無料で読める家庭の医学  病気・疾患の解説、原因、症状、診断方法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学


更年期障害:climacteric disorder:閉経と年齢


■原因:
●更年期は閉経前から始まり、障害として種々の身体的・精神的症状があらわれ始める。
更年期とは閉経前後の5年から10年の、あまり厳密でない期間を指していて、その期間に おける身体的また精神的症状の総称として更年期障害(更年期症候群)と呼んでいます。 それで、月経がまだ訪れる期間であったり妊娠の可能性のある状態であっても更年期に入っていて 障害が多かれ少なかれ生じている場合があります。。

なお閉経期は更年期と異なり、最終月経前の数年間と閉経後の一年までを指しており、 閉経は我が国においては平均50~51歳、米国においては大差はなく51~52歳です。 しかしこれはあくまで平均年齢ですので、40歳代になっていれば特に異常なことではありません。 なお生理的閉経として確定的に診断するには、一年間無月経である場合です。

●エストロゲン・プロゲステロンの分泌が減少し、やがて閉経をむかえる。
更年期を迎えると言うことは加齢とともに閉経が近づいているということで、卵巣からのエストロゲン(卵胞ホルモン・女性ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が減少し始めます。そして排卵の頻度が低くなり、やがては排卵が停止し閉経となります。無月経が6ヶ月間続くと閉経と考えますが、(まだ確定出来ないがその殆どはそのまま閉経となる)妊娠を望まないのであれば最終月経後約1年間は避妊するのが望ましいでしょう。

更年期にみられるさまざまな症状は、卵巣からのエストロゲンなどのホルモン分泌の減少や停止 が主な原因となっていますが、加齢とともに体内では種々の変化が起きると同時に新たな疾患も 発症している場合もありますので、十分な診断・問診が必要となってきます。
精神神経症状の原因では、家庭関係(子供の独立や離婚その他)や職場の人間関係やストレスな どが憎悪因子になりうる場合が多くあります。



■症状と診断:
月経不順:月経周期が不規則的になり、月経中の重さなどにも変化が生じます。
血管運動:顔のほてり(ホットフラッシュ)、のぼせ、発汗
精神神経症状:不眠、イライラ、憂うつ、無気力感、
泌尿生殖器症状:性交痛、膣の乾燥感、尿失禁、残尿感
その他:頭痛、めまい、肩こり、物忘れ、朝の手指の強ばり感、手足のしびれ感、 皮膚の蟻走感(アリが皮膚の表面をはい回っているような異常感覚)などの自覚症状があります。

これらの症状の原因が更年期によるものだと自分と自分の家族が理解するならば本人の精神的苦痛は 軽減され、症状の悪化の抑止ともなります。また思うように治らないからと言って悲観的になったり落胆せずに自分は更年期に入っているのだと割り切って前向きに生活することも大切でしょう。



■治療と対処:
●生活習慣を見直して のぼせ、ほてり、発汗を軽減する:
喫煙、飲酒、激辛と呼ばれるような刺激の強い食べ物、カフェイン含有の飲み物などが誘因となる場合があります。個人差がありますので自分で知ることが大切でしょう。衣服による調整で軽減される場合も 多くありますのでこまめに脱衣と着用を心がけるようにします。

●ホルモン補充療法(HRT):
効果はみられますが、乳ガン、血栓症、心血管系疾患のリスクが高まる報告も多くありますので、 服用は慎重であるべきです。医師とのインフォームド・コンセントをしっかりとるのが良いでしょう。 また患者本人も出来るだけ短期間の服用に留めるように心がけるべきです。 ・血管分銅神経症状:(以下の薬などを用いて持続併用や周期的な服用方法などがあります)
結合型エストロゲン(プレマリン錠0.625mg)・酢酸メドロキシプロゲステロン(プロベラ 2.5mg)

●HRTを望まない場合の処方例:
エストリオール(エストリール錠1mg) 1-2錠 分1 夕食後
●その他処方例:
トフィソパム(グランダキシン錠50mg) 3錠 分3
うつ症状がある場合:①~③を選択
①マレイン酸フルボキサミン(ルボックス錠25mg・デプロメール錠25mg) 2錠 分2
②塩酸パロキセチン水和物(パキシル錠10・20mg) 1-2錠 分1 夕食後
③塩酸ミルナシプラン(トレドミン錠25mg) 2錠 分2

●不眠症状がある場合:
・入眠障害:①~④を選択(いずれも1錠 分1 就寝前服用)
①酒石酸ゾルピデム(マイスリー錠10mg) 
②ブロチゾラム(レンドルミン錠 0.25mg) 
③ゾピクロン(アモバン錠10mg)
④塩酸リルマザホン(リスミー錠2mg)

・中途覚醒が起きる場合:①か②を選択(いずれも1錠 分1 就寝前服用)
ブロチゾラム(レンドルミン錠 0.25mg)
エスタゾラム(ユーロジン2mg錠)

●脂質代謝異常を認める場合:①~③を選択(いずれも1-2錠 分1 夕食後服用)
・高コレステロール血症:
①プラバスタチンナトリウム(メバロチン錠10mg)
②シンバスタチン(リポバス錠5mg)
③アトルバスタチンカルシウム水和物(リピトール錠5・10mg)
・高中性脂肪血症:
ベザフィブラート(ベザトールSR錠200mg) 2錠 分2

●骨粗鬆症を認める場合:①~⑥を選択または組み合わせで
①塩酸ラロキシフェン(エビスタ錠60mg) 1錠 分1
②アレンドロン酸ナトリウム水和物(ボナロン錠・フォッサマック5mg) 1錠 分1 起床時
③リセドロン酸ナトリウム水和物(ベネット錠・アクトネル2.5mg)  1錠 分1 起床時
④アルファカルシドール(アルファロールカプセル0.5μg) 0.5-1.0μg 分1-2
⑤ メナテトレノン(グラケーカプセル15mg) 3カプセル 分3
⑥L-アスパラギン酸カルシウム(アスパラ-CA錠200mg) 6錠 分3



日英対語:
閉経:menopause   月経:menstrual discharge   更年期:menopause・climacteric
更年期障害:climacteric disorder  更年期症候群:climacteric(menopausal ) syndrome   
卵巣:ovary  エストロゲン:estrogen  プロゲステロン:progesterone   
月経不順:irregularity of menstruasion



不妊症(ふにんしょう):infertility 【卵管治療と体外受精】


■原因:
不妊症とは生殖可能の年齢の男女が妊娠を希望しているもしくは避妊を行わずに性生活を営んでいても2年間妊娠がみられない場合のことをいいますが、この定義は我が国と欧米では差があり、1年間妊娠がない場合だけでも不妊症とされる国も多くあります。
また結婚生活1年間で80%が妊娠し、2年目に入って更に10%ほどが妊娠しています。それで2年を超えても妊娠のないカップルは全体の10%ほどと言うことになります。

夫婦間の年齢、家庭状況、家族計画などで時間的余裕があまりなければ、不妊症かどうかに係わらず、早い内に検査をするのが妥当だと思います。それによって別の疾患や機能上の問題が発見される場合もあります。
原因として、卵管、排卵、子宮、頸管、男性側の問題などがあり、原因の明らかでないものは機能性不妊(原因不明不妊)と呼んでいます。



■診断・治療:
検査方法と種類は、感染症検査(血算、赤沈、C反応性タンパク質:CRP、クラミジア抗体:IgG, IgA)、内分泌検査(下垂体機能:LH・FSH・プロラクチン、黄体機能:プロゲステロン・子宮内膜組織検査)、子宮卵管造影、卵管通気検査、精液検査、フーナー検査などがあります。

●卵管因子
卵管内部に閉塞などがあるかどうかは子宮卵管造影でほぼわかります。月経終了直後に子宮頸部から造影剤を注入してからX線撮影をする方法です。
また子宮内超音波検査方法もとられ、これは検出しやすいように子宮頸部より生理食塩水を注入して子宮を膨らませてから超音波で検査します。しかし検査精度は劣ります。

・卵管癒着の治療:腹腔鏡下で癒着剥離を行い、卵管の運動性を取り戻し卵子の運搬が正常に行えるようにします。
・卵管通過障害の治療:卵管鏡下卵管形成の場合
バルーンカテーテルとその内部に挿入したフレキシブル卵管ファイバースコープを用いて卵管内を伸長し、卵管内腔癒着を剥離して卵管形成を行います。(FTカテーテルシステム)

●生殖補助技術
・体外受精:体外で卵子と精子を受精させて分割した受精卵を子宮内に胚移植させますが、受精や移植などの タイミングには様々な方法があります。(PROST法・GIFT法など)
顕微受精は直接顕微鏡下で授精を促しますから授精効率は高くなります。この方法もいくつかあり、さまざまな意見も提出されましたが、 現在では卵細胞質内精子注入法が多くとられています。この方法は主に重症の精子減少症や精子無力症などに対して行われています。

排卵誘発→採卵→前培養と授精→初期杯までの培養→胚移植→黄体機能維持というステップで行われます
処方される薬には以下のものなどがあります。
・GnRHアゴニスト(作動薬): 酢酸ブセレリン(スプレキュア点鼻液0.15% 15.75mg10mL)・酢酸ナファレリン(ナサニール点鼻液)
酢酸リュープロレリン(リュープリン注射用1.88mg)
・hMG-hCG療法:
下垂体性性腺刺激ホルモン(ヒュメゴン 75・150単位)・胎盤性性腺刺激ホルモン(プレグニール 5,000単位)
・黄体機能維持:ジドロゲステロン(デュファストン 5mg)・プロゲステロン(ルテウム注25mg)

副作用:
卵巣過剰刺激症候群、子宮外妊娠、流産に加えて多胎(四つ児、五つ児など)があります。

●人工受精
精液または精子混濁液を子宮腔内などに人工的に注入する方法で、精液を遠心分離させた精子のみを注入する場合もあります。 精子は冷凍保存をしておいた精液を融解して用いることも出来ます。また夫の精子を用いるAIHと他人の精子を用いるAIDがあります。


不妊(症):sterility・infertility   妊娠:pregnancy   卵管:fallopian tube・oviduct   排卵:ovulation   子宮:uterus
癒着:adhesion   腹腔鏡:peritoneoscope   体外受精:ectogenesis   剥離:ablation   移植:implant    
内分泌:internal secretions   下垂体:hypophysis cerebri・pituitary gland   プロラクチン:prolactin
顕微受精(法):microinsemination   卵細胞質内精子注入法:intracytoplasmicsperm injection(ICSI)   
人工受精:artificial insemination   子宮外妊娠:ectopic pregnancy   流産:abortion   黄体:corpus luteum   
胎盤性性腺刺激ホルモン:chorionic gonadotrophin
下垂体性性腺刺激ホルモンhuman menopausal gonadotrophin   


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