無料で読める家庭の医学  英語名、病気・疾患の解説、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学


腎盂腎炎(じんうじんえん)pyelonephritis


■概要・原因:
腎盂(じんう)の位置関係と尿の流れをおおまかに言うと腎臓→腎盂→尿管→膀胱となります。 それでこの炎症は多発する例として膀胱炎などの状態で尿が腎盂に逆流すると腎盂腎炎になります。 起炎菌は腸内細菌の大腸菌などグラム陰性桿菌が殆どで感染経路は尿路逆行性のものとなります。 急性では急性単純性腎盂腎炎(きゅうせいたんじゅんせいじんうじんえん)が最も多く、尿道と肛門が接近してかつ尿道が短いという理由で女性患者が50歳以下では男性の約30倍になります。

また腎結石、尿管結石、尿管狭窄などで水腎症を起こしていると尿が膀胱に進まず、感染を起こして腎盂腎炎になることもあります。 このような病状では慢性化している場合が多く、これを慢性複雑性腎盂腎炎と呼びます。

また皮膚や扁桃など血行性のものではグラム陽性球菌が主体になります。グラム陽性球菌はブドウ球菌群、 連鎖球菌群、腸球菌群などごく一般的にどこにでも存在する菌類ですが、発病は多く有りません。 これらの菌は健康な体で免疫力があるときには感染せず、体が弱った時などにかかるいわゆる日和見感染(ひよりみかんせん) となる場合が多いからです。



■症状:
急性の場合は悪寒戦慄、高熱(39度~40度)から悪心、嘔吐、全身倦怠感、局所症状では腎部痛、背部痛、腎部圧痛、腰痛などを訴えます。特徴的部位では肋骨脊椎角costovertebral angle;CVAに痛み(圧痛)を生じさせる肋骨脊椎角叩打痛CVA tendernessがあります。   また治療を始めても直ぐに熱は退きません。
慢性の場合は無症状の場合が多いのですが、尿流停滞の具合によって急性に進行することがあります。



■診断:
簡易な診断法としてはステーンハイマー-マールビン染色・抗体被覆バクテリアantibody-coated bacteria(ACB)フェアリー試験Fairley testなどがあります。



■治療:
化学療法が主体で投与、点滴をおこない、尿量を増やして細菌を洗い出します。 熱が下がるまでの4~5日は点滴を受けます。さらに2~4週間、抗生物質を服用します。
化学療法剤として:
サルファ剤:スルファジメトキシン・スルファモノメトキシン。 キノロン薬:ナリジクス酸・ピロミド酸・ピペミド酸三水和物・ シノキサシン・ノルフロキサシン・オフロキサシン・レボフロキサシン・エノキサシン・ トシル酸トスフロキサシン・塩酸ロメフロキサシン・塩酸ジプロフロキサシン・ スパルフロキサシン・フレロキサシン・ガチフロキサシ水和物・メシル酸パズフロキサシン などがあります。

使用例と商品名:
急性の軽症や慢性期-レボフロキサシンlevofloxacin(LVFX):クラビット[第一](100mg)1日2,3回。2-3錠。
急性の中等以上-塩酸セフォチアムcefotiam dihydrochloride(CTM):パンスポリン注[武田](1g)1日2回、1回1g。
慢性の憎悪期-塩酸シプロフロキサシンciprofloxacin hydrochloride(CPFX):シプロキサン注[バイエル](300mg)1回300mg。1日2回。




尿路結石症(にょうろけっせきしょう)(尿石症)


■概要:
●尿路結石症urolithiasis.urinary tract stone disease:
尿路(にょうろ)とは腎臓内部の腎盂や腎杯、腎臓から膀胱に尿を送る尿管、尿を一時的に貯留させる膀胱、 膀胱から性器内を通り尿を排泄させる尿道全てを含めて呼んでいます。 それでこれは腎、尿管、膀胱、尿道に結石があれば代表的に尿路結石症と呼びますが稀に前立腺結石prostatolithや精嚢(せいのう)結石も含まれることもあります。 しかしそれぞれの部位で結石が作られるわけではなく、次の腎結石が元となる場合が殆どです。



●尿管結石症(にょうかんけっせきしょう)ureterolithiasis:
尿管とは腎臓から膀胱へ尿を送る管のことです。 この尿管結石は尿路結石の殆どを占めていて、地域的に沖縄、近畿、四国、北海道で多く、更に男性の30~60歳に多くみられます。

尿管に多く発症する原因のひとつは尿管が5,6mmと狭いために小さな結石でも詰まり易いからです。 これは腎のほうから突然落ちてきて尿流を塞いでしまうので水腎症になり疼痛を起こし、周期的に痛みが襲ってきます。 更に嘔吐、悪心ばみられショック状態になる場合もあります。 結石は尿酸結石の場合に溶解薬が効く場合もありますが流しだせなければ取り出さなければなりません。



●膀胱結石症(ぼうこうけっせきしょう)cystolithiasis:
膀胱とは尿管から送られてきた尿を一時的に貯留させる器官のことです。 膀胱があるためにヒトや動物はある一定時間、排尿をせずに日常の行動をとることが出来ます。 この病気は腎など上部尿路から結石が落ちてきた場合と膀胱内で形成されたものとがあり、大部分は膀胱内で形成したものです。

膀胱までどこにも詰まらずに落ちてきたものは小さいものですから、さらに尿道を通って排泄されるのが普通です。 しかし前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱頸部硬化症、尿道狭窄などの排尿障害を起こすことの多い高齢の男性にはしばしばこの病態が見られます。 また別に細菌による慢性的な炎症が膀胱内にあると感染結石が形成される場合もあります。

治療法では出口に近いため経尿道的に結石を砕石することが可能です。結石が大きく砕石が困難と判断した場合は開腹することもあります。



●尿道結石症(にょうどうけっせきしょう)urethrolithiasis:
尿道とは膀胱から外部に尿を排泄させるまでの管のことを言います。 しかしこの病気はもう一歩のところで排泄されずに尿道に結石がひっかかっている状態のことを言います。広い膀胱内部で結石がある程度育ってしまったものなどが排尿のさいに尿道を通りきれない場合いに起こりますので、強度な排尿障害、排尿痛を起こし、血尿や尿失禁を来たす場合もあります。
殆ど出る寸前までであれば、ピンセットで摘み出せますがそれが無理なら逆に一旦膀胱内部に押し戻してから砕石をします。



●腎結石renal stone(calculus):kidney stone
腎結石は更に結石の存在部位から腎盂(じんう)結石、腎杯(じんぱい)結石、腎杯憩室(じんぱいけいしつ)結石、 腎実質石灰沈着症(じんじっしつせっかいちんちゃくしょう)と分類されます。

腎盂と共に最も頻繁に結石が作られる腎杯は左右の腎臓にそれぞれ10~20程あってそこにカルシウム系の結石が付着することで発症します。 存在部位とは別に結石の成分からカルシウム腎結石症calcium nephrolithiasisと呼ばれるものもあります。 また、カルシウム結石はヒドロキシアパタイトやカーボネイトアパタイトなどを主成分としており、アパタイト結石apatite stoneと呼ばれるものもあります

腎で形成される結石は砂状のごく小さなものから腎杯や腎盂を満たすほどの大きな 珊瑚状(さんごじょう)結石coral calculus(樹枝状結石branched calculus・鹿角状結石staghon calculus)まで様々です。
珊瑚状結石とは腎盂や腎杯を丁度鋳型にしたようにして出来るため、鋳型(いがた)結石とも呼ばれています。 腎盂や腎杯の結石の場合は当初は尿流を塞ぐことはありませんから痛みは余りありませんが、 後に珊瑚状結石のようにその部位で育ってしまうと疼痛、血尿、腎盂腎炎、腎機能低下などがみられます。



■治療法:
腎盂という体内の奥にあっても体外衝撃波砕石術 (たいがいしょうげきはさいせきじゅつ) extracorporeal shock wave lithotripsy(ESWL)が開発されて開腹したり腹腔鏡を 用いなくても結石を砕くことが出来るようになりました。 細かく砕かれた結石は尿中で排泄されます。

西ドイツで1980年に臨床応用されて、日本では1985年に認可されました。 患者は水槽に浸かり、高電圧のスパークをかけて衝撃波を発生させ、それを患部に焦点を合わせて破壊させるものです。 結石と人体のインピーダンスが異なるために人体への影響は最小限にとどめることが出来ます。

割れやすい成分はアパタイト、リン酸マグネシウムアンモニウム、尿酸で割れにくいものではシュウ酸カルシウム一水塩、シスチンの順です。 現在では日本の病院に30機種を越え約500台が使われていて、機械は年々進歩しています。

衝撃波の発生方法もいろいろあり、水中放電、圧電素子、電磁変換、電磁誘導、微小発破などがあります。また膜接触water cushionを用いる乾式型が出来、X線と超音波を用いて結石の位置決めが可能になってきています。 しかし他の部位での結石についてはこの装置での治療は不向きです。



■予防:
単純に考えてカルシウムを減らせば結石は出来難いわけですが、カルシウムは骨だけでなく体に大切な物質ですし 現代人はカルシウム不足と言われてますので、その方法は望ましくないでしょう。 それで栄養面で問題のない予防法は水分摂取を十分に行うことでしょう。 これは結石の予防だけでなく、様々な疾病の予防ともなるからです。 そのために毎日2リットルの水分を摂るように努めるべきです。



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