無料で読める家庭の医学  病気・疾患の解説、原因、症状、診断方法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学


癲癇(てんかん)・痙攣発作(けいれんほっさ)・焦点発作


■概要と原因:
てんかんとは、脳の電気的信号の発信が異常になりてんかん放電 がなされる結果、中枢神経が反復的に異常に興奮をしてしまう脳の疾患の事です。その際脳はに鋭利な波形の発作性突発波が現われます。 それによりてんかん発作を起こしますが、これは慢性疾患ですから脳炎などが原因でおこる一時的な発作とは異なります。 また「てんかん」の事を「けいれん発作」と呼ぶ場合もあります。

●てんかん放電
全般てんかん性放電generalized epileptic dischargeがあり、 これは両側の大脳半球から同時に同期的に発生する対照性のてんかん性放電です。 これにより全般発作を起こします。

●全般発作generalized seizure:
尚、全般発作の症状の特徴として意識障害から始まり、引き続いて両側対照的に小発作(欠神発作)、両側汎発性ミオクローニー発作、大発作(全般性強直間代発作)などを起こします。
原発全般発作では明確な原因がなく発症し、続発全般発作ではびまん性(広汎性)若しくは多焦点性の脳の病変が認められるものです。

●小発作(しょうほっさ)てんかんminor epilepsy:
 欠神発作(けっしんほっさ)absence seizure:

遺伝性で小児の4-12歳で発症する場合が殆どです。短い10-30秒間程度の意識消失と眼瞼(がんけん:まぶた)のプルプルとした細かい動きを起こします。
意識消失(若しくは欠損)のみの症状の場合と、自動症、間代、脱力、強直などが関係してくる場合もあります。
小発作と欠神発作は家庭の医学レベルでは同じものとみなして差し支え有りません。

自動症automatism:
その場の脈絡から外れた無意味なまたは不必要な行為なり行動なりをとる事で、舌なめずり、舌打ち、咀嚼運動などの食行動性自動症が最も多く、その他無意味な言葉や単語を連発したり、盛ん に腕や手を動かしたりちょこちょこと動き回るなどの行動をとります。

間代(かんだい;クローヌス)clonus:
ミオクローヌスもこの一類に入り、筋の周期的収縮と伸展を繰り返す 不随意運動症の事です。

強直(きょうちょく;テタニー)tetany:
硬直と表現する事もあり、これは四肢に及ぶ強縮性収縮tetanic contractionと考えてもよいでしょう。

●ミオクローヌスてんかんmyoclonus epilepsy;ME:
ミオクローヌスとは不随意運動のひとつで突発的に瞬時にびくびくっとけいれん(筋収縮)を起こすものです。 ミオクローヌスてんかんとはミオクローヌスの症状とともに進行性の痴呆、運動障害、視力障害なども起こします。 6~20歳で発症します。

●大発作(だいほっさ)grand mad
全般性強直間代発作(ぜんぱんせいきょうちょくかんだいほっさ)
generalized tonic-clonic seizure;GTC:

前兆として光がチカチカしたり不快な焦げたような臭いを覚えます。(幻嗅:げんしゅうolfactory hallucination) その後強直発作の症状が現れ、意識消失を起こして顔面蒼白、瞳孔拡大、眼球偏位(極端に目が上向きになる)、呼吸停止となり、四肢が硬直してぴんと伸ばしたり屈曲や弓なりになることもあります。

更にその後に間代の症状が現れて、筋の収縮進展を繰り返すいわゆる不随意運動を起こします。 1分以内に体が大きく震えだします。それらが数分の内におこり、その後収まります。 それらが数分の内に起きた後にいびきをかきながら昏睡して5~10分後に目を覚ますか睡眠を持続します。

●脱力発作(だつりょくほっさ)cataplexy:
体の力が抜け落ちたようになり、よれよれぐにゃりと崩れ落ちます。小児の場合転倒や卒倒を 起こしますのでヘッド・ギアなどで頭部の保護が必要です。また小児の点頭てんかんなどがこれに含まれます。



■検査と診断:
様々な検査を行うことで問題点を明らかにすることが出来ます。
脳波・心電図・心エコー・血液検査・髄液検査・X線CT・MRなどが通常に行われます。 診断によって治療薬がかなり違いますので十分な検査が求められます。



■治療:
主に抗てんかん薬が用いられます。薬はてんかんの原因ではなく、発作のタイプを元に決定されます。 薬を服用し始めててんかんが収まったからといって、患者の独断で服用を中止するのは再発する可能性があるばかりでなく、重篤な状態に面することもありますので自己判断は避けましょう。

また服用中にもけいれん発作を起こることもあり得ますのでその際の対応も備えておくべきです。 また副作用も薬によって異なりますし、併用不可の薬も多くありますので十分確認しておかなければなりません。
以下薬のいくつかを取り上げます。

●大発作に有効なもの:
フェニトインphenytoin(PHT):商品名アレビアチン、フェニトイン、ヒダントール
フェノバルビタールphenobarbital(PB):商品名フェノバール、フェノバルビタール
プリミドンprimidone(PRM):商品名マイソリン
パルプロ酸ナトリウムsodium valproate:商品名エピレナート、セレニカ、デパケン、ハイセレニン、バレリン
カルバマゼピンcarbamazepine:商品名テグレトール
●小発作(欠神発作)に有効なもの:
トリメタジオンtrimethadione:商品名ミノ・アレビアチン



●焦点発作(部分発作)の症状:
発作は以下に分類されています。

○単純部分発作
発作が一側大脳半球の一部から始まって、後に広がっていくもので、意識障害のないもの。
○複雑部分発作
意識混濁(いしきこんだく)や混迷(こんめい)昏眠(こんみん)などの意識障害(いしきしょうがい)も加わる もの。しかし完全な意識消失には至りません。
*意識混濁:指南力と注意力に曇り若しくは陰り(clouding)が生じた状態で、判断力や思考力にも 障害が生じます。
*意識障害:定義範囲が広いですが、典型例として病的な眠りやもうろうとした状態を指します。

○二次性全般化発作
なんらかの部分発作で始まり、その後急速に大脳全体を両側性に活性化し、全身けいれん発作に進む もの。

これらは脳の各部位ごとに症状が異なります。以下は幾つかの脳の部位ごとの主立った症状を記します。



●てんかんの各症状:
○側頭葉癲癇(そくとうようてんかん)
症状では口をもごもご動かしたり服をつまんだりする精神運動発作(自動症)があり、 更には知能障害や認知障害を起こすこともあります。 これは難治性のもので海馬(かいば)に主な起源があるとされており、治療として海馬切除術が行われるようになりました。
○前頭葉癲癇(ぜんとうようてんかん)
夜間や起床時に起こしやすく、運動性要素の強い性質のもので、言葉が突然止まったり奇声を発したりもします。
○頭頂葉癲癇(とうちょうようてんかん)
主な症状で体性感覚発作があり、異様で不快な感覚を覚えます。また痛みを感じることもあります。 更に強直(きょうちょく)や間代発作(かんだいほっさ)を起こすこともあります。
○後頭葉癲癇(こうとうようてんかん)
そのうち特に単純部分発作では視覚症状が特徴的で、フラッシュが焚かれたように光ったりキラキラ 明かりが見えたり、また視野の内の半分が見えなくなったりします。 更に、見え方が不自然になったり変形して見えることもあります。


日英対語:
部分発作:partial seizure   焦点発作:focal seizure  強直:tetany 側頭葉てんかん:temporal lobe epilepsy
海馬:hippocampus  前頭葉てんかん:frontal lobe epilepsy   頭頂葉てんかん:parietal lobe epilepsy
後頭葉てんかん:occipitl lobe epilepsy  間代:clonus  発作:seizure・cramp  視野:visual field
   痙攣(けいれん):convulsion disorder  昏眠:somnolence  焦点発作:focal seizure
意識障害:consciousness disorders,consciousness disturbance  意識混濁:consciousness clouding   




パニック障害:panic disorder 【パニック発作・広場恐怖症】


■原因・症状:
パニック障害とはパニック発作を繰り返し起こす病気です。 このパニック発作は健康な人でも時々起こし得るもので、動悸、心拍数増加、息切れ、息苦しさ、胸の痛み、不快感、窒息感、めまい、ふらつき、気の遠のき感、吐き気、腹痛、下痢、しびれ、身震い、ふるえ発汗、悪寒、紅潮(顔や身体が赤らむ)病気や事故、また死への恐怖などがあります。
パニック発作は何の前触れもなく突然あらわれますが、大抵は数分で収まります。 この発作を繰り返し起こして、恐怖感が1ヶ月以上続く場合にはパニック障害と診断されます。



●広場恐怖症(臨場恐怖・空間恐怖)
更にパニック障害のある人は、またこの発作を繰り返し起こすのではないか、ここで発作を起こしたら誰も助けてはくれないのではないかといういわゆる予期不安も抱きます。 そうなると、発作を起こした事のある場所(戸外、雑踏、バス・電車・飛行機内・その他エレベーター内など狭い密閉空間)に不安を抱き、その場所を回避するようになり、親しい人だけと接するようになったり自宅に引き籠もってしまう場合も多くみられます。

それが広場(臨場)恐怖と言われるものです。
広場(公共地域)という表現が一般的ではありますが、閉所や狭所でもこの発作が起こり得ますので、臨場恐怖や空間恐怖もしくは外出恐怖という表現を用いている場合もあります。 ドイツの神経学者が用い始めた「アゴラフォビア」の語の訳出の困難なところです。アゴラはギリシャ語で公共広場のような場所を表しているようです。
また更なる症状としてあまりにも激しい発作を起こすので、本人は身体(脳や心臓など)に大きな欠陥があるのかと極度の不安に陥ってしまい、それがまたパニックを起こすきっかけになってしまいます。



■診断・治療:
パニック障害は内臓や神経また身体機能が冒されていく病気ではありませんので、 まず病院で検査を受けて身体的な異常がないことを認識出来るようにし、安心感を得るようにすることです。

●治療薬を用いる
・塩酸パロキセチン水和物(パキシル錠10mg)1-3錠 分1夕食直後
この薬は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)というもので副作用の少ない第一 選択薬ですが、効果発現まで1-2週間を要しますので、発作が起きたらワイパックスなど を頓服します。
・塩酸クロミプラミン(アナフラニール錠25mg)1-3錠  分1  就寝前、(少量から開始)
・ロフラゼプ酸エチル(メイラックス錠1mg)1-2錠 分1 夕食後
・ロラゼパム(ワイパックス錠0.5mg) 1錠 頓用(とんよう):発作時のみ
この薬はベンゾジアゼピン系中期作用型(12-24時間以内)の高力価型で依存性が 強く、なるべく短期間のみの使用に留めるべきです。

●認知行動療法
この心理療法は、障害を持つ人が抱く認知の歪みを明らかににさせて本人に納得させるもの。すなわち認知と行動の両面の変容を促す療法です。 それによってパニック障害を持つ人の場合では、以前に発作を起こす引き金となった状況また場所は平易でかつ安全なものであると認知するようになり、症状が軽減されたり収まったりします。

●暴露療法
広場(臨場)恐怖があって回避行動を起こすとき、認知行動療法のひとつ暴露療法を用いる場合もあります。 それはパニック発作の原因となる状況や空閑や刺激に対して意図的に繰り返し触れさせて過敏状態を鈍らせ、慣れを生じさせる方法です。 この暴露療法には二通りあって、段階的に時間と回数を増やすやり方(段階的暴露)と、刺激を1-2時間集中的に直面させる方法(フラッデイング暴露)があります。
この方法は系統的脱感作法のように刺激の少ない物から強い物に徐々に触れさせて行く方法とは異なり、最初から最も強い刺激を与えます。



日英対語:
パニック障害:panic disorder   発作:convulsion disorder(cramp・seizure・spasm)   広場恐怖:agoraphobia  
認知行動療法:cognitiv-behavioral therapy   暴露療法:exposure therapy   系統的脱感作:Systematic Desensitization
フラッディング(療法):flooding


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