無料で読める家庭の医学  病気・疾患の解説、英語名、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載



白血病leukemia・白血病細胞leukemia cell・白血病裂孔leukemic hiatus


●白血球の概要:
白血球とは本来血液(血漿)の中を赤血球や血小板とともに存在し、体内を循環します。更に顆粒球、単球、リンパ球の三種に類別され顆粒球の一つである好中球は微生物を貪食・殺菌をし、好酸球はアレルギー反応を抑制、寄生虫を障害し、好塩基球はアレルギー反応を起こします。また単球は血液外の組織に移るとマクロファージになり、リンパ球はT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞として働きます。

●白血病は計画細胞死を免れた異常な白血球の増殖により引き起こされる
白血病とは血液を新たに作り出す段階でDNAの異変によって異常なクローンの白血球が発生、増殖することで起こる病気です。しかしこの異常な白血球は白血病細胞と呼ばれていて、主として骨髄で増えてそこが充満すると、体中に隈なく行き廻らされている末梢血中に流出し、更に全身の臓器に浸潤して行きます。また血液中に流出されない場合には白血球数の増加はみられません。

●アポトーシス:細胞の能動的な死滅により細胞が更新するもので細胞壊死とは異なる
正常な細胞は計画細胞死(アポトーシスapoptosis)という仕組みによって、古くなって自発的に死んでまた新たな細胞が作られるという事が繰り替えされます。これは能動的なもので病的な細胞壊死(necrosis:ネクローシス・単に壊死)とは全く異なるものです。 またアポトーシスはプログラム細胞死と重なる部分も多くありますが形態学的に同一視していない場合もあり、完全な同義語とは言えませんが家庭の医学レベルでは区別しなくてよいでしょう。
従ってアポトーシスが正常に行われないことにより白血病にみられる異常な細胞は死ぬことをせずに異常増殖を図るのです。

●白血病の分類:
白血病は骨髄性白血病とリンパ性白血病に二大別され、さらに細胞の未成熟なものを急性白血病、成熟しているものを慢性白血病と呼んで区別しています。

●白血病裂孔
急性の場合、病的な芽球型の幼若白血球と少数の成熟細胞に二群されており、その中間型が抜けている白血病裂孔という現象が見られます。 裂孔という表現は細胞に裂孔が認められるわけではなく、細胞の成熟度の中間が存在しないことによります。
慢性ではこの白血病裂孔が認められず、逆に幼若な細胞から成熟した細胞まで各段階ごとに成熟した ものが認められます。

症状:
この面でも両者に違いがあり、急性では激烈であり、 治療を怠るならば数ヶ月で死亡してしまいます。 それに対して慢性では軽微で、放置しておいても数年間を経てしまうこともあります。
全体的に主な症状は、貧血症状が先ず見られ、動悸、息切れ、倦怠感、顔面蒼、 更には発熱、出血症状などがみられます。 そのまま放置してしまうと白血病細胞が更に増殖し続けますから、臓器に浸潤するため、脾腫、肝腫、リンパ節腫大などがみられ、他にも皮膚浸潤、歯肉腫脹、痔核も起こします。 それが脳髄膜に浸潤すると、頭痛などの髄膜刺激症状を呈します。



白血球:leukocytes  白血病:leukemia  顆粒球:neutrophil  リンパ球:lymphocyte  単球:monocyte
マクロファージ:macrophage  T細胞:T-cell  白血病裂孔:leukemic hiatus  アポトーシス:apoptosis
    壊死:necrosis   プログラム細胞死:programmed cell death




急性骨髄性白血病(AML)・急性リンパ性白血病(ALL)のFAB分類・WHO分類

急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病の分類の方法は、FAB分類FABclassification (FAB=French-American-British)と言うものを用いています。
それによれば、主として 未熟な芽球が骨髄に30%以上増加するものを急性白血病と定義されています。 またミエロペルオキシダーゼ(MPO)反応で、陽性の芽球が3%を超えると骨髄性、それ以下だとリンパ性としています。

しかし新しいWHOによる分類法では、この30%の境界線が20%としています。また芽球が25%以上のものを急性リンパ性白血病とし、それ以下のものは悪性リンパ腫とみなしていてこの両者を同種の疾患としています。 この分類法は将来取り入れられるのかも知れません。
また先程のFAB分類によりますと、骨髄性でM0~M7の8種類、リンパ性ではL1~L3の3種類が挙げられています。


L1       小型でNC比(核細胞質比)の高いリンパ芽球を特徴とする。小児に多い。
L2      核小体が明瞭で核に切れ込みなどを持つ大型芽球が50%以上を占める。成人に多い。
L3 バーキットburkitt型。芽球が円形の核を持つ大型のもので、細胞質は濃青色に染色され 大きな空胞を持つ好塩基性胞体。
M0 MPO陰性。細胞表面骨髄抗原を有する微小分化型
M1 MPO陽性未分化型
M2 顆粒球への分化型
M3 急性前骨髄球性白血病
M4 急性骨髄単球性白血病。特異的エステラーゼ陽性。
M5 急性単球性白血病。非特異的エステラーゼ陽性。
M6 赤白血病。赤芽球が50%以上。それ以外の30%以上が芽球。
M7 急性巨核芽球性白血病。巨核芽球が30%以上。



急性白血病の治療:完全寛解導入療法(かんぜんかんかいどうにゅうりょうほう)


白血病の治療は寛解(かんかい)と言う考え方が用いられています。寛解とは言わば病気と完治の中間のような状態で、完全に治癒されていないまでも、治療の効果が表れて疾患による異常所見がなくなり、正常機能が回復した状態を指しています。寛解の具合によって、部分寛解と完全寛解に分かれます。

完全寛解に導くためには先ず化学療法がとられ、それにより白血病細胞が109個以下に減少すると血液全体の働きが健康な状態に近づきます。そして血球が正常値に戻り、骨髄中の芽球が5%未満になり、臓器浸潤も消失すると完全寛解complete remissin:CRと呼びます。
しかし依然として血液中には多量の白血病細胞が残っていますから、治療を続けないと再発(悪化)の恐れがあるわけです。更にこのまま効果的な治療を行い、完全寛解の状態が5年経過をめどに治癒したとみなします。

それで治癒を目指すために完全寛解後の治療として、今まで同様の治療を続ける地固め療法と退院後の通院により行う維持・強化療法があります。
寛解の具合を調べるために顕微鏡による血液学的完全寛解がありますが、十分な治癒を確認するためには遺伝子レベルで検査する分子的完全寛解が必要となります。

●白血病の治療:化学療法

白血病の治療の主要なものとして抗がん剤(経口薬及び注射薬)による化学療法があります。 これにより癌細胞の分裂増殖を抑制して攻撃破壊するという治療法です。 血液のがんは局部的な放射線治療や手術による病変部分の切除という方法はとれませんので、化学療法は重要です。
そして抗がん剤はがんを殺傷する効果がありますが、更にその薬を助ける目的の免疫賦活剤と呼ばれるものもあります。

抗がん剤が風邪薬などと異なる大きな点の一つとしてその副作用の甚大さがあり、使い方を間違えれば、効果よりも副作用が強すぎる場合もあります。 一般的な副作用として、悪心、嘔吐、脱毛、白血球減少、血小板減少、肝機能障害、腎機能障害、その他の症状が現われます。
そのため、抗がん剤の用い方は2剤以上を組み合わせて巧みに効果を引き出すとともに、 副作用を分散させるように治療するのが一般的で、それを併用療法と呼んでいます。

また副作用のなかには重篤なものも多く、専門のベテラン医師が扱うべきもので、患者との緊密なコンタクトをとり続ける必要があります。

一般的に用いられる薬のいくつかを以下の表にまとめます。



薬品名


商品名
製薬会社名


用途用法と副作用

シタラビン
cytarabine
Ara-C
キロサイド
Cylocide
日本新薬。
サイトサール
Cytosar
住友・ファイザー。
代謝拮抗剤で、急性白血病の寛解導入、維持に。 同白血病の地固め療法に大量投与されます。悪性リンパ腫に、他の抗腫瘍剤と併用して点滴投与します。
シタラビンの大量療法の場合に重大な副作用としては、 深刻な骨髄機能抑制が生じ、致命的感染症や出血なども起こり得ますので無菌室治療が最適です。
エノシタビン
behenoyl
BH-AC
サンラビン
Sunrabin
旭化成
代謝拮抗剤。Ara-Cの誘導体で、これを不活化する分解酵素に抵抗し、急性白血病患者に静注します。 重大な副作用は骨髄機能抑制。感染症。出血。ショックなど。 上記に準します。
塩酸ダウノルビシン
daunorubicin
hydrochloride
ダウノマイシン
Daunomycin
明治製薬
抗生物質で急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病の第一次選択薬として用いられます。
重大な副作用は骨髄抑制。心筋障害。貧血。ネフローゼ症候群など。
シクロフォスファミド
cyclophosphamide
CPA
エンドキサン
Endoxan
塩野義
アルキル化薬に属し、リンパ系腫瘍の第一次選択薬ですが、急性リンパ性白血病にも用いられます。また、悪性リンパ腫や重症再生不良性貧血にも点滴静注します。
ペントスタチンとの併用不可。骨髄抑制からくる感染症や出血も 起こり得る。ショック。心筋障害。心不全など。
硫酸ビンクリスン
vincristine
VCR
オンコビン
Oncovin
塩野義・イーライリリー
アルカイド系で急性リンパ性白血病の第一次選択薬で急性骨髄性白血病の第二次選択薬です。また悪性リンパ腫その他の治療にも用いられます。
重大な副作用は骨髄抑制。錯乱、昏睡。末梢神経障害。イレウス (胃腸の障害)。心筋虚血。呼吸困難、気管支痙攣。間質性肺炎。肝機能障害、黄疸など。
プレドニゾロン
prednisolone
プレドニゾロン
旭化成・武田・丸石その他
合成糖質副腎皮質ホルモン剤でアポトーシス(計画細胞死)を導入して細胞融解作用があります。
重大な副作用は消化性潰瘍。糖尿病。緑内障。膵炎。骨粗しょう症。神経変調。感染症など。

  ●慢性骨髄性白血病の治療として次の抗がん剤や免疫抑制剤が用いられます。その主な用途は次のとおりです。

アルキル化剤alkylating agent:DNAの複製とRNAの転写を阻害し抗腫瘍効果があります。
代謝拮抗物質antimetabolite:腫瘍細胞の発育に必要な物質代謝を阻害します。
抗生物質antibiotics:有害な微生物の発育を抑制し、破壊する化学物質です。
分子標的薬molecular target drug:特定の疾患のメカニズムが解明される事で分子レベルを標的に して副作用のより少ない治療の可能性のある薬剤。
インターフェロンinterferon(IFN):比較的新しい薬で、、寛解率が概ね75%と言われています。 しかし副作用も多種かつ甚大・重篤ですので医療スタッフも 正しい知識と経験が求められます。

また一般的に共通してみられる副作用では、肝臓、腎臓、消化器、呼吸器、皮膚(脱毛)などに 様々な障害をもたらします。下の表は主な抗がん剤ですが、重大な副作用のみ記載してあります。





薬種・主原料

薬品名

商品名

重大な副作用

アルキル化剤 シクロホスファミド
cyclophosphamide(CPA)
エンドキサン
Endoxan
塩野義
骨髄抑制。ショック、アナフィラキシー様症。出血性膀胱炎、排尿障害。間質性肺炎。 心筋障害、心不全など。
チオテパ
thiotepa(TESPA)
テスパミン
Tespamin
住友
白血球減少、血小板減少、貧血、出血。腎不全。ショック。
ブスルファン
busulfan(BUS)
マブリン
Mablin
ワイスー武田
骨髄抑制。間質性肺炎。肺繊維症。白内障。
カルボコン
carboquone(CQ)
エスキノン
Esquinon
三共
骨髄抑制。汎血球減少。ショック。
代謝拮抗剤 メソロレキサート
methotrexate(MTX)
メソトレキセート
Methotrexate
ワイスー武田
ショック、アナフィラキシー様症状。骨髄抑制。感染症。腎障害。肝障害。間質性肺炎、肺繊維症。 皮膚障害。腸炎。骨粗しょう症。痙攣、失語、麻痺、脳症、痴呆、昏睡など。
メルカプトプリン
mercaptopurine
ロイケリン
Leukerin
ワイスー武田
骨髄抑制。
チオイノシン
thioinosine
チオイノシー
Thioinosie
味の素フォルマ
血液の障害:再生不良性貧血、顆粒球減少、血小板減少、貧血など。
ヒドロキシカルバミド
hydroxycarbamide(HU)
ハイドレア
Hydrea
ブリストル
骨髄性抑制。間質性肺炎。皮膚潰瘍。
抗生物質 マイトマイシンC
mitomycin-C(MMC)
マイトマイシン
協和発酵
溶血性尿毒症症候群、微小血管症性溶血性貧血。急性腎不全。汎血球減少。 間質性肺炎。肺繊維症。肝、胆道障害。
分子標的薬 メシル酸イマチニブ
imatinib mesilate
グリベック
Glivec
チバガイギー
骨髄抑制(汎血球減少など)。出血。腫瘍出血。肝機能障害。体液貯留(胸水、肺水腫、腹水など) 。感染症。腎障害。皮膚病。 
インターフェロン インターフェロンアルファ
interferon-α
スミフェロン
Sumiferon
住友
間質性肺炎。抑うつ。糖尿病。自己免疫現象。肝障害。急性腎不全。溶血性尿毒症症候群。 汎血球減少。敗血症。心不全。消化器出血。意識障害。顔面神経痛。難聴。皮膚潰瘍、壊死など。
インターフェロンアルファー2b
interferon alfa-2b
イントロンA
Intron A
シェリング・プラウ
副作用はほぼ上記と同様。



白血病の治療:造血幹細胞移植stem cell transplantation(SRT)



●造血幹細胞移植はその細胞源によって移植方法が異なる:
白血病治療の他、先天性免疫不全症や再生不良性貧血などの疾患に対して造血幹細胞を補完する場合にも行われます。

・骨髄移植:造血幹細胞は骨髄中にあり、血液の中にある赤血球、白血球、血小板の3種類の血球の供給源となっています。そのため骨髄移植と呼びます。

・末梢血造血幹細胞移植:体内にくまなく行き巡らされている末梢血管の中を循環しているのが末梢血で体中に種々の栄養素や酸素の供給を施しています。それに伴って幹細胞も循環していますがその量は普段は骨髄の約1%程しかありません。

それが抗がん剤など特殊な薬をを投与した後、造血回復期には一時的に末梢血液中へ造血幹細胞が骨髄と同程度まで流れ込みます。それが末梢血造血幹細胞と呼ばれていて、そこから移植する方法です。この方法は今後次世代において骨髄移植の代替方法として注目されています。

・臍帯血移植:出産時の胎盤から採った血液、つまり臍帯血(さいたいけつ)にあるものについては臍帯血幹細胞と呼び、その移植をする方法です。しかし幹細胞数が少ないため小児に限定するのが普通です。



●移植には組織適合抗原型の一致が必要・移植片対白血病効果
造血幹細胞移植は患者と提供者の血液型が問題ではなく、組織適合抗原型の主要なものであるHLA(ヒト白血球抗原)が患者のものと一致する45歳以下の家族(血縁ドナー)がいれば、患者が40歳以下で合併症などがなければこの治療を行う事が出来ます。 家族で存在しない場合には骨髄バンクから35歳以下のドナーが見つかれば(非血縁ドナー)行うことが出来ます。
尚、年齢基準は絶対的なものではありません。

移植を行うとドナーのリンパ球が患者の白血病細胞(腫瘍細胞)を攻撃する、移植片対白血病効果が生じます。
*移植片:臓器移植の際に使用する臓器や組織全般を指す。ここでは造血幹細胞のこと。

●移植片対宿主病
しかし組織適合抗原型はいくつもあって完全に適合するわけではないために免疫反応が必要以上に強く起こり、ドナーのリンパ球が患者の正常な組織をも破壊してしまいます。 それが移植片対宿主病graft-versus-host disease(GVHD) です。 これが家族のではなくて非血縁者ドナーに頼らざるを得ない場合に、HLAの型の差が大きいぶんだけ 強く生じてしまいます。

このGVHDがひどくなると致死的なものですのでそれを抑えるために免疫抑制剤を用いますが、そのため正常の免疫作用も低下して免疫不全を引き起こし、主として肺胞壁を病変部とする間質性肺炎interstitial pneumoniaなどの合併症が起きたりします。 それでこの治療法も万能ではなく、移植後一年以内に20%近くの患者が肺炎など移植関連の合併症死亡しています。
それでどちらか選択肢がある場合にもその時の症状や環境で慎重に選択しなければなりません。



造血幹細胞:hematopoietic stem cells   移植:implant    骨髄移植:bone marrow transplantation
臍帯血:cord blood   幹細胞:stem cell   ドナー:donor    末梢血:peripheral blood   移植片:graft
末梢血管:peripheral vascular system    末梢血管細胞移植:peripheral blood stem cell transplantation;PBSCT
組織適合抗原:histocompatibility antigen    移植片対白血病効果:graft-versus-leukemia effect;GVL effect




悪性リンパ腫malignant lymphoma:ホジキン病・非ホジキンリンパ腫


■概要:
●リンパ球ががん化・増殖しリンパ節や臓器にも発生する
これは単球、顆粒球と共に白血球のグループの一つでリンパ組織(リンパ節)などにある リンパ球が、がん化増殖してリンパ節がはれたり、腫瘤を作る病気です。 発生する場所は主にリンパ組織ですが、皮膚や脳、胃、大腸、卵巣、甲状腺や乳腺など 全身のいたる所の臓器に発生します。 なかでも臓器に発生するものとしては消化管原発性悪性リンパ腫が最も頻度が高くなります。

急性・慢性のリンパ性白血病も同様にリンパ球ががん化した腫瘍が認められますが、その病気の主に増殖する部位は血液や骨髄ですので若干の違いがありますが両者の区別はあいまいなところもありますので病名そのものに関してはあまり頓着すべきではないでしょう。

●ホジキンリンパ腫(ホジキン病)と日本人に多い非ホジキンリンパ腫
○ホジキン病の特徴:*巨細胞:リード-ステルンベルグ細胞が出現し、リンパ腫が特定のリンパ節群に限局しながら増殖し他部位への浸潤は稀れ。早期発見型。小児は予後良好。

○非ホジキンリンパ腫の大多数はBリンパ球やTリンパ球の腫瘍、すなわちB細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫で、NT細胞リンパ腫は稀。複数のリンパ節群に播種(はしゅ・はんしゅ)し拡散増殖し(限局性は一部の患者のみ)腸間膜リンパ節やワルダイエル輪など影響範囲が広い。多くがリンパ節外に浸潤。進行期診断が一般的。小児は悪性度が高い。

*ホジキン病:Thomas Hodgkin,1798-1866英国の病理学者によって報告された病気で命名は 弟子のウィルクスWilks Sによるものです。

*リード-ステルンベルグ細胞:リード(Dorothy Mendenhall Reed/1874-1964)とステルンベルグ(Carl Sternberg/1872-1935)の二人によってそれぞれ1902年、1898年に報告・特定された細胞です。これは二つ以上の核を持つ多核で15~40μm程の巨大であるのを特徴としていて二核であれば左右対称系の鏡面像を示すことから鏡面型ふふとも呼ばれます。 弱好塩基性ないし弱好酸性があります。 起源はB細胞とする説がありますが確定していません。

そのうち単核のものをホジキン細胞hodgkin cellと呼んで区別していますが、 ホジキン病と診断する決め手は多核のリード-ステルンベルグ細胞の存在が重要です。



■症状:
どの病種の場合にも頸部、腋窩(腋の下)、 鼠蹊部(足の付け根)などにあるリンパ節が腫れ(リンパ節腫脹)ますが普通痛みはありません。 全身症状としては発熱、寝汗、倦怠感、体重減少、皮膚の痒みなどがあります。

●非ホジキンリンパ腫による症状:浮腫・腎不全・貧血
ホジキン病では稀ですが非ホジキンリンパ腫に多くみられるものとして上大静脈が圧迫されることによる顔や頸部(けいぶ:首付近)の鬱血(うっけつ)と浮腫、また後腹膜や骨盤リンパ節が尿管を圧迫することで尿流遮断による続発性腎不全があります。

更に約3人に1人が初期症状で貧血がみられ、病期が進むに連れて大半に広がります。原因は消化管リンパ種からの出血、クームス試験((抗グロブリン試験)陽性による溶血性貧血、脾機能亢進(ひきのうこうしん:脾臓による赤血球の処理・破壊が過剰作用すること)、リンパ腫の骨髄浸潤、化学療法・放射線療法などの治療による骨髄抑制などが原因とされています。



■診断方法:
一般的なのは腫瘤の一部を切除して顕微鏡を用いる病理組織検査と免疫学的検査によって腫瘍の進行の度合いや性質、種類を明確にすることが出来ます。 更に全身CTスキャン、ガリウムシンチグラフィー、ポジトロンエミッション断層撮影PET、 消化管内視鏡検査、MRI検査、などがあります。



■治療方法:
放射線療法、抗がん剤を用いての化学療法、造血幹細胞移植療法などが行われますが、病期や病態によって様々な方法が行われます。 以下が化学療法で用いる処方薬の一例です。

●ABVD療法: 早期ホジキンリンパ腫
アドリアマイシン・ブレオマイシン・ビンブラスチン・ダカルバジンによる化学療法が標準的な方法として 確立されている。
●MOPP療法:進行期ホジキンリンパ腫
ナイトロジェンマスタード・ビンクリスチン・プロカルバジン・プレドニゾロンによる化学療法
ナイトロジェンマスタードの代替としてシクロホスファミドを用いる場合もある。

●非ホジキンリンパ腫の処方薬の一例:
分子標的治療薬・リツキシマブ(遺伝子組換え):リツキサン注10mg/mL 500mg50mL1瓶など
微小管阻害薬ビンカ・アルカロイド・硫酸ビンクリスチン:オンコビン注射用1mg 1mg1瓶など
アントラサイクリン系抗生剤・塩酸ドキソルビシン:アドリアシン注用10 10mg1瓶など
アルキル化薬・シクロホスファミド:注射用エンドキサン100mg 100mg1瓶など
副腎皮質ステロイド・プレドニゾロン:プレドニン錠5mg 5mg1錠など



リンパ腫:lymphoma  悪性リンパ腫:malignant lymphoma(ML)  ホジキン病・ホジキンリンパ腫:Hodgkin's disease
非ホジキンリンパ腫:non Hodgkin lymphoma/NHL  リンパ球:lymphocyte  リンパ節:lymph node
リード-ステルンベルグ細胞:Reed-sternberg cell  ホジキン細胞:Hodgkin cell  リンパ節腫脹:lymph node enlargement
浮腫:edema  頸部:neck  鬱血:congestion  圧迫:phobia  腎不全:renal insufficiency      
クームス試験:Coomb's test   グロブリン試験:globulin test



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