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乳癌(にゅうがん)breast cancer:浸潤癌・非浸潤癌(組織型分類)


■概要:
非浸潤癌non-invasive carcinoma,non-infiltrating carcinoma に入るもの。 これは上皮内癌intraepithelialcacinomaとも言い、癌の増殖が上皮内に留まっている状態のもので、以下の二つがあります。
非浸潤性乳管癌noninvasive ductal carcinoma
非浸潤性小葉癌lobular carcinoma

浸潤癌invasiv cancerに入るものは浸潤性乳管癌として以下三種に分類されます。
乳頭腺管癌papillotubular carcinoma・充実腺管癌solid-tubular carcinoma・硬癌scirrhous carcinoma
浸潤癌の内、特殊型としては次のように分類されています。
粘液癌・髄様癌・浸潤性小葉癌・腺様膿胞癌・扁平上皮癌・紡錘細胞癌・ アポクリン癌apocrine carcinoma・骨、軟骨化生を伴う癌・管状癌・分泌癌secretory carcinoma・ 皮脂分泌癌・カルチノイド腫瘍など。



■診断方法:
問診、視診、触診の他、機械による診断方法も進んでいて、 以下に代表的なものを取り上げます。
マンモグラフィmammografy:乳房を上下から強く挟んでX線撮影します。
MRIマンモグラフィMRI mammography: いわゆる核磁気共鳴現象による画像診断法で、造影剤のガドリニウムを用います。 これはX線を用いていないので被曝(X線を被ること)の心配はありません。
乳房超音波検査breast ultrasonography:これもX線撮影と異なり、被曝の心配がなく検査を受けられます。
自己検診もある程度出来ますので、乳房に出来るしこり、えくぼ、赤い脹れ、乳房の腋のリンパ節の脹れ、皮膚の陥凹(かんおう)、引きつれ、 膨隆、ポインティング(乳頭が病巣方向に向くこと)などの有無を調べることが出来ます。



●乳癌(がん)の治療:乳房温存術・乳房円状部分切除術・乳房扇状部分切除術 

●乳房温存術breast-conserving surgery:
再発を避けるために以前は乳房全体と周囲の筋肉の一部まで切除していましたが、 最近では乳癌の根治だけでなく美容の面も考慮されて手術が行われるようになりました。 単に美容と言ってもそれを無視して切除するなら、術後の患者の精神的負担や失望感など心の病とも 戦わなくてはならず、精神的副作用は決して小さなものではありません。 それで現在次の二通りの方法がとられています。

●乳房円状部分切除術aide excision,wide resection:
腫瘤の大きさが径3cm以下でガンの進展具合が早くない場合に適応される手術で、 腫瘍の一番外側部分より1,2cm程更に外側辺りを切除するもので、切除範囲は最低に保たれます。 しかしガンの遺残が多くなることがあるのが欠点です。

●乳房扇状部分切除術segmental mastectomy:
乳癌は乳腺の集まっている腺葉単位で拡がりを見せ、腺葉は乳頭を中心に末梢に向かって扇状に 広がって存在することから、その部位に沿って切除するものです。しかし美容的に芳しくない上、 切除する範囲の定め方に問題が残るため、あまり持ち入れれてはいません。

●インフォームドコンセントinformed consentを図る:
それで患者は一方的に医師の決断に頼る事も出来ますが、自分の意志でガンの再発と美容の両面から、 どの方法でどの程度の切除を依頼するかを決定する事も望ましいと思われます。 すなわちこれはインフォームドコンセントinformed consent(説明と同意)と呼ばれ、医師から十分の説明を受けた上の治療方法などで、両者が同意するものです。

乳がんの組織型分類と診断方法
乳がんで使用する抗がん剤:化学療法のいくつかを記載します。

商品名 薬剤名(主原料) 重大な副作用
エンドキサン
endoxan
塩野義
アルキル化剤
シクロホスファミド
cycclophosphamide(CPA)
ショック、アナフィラキシー様症状。骨髄抑制。出血性膀胱炎。排尿障害。イレウス、胃腸出血。 心筋症障害、心不全。間質性肺炎、肺繊維症。
テスパミン
Tespamin
住友
チオテパ
thiotepa(TESPA)
白血球減少、血小板減少、出血、貧血。腎不全。ショック。
5FU
協和発酵
代謝拮抗剤
フルオロウラシル
fluorouracil
(5-FU)
脱水症状。腸炎。骨髄機能抑制。白質脳症。間質性肺炎。肝機能障害、黄疸。消化器潰瘍。 ショック、アナフィラキシー様症状。
タキソテール
Taxotere
アベンティス
アルカロイド系
ドセタキセル水和物
docetaxel hydrate
骨髄抑制。ショック、アナフィラキシー様症状。肝機能障害、黄疸、肝不全。 急性腎不全。間質性肺炎、肺繊維症。大腸炎。イレウス。急性膵炎。皮膚粘膜眼症候群。 心タンポナーデ、肺水腫。心筋梗塞。感染症。ほか
アドリアシン
Adriacin
協和発酵
抗生物資
塩酸ドキソルビシン
doxorubicin hydrochloride(DXR)
心筋障害、心不全。骨髄機能抑制。ショック。萎縮膀胱。
このほかに数多くのホルモン製剤も使用されます。
ゾラデックス(アストラゼネガ)・リュープリン(武田)・ノルバデックス(アストラゼネガ) フェアストン(日本化薬)・アフェマ(ノバルティス)・アリミデックス(アストラゼネガ) チオデロン(塩野義)・チオドール(塩野義)など



子宮癌(がん)hysterocarcinoma,metrocarcinoma:
子宮頸部癌uterine cervical cancer・子宮体部癌uterrine corpus cancer


■概要:
子宮癌(がん)は二つに大別されていて、子宮頸(部)癌と子宮体(部)癌の総称といえます。日本に於いては1970年代で子宮頸癌が9割以上と圧倒的に多かったのですが、近年7割以下になりました。

子宮頸癌が減ったというより単なる比率上の問題で、食生活が肉食中心のの欧米化や日本人女性の晩婚化、および高齢化社会になると共に子宮体癌が増加した結果、その割合が増加しつつあると言えます。
子宮頸部は膣に程近い部分で頸木(くびき)のように子宮全体から見るとつぼまっています。その位置から、診察も容易で早期発見がし易いといえます。 頸部の癌の進行は緩慢で細胞ががん化する前の前癌状態である異型細胞の段階から診断する事が可能です。



■症状:
初期の段階ではどちらの癌も痛みは無く、始めて自分で気づくのは月経以外の出血やまた性行為時などの接触出血があげられます。またなんらかの月経異常やおりものの変化も起こりえます。そのため、閉経後は気づくのに若干遅れる場合もありえます。



■診断法:
この両者の癌の検診をきちんと受けるためには子宮頸部癌の細胞診断だけでは不十分で、子宮体部を診断するために子宮内膜の組織を特殊な形状の耳掻きに似た器具を使って掻爬(そうは:掻き出す))して検査をしなければなりません。
もし子宮頸部か子宮体部の癌と診断されたならば、その癌細胞の形状(分化度)、転移の有無、浸潤の 程度、癌細胞が見られる範囲などを明らかにしてそれにふさわしい治療がなされます。



■治療法:
子宮頸部癌の治療で早期がんの場合は機械を使って癌細胞を死滅させる方法があり、凍結治療、電磁波の熱を用いる高周波療法、レーザー光線をあてるレーザー治療などがあります。 またがんの進行具合によって切除範囲も大きくことなり、初期段階の子宮頸部を円錐状に切り取る手術から、骨盤内臓全摘出手術まであります。 他にX線など放射線療法や、抗がん剤を用いての化学療法で癌細胞を死滅させる治療法もあります。

子宮体部癌の治療法は癌細胞を切除する外科療法、癌細胞を壊滅させたり、腫瘍を縮小させる放射線療法、 経口(飲み薬)や静注(静脈注射・点滴)により抗がん剤を用いて癌細胞を死滅させる化学療法、 エストロゲン(女性ホルモン)剤を経口内服するホルモン療法などがあります。


子宮癌で使われる抗がん剤例とその重大な副作用(必至なものではありません)
製品名 薬品名 重大な副作用
エンドキサン
Endoxan
塩野義
アルキル化剤
シクロホスファミド
cyclophosphamide(CPA)
ショック、アナフィラキシー様症状。骨髄抑制。出血性膀胱炎、排尿障害。イレウス、胃腸出血。 間質性肺炎、肺繊維症。心筋障害、心不全。抗利尿ホルモン不適合分泌症候群。 皮膚粘膜眼症候群。中毒性表皮壊死症。
フルツロン
Furtulon
中外
代謝拮抗剤
ドキシフルリジン
doxifluridine
脱水症状。急性心不全。骨髄機能抑制、溶血性貧血。出血性腸炎、虚血性腸炎。 白質脳症。間質性肺炎。心不全。急性膵炎など。
マイトマイシン
Mitomycin
協和発酵
抗生物質
マイトマイシン
mitomycin-C(MMC)
溶血性尿毒症症候群。急性腎不全。骨髄機能抑制。間質性肺炎、肺繊維症など。
カンプト
Campto
ヤクルト
トポテシン
Topotecin
第一
トポイソメラーゼ阻害薬
塩酸イリノテカン
irinotecan hydrochloride
骨髄機能抑制や下痢などからの死亡例があります。 この薬の性質を十分納得した上で使用すべきです。



卵巣癌(らんそうがん)ovarian cander


■概要:
卵巣に発生する悪性腫瘍で、悪性卵巣腫瘍のうち76%がこの卵巣がんです。卵巣に出来る腫瘍は良性、 低悪性度(境界悪性)、悪性の三種に分類されていますが、低悪性の腫瘍も悪性に含まれる場合が多くあります。
またこの低悪性度卵巣腫瘍は中間群卵巣腫瘍ovarian tumor of borderline malignancyとも呼ばれていて、 初診の段階では良性腫瘍として診断されたものの、予後に悪性経過をとってしまう種類のものです。

その内、卵巣の表面から発生する上皮性の型が80%を超えて最も多く、 他に卵子の産生に機能する場所からできる胚細胞腫瘍(はいさいぼうしゅよう)と 一般的な結合組織から生じる間質細胞腫瘍(かんしつさいぼうしゅよう)になります。



■原因:
このがんの多発地域は欧米諸国で、要因は脂肪摂取量の過多と考えられています。 また最初の出産が年齢的に遅かったり、初潮年齢が早期であったり、閉経が遅い場合なども卵巣がんに罹りやすくなります。 他に遺伝的な要因もあって、家族親族の中に卵巣がんの他、子宮体がん、乳がん、大腸がんの人がいてもリスクが上がります。



■症状:
卵巣がんの早期診断は非常に難しいと言えます。 時間が経つにつれ左右にある卵巣の内、がんが出来た側に膨らみが生じますが、この膨らみは外見上、最初の段階では見つけやすいものではありません。 若年例の場合の多くは良性のものですが閉経後の場合のこの卵巣腫大はがんである可能性が高くなっています。 比較的初期の症状としては下腹部の漠然とした不快感や膨張感や膨満感、食欲不振、腰痛などが見られますが膣の異常な出血は普通見られません。

またこのがんに罹るといわゆる男性ホルモンや女性ホルモンの分泌が異常になることがあって、 乳房が成長したり体毛が多くなったり、甲状腺機能が亢進したりする場合もあります。 従って卵巣がん特有の症状が最初から見られるわけではありませんし、 これらの症状は他の病気でもよく見られることですので、早期発見を遅らせる要因ともなっています。 ですから症状が現れる前に血縁家族に子宮体がんや乳がん、大腸がんの人がいれば早めに検診を受けるようにすべきです。



■診断:
検査方法としては血液検査や腫瘍マーカーの他に超音波検査、X線CT検査、MRI検査などが一般的に行われます。 その他下腹部の一部を切って内視鏡検査による卵巣観察や組織を削り取って検査をすることも出来ます。



■治療:
がんが見つかればその程度に応じた範囲でがんとその周辺組織を切り取ります。 卵巣内部だけのがんであればがんが出来た側の卵巣とその近くの卵管のみの切除で済ませられる場合もあります。 しかし卵巣の外部にまでがんが広がっている場合は左右の卵巣と卵管および子宮、その近くのリンパ節とその周辺も 切除することになります。 また場合によっては更に放射線療法をとることもあります。

化学療法
進行期の卵巣がんの代表的療法例として、
アルカロイド系のパクリタキセルpaclitaxel:商品名タキソール(ブリストル)と 白金製剤のシスプラチンcisplatin(CDDP):商品名ブリプラチン(ブリストル)・ランダ(日本化薬) 若しくはカルボプラチンcarboplatin(CBDCA):商品名パラプラチン(ブリストル)を併用します。
副作用として、 パクリタキセルは末梢神経障害と脱毛を引き起こしますし、骨髄抑制が強いため投与に慎重さが求められます。
また、シスプラチンは腎毒性や催吐作用が強いため、水分補給を十分にすることと鎮吐薬も合わせて必要になります。
カルボプラチンは腎毒性や催吐作用は弱いですが骨髄抑制作用が強くでます。しかしこの両者の治療効果は同等です。

また単独で効果が出ないものでもいくつかの薬を併用して治療効果を高める事が出来ます。
例:抗生物質抗がん剤の塩酸ブレオマイシンbleomycin hydrochloride(BLM):商品名;ブレオ(日本化薬)+ トポイソメラーゼ阻害薬のエトポシドetoposide(VP-16):商品名ペプシド(ブリストル)、ラステット(日本化薬)+ シスプラチン(上記に説明)の併用。

その他、 アルキル化剤のシクロホスファミドcyclophosphamide(CPA):商品名エンドキサン(塩野義)・ チオテパthiotepa(TESPA):商品名テスパミン(住友)
代謝拮抗剤のフルオロウラシルfluorouracil(5-FU):商品名5-FU(協和発酵)・
アルカロイド系ドセタキセル水和物docetaxel hydrate:商品名タキソテール(アベンティス)・
抗生物質抗がん剤の塩酸エピルビシンepirubicin hydrochloride(EPI):商品名ファルモルビシン(ファイザー−協和発酵)・ 塩酸ピラルビシンpirarubicin hydrochloride(THP):商品名テラルビシン(明治製菓)、ピノルビン(メルシャン−日本化薬)・ 塩酸アクラルビシンaclarubicin hydrochloride(ACR):商品名アクラシノン(メルシャン−山之内)などがあります。



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