肝炎、肝繊維症、肝硬変に分けられます。 いずれにしてもアルコール性の肝障害は神経や心臓また筋肉といった全身に係わる症状が出てきます。

どの程度の量でこれらの症状が出てくるかは個人差があり、特定出来ませんが一般的には 男性で一日150g、女性で一日120g以上のアルコール飲用が継続する と肝障害が生じると言われています。 日本酒三合でアルコール(エタノール)が約80g摂取することになります。



■症状:
アルコール性肝炎は肝細胞が広範に渡って壊死が生じ発熱や黄疸も見られ、劇症肝炎、急性 肝不全の症状を起こす場合もあります。 細胞の壊死の速度が速いために治療が追いつかなくなってしまうのです。 脂肪肝や肝炎は禁酒することで治癒可能ですが、アルコール依存症となると禁酒が困難になり、アルコールの代謝過程でアセトアルデヒドが生じて脳や臓器系の障害を起こすことになります。



■治療:
外来患者であれば自宅や出先での禁酒を徹底しなければなりません。 生活改善意識向上のためにも栄養剤その他の薬を服用することもあります。
パントテン酸:パンテチンpantethine:商品名・パントシン錠 (扶桑)、ウルソデオキシコール酸ursodeoxycholic acid(UDCA):商品名・ウルソ( 三菱ウェルファーマ)

入院などで禁酒を行い、せん妄、抑うつ、振戦などの離脱症状が出る場合、鎮静剤の投与を 受けることもあります。
例:長期作用型(24時間以上)のジアゼパムdiazepam:商品名ホリゾン注(アステラス)1 アンプル+5%ブドウ糖200mLを点滴静注。
重篤な肝障害がある患者の場合、使用する薬に以下のものなどがあります。
グリコペプチド系薬の硫酸ポリミキシンB錠(ファイザー)、 アンチトロンピンⅢの低下が生じた時、 アンチトロンビンP:商品名・アンスロビンP注(化血研-ZLBベーリング)




脂肪肝(しぼうかん)fatty liver K760 【食餌療法・運動療法】


■原因:
脂肪肝は肝細胞の内部に中性脂肪が過剰に溜まった状態を言い、肝小葉の三分の一以上が脂肪化しているものを指します。 健全な細胞に脂肪が付着するのではなく、細かい粒上の脂肪が肝臓内部に沈着してしまいます。

この脂肪肝の病気の分類の仕方では、アルコール性と非アルコール性 non-alcoholic steatohepatitis;NASHの二つに先ず分けられます。 すなわちその原因はアルコールもしくは肥満など栄養のとり過ぎ、高脂血症、ステロイドなどの薬剤、 糖尿病、 栄養障害(炎症性腸疾患、神経性食思不振症など)などがあります。最近ではこのNASHの注目が高まり、NASHによる脂肪肝であっても10%~20%は 肝硬変 肝細胞がんへと進行する可能性があることが報告されています。



■症状・診断:
症状ははっきり出ない場合もあり、更には血液検査で異常が見られない場合でも腹部超音波検査(肝エコーレベル上昇) や腹部CT(肝CT値低下)によって脂肪肝が認められます。 実際に血液検査でトランスアミナーゼ(ASTとALT)の上昇が見られるのは30%程度で NASHの症例でも正常値を示す場合があります。



■治療:
治療では原因療法がよく行われており、症状に応じてカロリーやアルコールの制限が必要となります。

●食事療法
肥満など生活習慣病が関係している場合は減量が大切ですが、やみくもなダイエットではなくリバウンドを生じさせない為にも 一ヶ月に500gから1000g程度の減量を目安として行うように計画します。一日の総カロリーは体重1kgあたり30kcalで計算し、 体重50kgであれば一日1500kcal、60kgの場合は1800kcalというようにします。 総カロリーの内訳で考慮すべきことを簡潔に言えば、脂肪分と糖分と炭水化物(穀類)の摂取を抑えて 蛋白質と野菜ををしっかり摂ることです。

●運動療法
種々の運動では一回に20分程度続けて行う有酸素運動(一時的に呼吸・脈拍ををはやめ体温を上昇させる効果)心がけますが、それがきつければ飽きない程度に無理をしないで小分けにして運動する方法でも構いません。
エクササイズ(運動)は20分行っても5分行っても体脂肪は燃焼します。しかし有酸素運動が出来ると呼吸器の運動や血液循環・血流が活発になり体温も上昇しますから体脂肪の燃焼効果は更に強まります。

散歩も効果はありますが、ウォーキングも治療の一環ですから大股で歩いたり早足にしたり肘を曲げて両腕をしっかり振りながら歩くなどして意識的に行うほうが更に効果があらわれます。

●薬による治療法
他の病気を併発している場合、それらの病状にあった薬が処方されています。
以下にその例をあげます。

・プロブコールprobcol高脂血症用薬
 シンレスタール(250mg)[第一]、一回250mgを一日二回朝夕食後。
・ポリエンホスファチヂルコリンpolyenephosphatidylcholine脂肪肝や高脂血症などの肝機能改善薬
 EPLカプセル(250mg)[アズウェル]、一回1~2カプセルを一日三回毎食後。
・イコサペント酸エチルethyl icosapentate高脂血症用薬
 エパデールカプセル(300mg)[持田-大日本住友]若しくはエパデールSカプセル[持田]
 一回600~900mgを一日三回毎食後。
・ベザフィブラートbezafibrate高脂血症用薬
 ベザトールSR(100mg,200mg)[キッセイ]・ベザリップ[中外]、一回200mg前後を一日二回朝夕食後。

脂肪肝:fatty liver   中性脂肪:triglyceride   アルコール性:alcoholic    肝硬変:cirrhosis
超音波:ultrasound   腹部:abdomen   運動療法:exercise therapy    有酸素運動:




急性膵炎(きゅうせいすいえん)・慢性膵炎(まんせいすいえん)

●急性膵炎acute pancreatitis:
○過剰な膵酵素による自己消化
急性膵炎は膵臓(すいぞう)自らが作る膵液(膵酵素)の過度の活性化に因る自己消化によって引き起こされる病気です。 原因としてはアルコールが多く、他に胆石、高脂血症、高カルシウム血症、耳下腺炎、薬剤などがあります。 暴飲暴食や過労から起こる胆石も主原因となっています。また腹部の強打が原因になることもあります。

症状はお酒の飲みすぎや食べ過ぎのあと、上腹部に激痛が起こり特に左半身が締め付けられたような痛みを覚えます。 お腹がはってきて便通がなくなり、やがて発熱も出てきます。
診断は血液、尿検査が行われ、アミラーゼ(膵酵素)が多量に認められる事で診断がつきます。 更にCT、USなどによる画像診断も行われます。 病気の程度は重症、中等症、軽症に分類され、病理的には浮腫性、出血性、壊死性に分類されます。



●急性膵壊死acute pancreatic necrosis:
急性膵炎が悪化すると急性膵壊死が生じます。 急性膵壊死は膵実質が壊死に陥った重症の病態で、びまん性また巣状に起こります。 死亡率は40%以上に及びます。 壊死に感染が伴う場合は外科的治療が必要となり、壊死組織の除去や腹腔内洗浄、 ドレナージdrainage(皮下や創腔あるいは体内の貯留液または気体を体外に排出させる術)が施行されます。

急性膵炎の治療は入院が必要で、絶対安静にして絶食させます。水分も与えずに点滴でブドウ糖やその他栄養分をとります。 場合によっては胃の内部の胃液を鼻を介してカテーテルで吸引することもあります。 薬剤・抗生物質が与えられますが、容態が好ましくなければ手術も行います。



●慢性膵炎chronic pancreatitis:
慢性膵炎は3、40代男性に多い病気で、それは飲酒のとり過ぎが原因である場合が多いのです。 また膵管に膵石が見られることがよく有ります。 症状は上腹部の痛みが持続的に半年以上みられ、激痛でなくてもなんらかの不快感を伴い続けます。 消化不良や下痢もあります。 膵管の圧力が高まると、みぞおち周辺や背中などに痛みを覚えます。 急性膵炎のような激痛を上腹部に覚える場合もあります。 また膵実質が脱落することによって膵内・外分泌機能障害が生じ、糖尿病や消化吸収不良が現われます。

病気の原因は過度の飲酒、胆石症、急性膵炎などが考えられますので、治療では安静を保ちアルコールと脂質を制限します。 薬剤では消化酵素薬を用います。




胆嚢炎(たんのうえん)cholecystitis・胆石症(たんせきしょう)cholelithiasis;gallstone disease


■原因:
胆嚢炎は胆石が原因でなることもあれば胆嚢炎にかかると胆石が出来やすくなるものです。 それで両者の関係は大変深いものです。 また胆石があれば症状が無くても胆石症と呼ぶ場合が多いようです。

胆石は均一の成分ではなく、コレステロール系胆石、ビリルビン系胆石(色素胆石)その他の成分で作られています。 胆嚢内に一個から無数の胆石が作られます。 胆嚢や胆道の通りが悪くなると滞った部位に炎症を起こしたり、固まりやすい成分が分離されて胆石を作ると考えられています。女性に多く罹り、加齢と共に頻度は増加していきます。

また、不規則な食事を摂る人や事務的労働をする人が罹る割合が高いと言われています。 胆石が出来ると胆嚢は炎症しやすくなり、悪化すると胆嚢が壊死したり破れることがあります。 胆石が胆管中に出されて胆管が詰まりだすと黄疸が起きたり炎症を起こしたりします。
胆石以外の原因では浮腫や寄生虫などでも胆嚢管が閉塞し細菌感染して炎症をおこします。



■症状:
発作的な痛み(疝痛せんつう)、発熱、黄疸が特徴をなしていて、食べすぎた後や過労の後などに激しい突発的な 痛みを生じます。発作時は右季肋部から心窩部にかけての圧痛や腹壁緊張感が現われます。
痛みが5分程度でおさまる場合もあれば何日間も続く場合もあります。



■診断:
診断は色々な方法があり、X線検査、超音波(エコー)検査、コンピュータ断層撮影(CT)検査などの機械を使います。 造影剤を用いるとより鮮明に見えます。また経口的吸引を行って口からゴム管を飲み胆汁を吸いだして検査を行い、胆石の一部を確認することが出来ます。



■治療:
痛みもなくなり、お腹を押しても痛みが生じない程度であれば安静を維持しながら食事に注意して生活出来ます。 定期的な食事が大切であることはこの病態の原因からも察することができます。 もし食事が不定期的であると胆嚢に溜まる胆汁の流通が滞り、その結果胆石や炎症を起こすことがあるからです。 また脂っこい物を多く摂ったり食物繊維が足らない場合も同じことが言えます。 更に心身共に過労させないことも大切です。

また痛みがあれば右上腹部を広く冷湿布を施し、 アンピシリンampicillin(ABPC)などの抗生物質の投与も行います。ペニシリン系が使えない場合はセフォタキシナトリウム cefotaxime sodium(CTX)などを用います。
胆嚢内に2cm未満のコレステロール結石があれば、胆石溶解薬であるウルソデオキシコール酸ursodeoxycholic acid(UDCA) (商品名・ウルソ)などを用いての溶解療法をとることも出来ます。
胆管ドレナージ法PTBD・内視鏡的ドレナージEBD
胆管内に微小な胆石がある場合には十二指腸ゾンデduodenal tibeという1.5m程の長さの軟質のゴム管を経口的また径鼻的に消化器に挿入してその管から硫酸マグネシウム液を注入して胆嚢を収縮させて胆嚢を洗います。

しかし炎症が悪化していたり腸閉塞を起こしたり胆嚢が破れたりした時は手術が必要で、そこまで行かない場合でも手術が望ましい場合も多いのでインフォームドコンセントをしっかり図るべきでしょう。
手術は胆嚢そのものを切除しますが、それが適切でない場合は胆嚢から出る胆汁をカテーテルを用いて排出させる、経皮的胆嚢ドレナージ術を施します。 また開腹手術を行わなくてもお腹に数箇所1cm程度の穴を開けて、腹腔鏡(内視鏡)により患部を目視しながら鉗子(かんし)を用いて胆嚢を摘出する方法もあります。





肝癌l(原発性肝癌と転移性肝癌)・肝細胞癌


■概要:
肝癌(かんがん)とは肝臓で生ずる癌の総称で、通常では肝臓ガンとも呼ばれています。 肝癌の大別として、原発性肝癌と転移性肝癌に分けられます。

●原発性肝癌primary liver cancer:
肝臓に原発(起源として発生)する悪性腫瘍で、肝細胞癌、胆管細胞癌(肝内胆管癌)、 その両者の混合型癌、肝芽腫の上皮性腫瘍、肝嚢胞性腺癌、未分化癌、などがあります。 その内、肝細胞と肝内胆管による癌がおおよそ98%占めています。

●肝細胞癌hepatocellular carcinoma:HCC,hepatocarcinoma,liver cell carcinoma:
実質的な肝臓の機能を果たす特有の細胞組織に生じる悪性の上皮性腫瘍で、肝硬変やB型C型慢性肝炎を合併する場合が多く、 腫瘤が出来ると出血や変性、壊死を生じ易くなります。またB,C型肝炎が原因で肝細胞がんになる場合が大変多く、我が国では概ね95%がこの癌に罹ります。

●転移性肝癌metastatic liver cancer:
肝臓以外の臓器で原発した悪性腫瘍による癌細胞が、血管壁に浸潤などによって肝臓に着床し、増殖 したものです。転移性肝癌の頻度は原発性肝癌に比べて8倍も高く、また肝臓のみに転移するのは 0.1~4.2%程度とされていて、この癌がみられる場合は他の組織も癌に罹っている割合が極めて 高く局所性でないことから治療も困難になります。



■症状:
肝癌そのものからよりも肝炎や肝硬変による症状が一般的で、 食欲不振、倦怠感、腹部膨満感、便秘、下痢、黄疸、吐下血、めまい、冷や汗、頻脈などがあります。
また、進行すると心窩部腫瘤(しんかぶしゅりゅう)といわれるみずおち(みぞおち)にしこりを覚えます。 急激な腹痛などを覚える場合はかなり進行していると考えられます。



■診断方法:
血液検査と腫瘍マーカー及び超音波やdynamic CT/MRIによる画像診断、 更に精密に検査する場合には超短波映像を見ながらの針生検が行われます。

CT:computed tomography(コンピューター断層映像)(CTスキャンscan)はX線による 輪切りの実像が焦点面に結ぶものではなく、断層面周囲をX線により放射と検出で演算処理して 断層面が作成されます。また超音波による検査は放射線被爆がない面安全性が高まります。



■治療:
外科的切除・摘出の他、皮膚から注射針を入れて行う経皮的エタノール注入療法、経カテーテル肝動脈塞栓療法、マイクロ波により局部を加熱凝固させるマイクロ波凝固療法、経皮的ラジオ波焼灼療法などの局所療法などが行われます。 ラジオ焼却法などは切除術に比べて症例数が少ないためエビデンス(実証)に乏しく術者の技量に依存するところが高くなります。

●経カテーテル冠動脈塞栓療法:TAE transcatheter arterial embolozation
外科的切除や経皮的局所療法などが不適応の場合、腫瘍径が3㎝を超えるか多発している場合にこの治療を考慮します。血管造影を行いながら先ず親カテーテルを挿入し次いでその内管をマイクロカテーテルを通して目的部位まで到達させ、塞栓物質を注入して動脈を閉塞させ腫瘍領域を壊死させる手法です。

塞栓物質は効果が様々であり、適切な判断が求められます。血管が太い部類に入れば金属コイルで、 毛細管レベルであれば液体、汎用性の広いものではゼラチンスポンジを使用します。 またこれは他の治療法と併せて行う場合もあります。

●ラジオ波焼却療法:RFA radiofrequency ablation
もっとも一般的な局所療法で7-10本の細い針が局部で広がる展開型と、一本の針が針内部で冷水循環させ温度を抑えながら焼灼(しょうしゃく)するクールチップ(ティップ)cool tip型がある。

●マイクロ波凝固療法:MCT microwave coagulation therapy
針の先端からマイクロ波を放出し局所組織を加熱することにより凝固・壊死させる治療法。熱凝固範囲はラジオ波より狭いが針周囲のみエネルギー密度が高いため針周辺の組織障害に注意を要する。多発性の小癌に適応する。

●経皮的エタノール注入療法percutaneous ethanol injection therapy;PEIT
皮膚から単純な細い針で腫瘍を穿刺(せんし)し局所に純エタノールを3-10mL注入することで組織を壊死させる方法です。 後日効果が現れるのを確認しながら数回この治療は繰り返し行われます。針が細いので出血のリスクは軽減されます。

●肝細胞がんの化学療法による抗がん剤
次のものを使用(例)し、重大な副作用を付記します。
尚これらの副作用は必ず起きるものではありません。稀にしか見られないものもあります。

ニドランNidran(三共):塩酸ムスチニンnimustine hydrochloride(ACNU)-アルキル化剤
重大な副作用:骨髄機能抑制(汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少)、、汎血球減少。間質性肺炎、肺繊維症。

5-FU(協和発酵):フルオロウラシルfluorouracil(5-FU)-代謝拮抗剤
重大な副作用:脱水症状。出血性腸炎、虚血性腸炎壊死性腸炎。 骨髄機能抑制。白質脳症。間質性肺炎。肝機能障害、黄疸。消化器潰瘍。ショック、アナフィラキシー様症状。 うっ血性心不全、心筋梗塞。

ユーエフティUFT(大鵬):テガフール・ウラシルtegafur・uracil-代謝拮抗剤
重大な副作用:骨髄機能抑制、溶血性貧血。劇症肝炎。肝硬変。腸炎。白質脳症。狭心症、 心筋梗塞、不整脈。急性腎不全、ネフローゼ症候群。間質性肺炎など。

アドリアシンAdriacin(協和発酵):塩酸ドキソルビシンdoxorubicin hydrochloride(DXR) アドリアマイシンadriamycin-抗生物質
重大な副作用:心筋障害、心不全。骨髄性抑制。出血。ショック。萎縮膀胱。

ファルモルビシンFarmorubicin(ファイザー・協和発酵): 塩酸エピルビシンepirubicin hydrochloride-抗生物質。
重大な副作用:心筋障害。骨髄機能抑制。萎縮膀胱。

マイトマイシン(協和発酵):マイトマイシンC mitomycin-C(MMC)-抗生物質
重大な副作用:溶血性尿毒症症候群。急性腎不全。骨髄機能抑制。間質性肺炎、肺繊維症。 肝・胆道障害。




膵癌(すい臓がん)pancreatic cancer


■概要:
膵癌(すい臓がん)とは膵臓から発したがんで、膵臓は胃の後部にあり長さが20cm程の細長い形をしています。 膵臓は膵液と呼ばれる外分泌の消化液を作ったり、血糖を調節する内分泌のインスリンやグルカゴンなどのホルモンを作る働きをします。→膵臓とインスリンを参照してください
内分泌のホルモンはは血中に分泌されて行き、外分泌の膵液は肝臓で作られた胆汁とともに十二指腸へ流れていきます。

膵がんは上皮性と非上皮性に大分類されますが、殆どは上皮性の浸潤性膵管癌に罹っていて、通常膵がんと呼ばれる時はこのがんを指していて通常型膵癌とも呼ばれています。 国内においての膵がんによる死亡数は年間19.000人を超えており増加の一途です。60歳代に多くみられますが40歳以下にも増加傾向があります。通常の健康診断を受けていても膵臓は周囲が他の臓器で囲まれているために2センチ未満の小膵癌の場合、その発見が困難でありまた早い段階での症状も出ませんので判った時には手遅れに近い状態になってしまいます。



■症状:
特徴的なものはなく、腹痛、腰背部痛、食欲不振などに表れるようです。 またがんの進行によっては胆管が詰まることがあり、その場合には黄疸の症状も現われます。



■診断:
まず超音波による断層映像や内視鏡、レントゲン検査などで消化器の異常の有無を調べます。更にはCTによるX線断層映像やMRIによる磁気共鳴原理を利用した断層映像による検査が行われます。 EUS並びにERCPなどの内視鏡による精密検査もありますが、患者の負担が高いため最近ではMRIの改良型とも言うべきのMRCPという技術も生まれています。

病期は日本膵臓学会では4段階に分類されていて、がんの大きさ、程度、転移の有無などで 診断されます。UICCによる分類もあり、同じく4段階に分けられていますが、内容や基準に若干の違いがあります。



■治療:
●外科療法:
治療の主流をなす方法でがんの部分を切り取りますが、切除の箇所はがんの部位によって異なってきます。 また治癒切除が不能になっている場合には消化管のバイパス手術で食事が出来る ようにしたり、胆道バイパス手術によって黄疸を抑えることが出来ます。
予後は芳しくなく、切除後の5年生存率は18%程度になります。

●薬による化学療法の処方例(保険適用):
ジェムザール注射用1g 1g1瓶 1回1,000mg/m2 30分点滴静注
週1回 3週連続投与 1週休薬のコースの繰り返しを行う。(ゲムシタビン塩酸塩)
加えて効果を増すために5-FU注、プラトシン注、トポテシン注、ティーエスワンカプセルなどを併用して臨床試験が行われています。

●放射線化学療法:
放射線療法を行う場合、効果を高める目的で放射線増感作用のある抗がん剤が併用されます。
処方例
・5-FU注(250mg) 1回375mg/m2 24時間持続点滴静注 1-5日 8-12日  15-19日 (フルオロウラシル)
・プラトシン注10 10mg 20mL1瓶 1回40mg/m2 生理食塩液1000mLに混注し24時間持続点滴静注 1日目 (シスプラチン)
・アドリアシン注用10 10mg1瓶 1回25mg/m2 生理食塩液100mLに混注し30分点滴 1日目
(ドキソルビシン塩酸塩)
・タガメット注射液200mg 10%2mL 1管 1日800mg IVHに混注し24時間持続点滴静注  (シメチジン)


抗がん剤の幾つかとその重大な副作用(必ずしも起きるものではありません)
製品名 薬品名 副作用
ユーエフティ
UFT(大鵬)
代謝拮抗剤
テガフール・ウラシル
tegafur uracil
骨髄機能抑制、溶血性貧血。劇症肝炎。脱水症状。腸炎。白質脳症。心筋梗塞、 狭心症。急性腎不全。重篤な口内炎。間質性肺炎など。
アドリアシン
Adriacin
協和発酵
抗生物質
塩酸ドキソルビシン
doxorubicin hydrochloride
心筋障害、心不全。骨髄機能抑制。ショック、膀胱萎縮など。
ネオカルチノスタチン
科薬-山之内
抗生物質
ネオカルチノスタチン
neocarzinostatin
(NCS)
骨髄抑制。ショックなど。
マイトマイシン
協和発酵
抗生物質
マイトマイシン
mitomycin-C
MMC
溶血性尿毒症症候群。急性腎不全。骨髄機能抑制。間質性肺炎、肺繊維症。胆道障害など。


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