無料で読める家庭の医学  病気・疾患の解説、英語名、医学用語、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学


突発性内耳障害・突発性難聴sudden deafness

■原因:
●原因不明の突発性難聴と原因が明らかな突発難聴との区別がある。
・突発性難聴とは文字通り突発的・急激的(24時間以内)に発症し、聴力が衰える内耳性の障害(突発性内耳障害)で、原因が明らかな突発難聴とは異なり原因不明のものを指しており、急性感音難聴と言われる場合もあります。 家庭の医学レベルでは突発性内耳障害と突発性難聴を同一視しても差し支えありません。

・突発難聴として明らかにされている原因としては次のものがあげられています。
①ムンプスウイルスや帯状疱疹ウイルスなどによるウイルス感染、細菌感染
②強大音曝露による音響外傷(爆音やスピーカ、ヘッドセットの大音量での長時間の音楽鑑賞)
③外リンパ廔(内耳に満たされている外リンパが中耳に漏れ出る疾患)
④外傷や薬による内耳血流障害     ⑤アレルギー
⑥ストレスの蓄積、不眠、睡眠不足などがあります。

これらに明確に該当しない不明なものを突発性難聴としていますが、原因が不確かであっても 上記の原因が起因している場合が多分にあります。 また諸外国では突発性難聴と突発難聴との区別が用語的に曖昧(あいまい)である場合もあり、我が国に於いても前者と診断されても実際は後者に該当する場合もありえます。それは前者の原因その他の解明が未だ不十分であるためだと考えられます。



■症状:
片方の耳に起こるいわゆる片側性の疾患で、24時間以内に急激に発症するため 患者本人が聞こえにくくなった時や状況、場所のことを鮮明に覚えている場合が多くあります。 また耳鳴りや耳閉感や時に眩暈(めまい)も生じる場合がありますが、メニエールのように眩暈や難聴発作が反復して起こることはないとされてはいますが症状には個人差があります。



■診断:
基本的には病歴と純音聴力検査などをおこない、更に問診などで心因性難聴も考えられる場合、聴性脳幹反応検査*なども行います。 心因性のものは小児ばかりでなく、中間管理職など働き盛りの年齢の人にも増える傾向があります。 この疾患全体としても高齢者のものではなく、30代の女性にも多くみられます。
*聴性脳幹反応検査:頭皮上に電極を置いて音刺激を加えた時に示す、波形状にした脳幹聴性誘発電位変動を検査すること。

原因が明らかでないか見落としていないかしっかり診断をうけなければなりません。 聴神経腫瘍があっても、同様の症状を示しますのでその時は画像診断なども行って鑑別をすることが必要です。
またヒトの可聴音域は20Hz(ヘルツ)から20kHz(キロヘルツ)ですが、2kHz(キロヘルツ)以上の 高音域では聴力が正常な低音障害型感音性難聴もありますが、治癒後の再発率が高くメニエール病に移行する場合も多く報告されています。

片側性の疾患で片耳は正常であることから、一人暮らしの人や主婦などが家で一人で居る時間が多い場合に気づくのが遅れる場合もあり、また気づいてもそのまま様子を見ている内に症状が悪化する場合も多くありますので、片方の耳が聞こえづらくなったと感じたら、先ず耳鼻科に行って聴力検査をすることが大切です。



■治療:
治療は発症してから2週間以内(できるだけ早く)に 治療(特に薬による)を始める事が大切です。 原因が不明であっても、症状の緩和や障害の進行を抑制する効果があります。 また、最近の傾向ではストレスや睡眠不足が関係している場合が多く ありますので、発症したら直ぐ安静にし、ストレスの原因となるものから離れている事も重要です。

治療の効果に関しては完治する場合とある程度回復する場合と全く治らない場合の三通りがあり、その三者が概ね同じ割合で生じています。

薬による処方例:内服療法(下記を併用します)
プレドニゾロン(プレドニン錠5mg) 12錠 分2 2日ごとに10mgずつ減量。
アデノシン三リン酸二ナトリウム(アデホスコーワ顆粒100mg/g) 3g 分3
メコバラミン(メチコバール錠500μg) 3錠 分3
レバミピド(ムコスタ錠100) 3錠 分3

点滴療法(下記を併用します)
ヒドロキシエチルデンプン(ヘスパンダー 500mL) 静注
コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(サクシゾン500mg) 1回500mg 1日1回
 2日ごとに100mgずつ減量
ATP注 1回120mg 1日1回 静注
メコバラミン(メチコバール注射液500μg) 1日1回 静注


日英対語:
聴力:hearing   聴力検査:hearing tests   突発性難聴:sudden deafness   内耳障害:labyrinthine disorder
片側性:unilateral   急性感音難聴:acute sensorineural hearing loss
聴性脳幹反応検査:auditory brain-stem response:ABR   メニエール:Meniere   めまい:vertigo   




鼓膜炎(こまくえん)・外傷性鼓膜穿孔(がいしょうせいこまくせんこう)

鼓膜は外耳道と鼓室の間にあり、横径10mm縦径9mm程でほぼ円形の厚さ約0.1mm程度の薄い膜から出来ており、皮膚層、結合組織部分の固有層、粘膜層で構成されています。

●水疱性鼓膜炎:
■原因:
鼓膜表面に1個から数個の水疱が形成されるもので、内容液は血性や漿液性からなるものでウイルスや細菌による感染が原因とされています。

■症状:
強い耳痛を訴える場合が多く、他にも耳閉塞感、耳鳴り、発熱、があり、感音難聴を伴う場合もあります。

■診断・治療:
耳鏡などで鼓膜表面を観察して容易に病態をつかめます。急性中耳炎と同様、抗生物質を投与します。水疱は切開して排液を行い鎮痛剤を投与します。
治療薬の一例
アモキシシリン(サワシリン細粒 250mg) 3錠 分3
ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン錠 60mg) 1回1錠 疼痛時頓服



●肉芽性鼓膜炎:
■原因:
鼓膜表面に肉芽やびらんが生じ、慢性化した病態で原因ははっきりしない場合が多いです。

■症状:
慢性の耳漏が一般に見られます。また肉芽などの影響で鼓膜の肥厚が見られる場合は耳閉塞感、難聴をきたすこともあります。

■診断・治療:
耳鏡等で観察し鼓膜表面のびらんや肉芽を確認出来ます。
治療の一例
びらんのみの場合、10%硝酸銀液や20%三塩化酢酸液でびらん病変部位を腐食させステロイド軟膏を塗布します。



●外傷性鼓膜穿孔:
■原因:
耳かき、綿棒その他での耳掃除、顔面部頭部に強い衝撃や打撃を被った時んどで穿孔が生じます。

■症状:
耳痛、耳出血、難聴、耳閉感などを起します。

■診断・治療:
耳鏡や聴力検査のほか、必要であればCT検査、MRI検査などを行います。
治療では自然閉塞を期待しつつ経過を見ながら感染予防的措置を行いますが1ヶ月から2ヶ月の間に自然閉塞の見込みがたたない場合やなんらかの合併症を起こす危険性が高ければ手術的治療に移ります。
普通は鼓膜穿孔閉鎖術を行いますがそれでもうまく行かない場合は鼓室形成術を行います。


鼓膜炎:myringitis  耳鏡:otoscope 外傷性鼓膜穿孔:traumatic perforation of tympanic membrance
耳鳴:tinnitus  耳痛:otodynia  難聴:hypacusia  耳閉感:stuffy ear


HOME