無料で読める家庭の医学  病気・疾患の解説、英語名、原因、症状、診断方法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学


急性喉頭炎(きゅうせいこうとうえん)[急性カタル喉頭炎]
急性咽頭炎(きゅうせいいんとうえん)[カタル性咽頭炎]

咽頭とは口を開けて見えるのどの奥の部分ですが、喉頭はのどぼとけから指一本上のところから始まり気道の一部分までを構成する器官で、内視鏡など器械を使わないと全体は見えません。喉頭には種々の軟骨によって形成されていて、例えば喉頭蓋は喉頭口の開閉を行って食物と空気の送り込み先を弁別する働きがあります。

更に喉頭筋は発声のための声門の開閉を行っています。また思春期の少年の喉頭は性ホルモンの働きによって太くなり、発声方法も女性や子供のように輪状甲状筋が収縮するかわりに弛緩するために女性と比較して太く低い声になります。また、この両者全体を咽喉(いんこう)と呼んでいます。

喉頭炎は喉頭粘膜の炎症で、咽頭炎は一般的に中咽頭粘膜炎症を指しています。両者の原因など違いはありますが、家庭医学レベルでは両者を併せて考慮します。また各部位、各原因によって独自の病名がつけられています。(例:急性単純性喉頭炎、声門下喉頭炎、急性喉頭蓋炎、粘膜下喉頭炎、偽膜性喉頭炎など)



■原因:
風邪などで気管支など上気道のウイルス感染による炎症がきっかけとなることが多く、他に アレルギー反応、タバコの煙など刺激性の高い煙の吸引、声色(こわいろ)を無理に使ったり声の出し過ぎ、鼻炎の悪化などがあります。



■症状:
かすれ声、声が出なくなる、のどのむず痒さ、ヒリヒリ感、乾燥感、嚥下痛(えんげつう)という唾や食べ物を飲み込む時の痛みなどがあります。 軽い悪寒があったり微熱(38度未満)も生じ、特に風邪から来る場合は熱や倦怠感が先行します。 また咽頭炎が元で喉頭にまで波及している場合もかなりあります。 またインフルエンザ、百日咳、はしか、猩紅熱(しょうこうねつ)、肺炎などの初期症状であることも考えられます。



■診断・治療:
喉頭部や咽頭部にびまん性の発赤や腫脹を認めます。声を出さないようにしてのどを休ませます。うがい薬でうがいをし、水分をこまめに摂取したり蒸気吸引をします。 口内錠や含嗽薬(がんそうやく)[うがい薬]のほか、抗生物質を服用する場合もあります。

治療薬の一例:
殺菌消毒薬:塩化デカリニウムdequalinium chloride・商品名SPトローチ(明治製菓)1回0.25mgを1日6回。
臭化ドミフェンdomiphen bromide・商品名オラドール(ノバルティスファーマ)1回0.5mgを1日3~6回。
塩化セチルピリジニウムcetylpyridinium chloride・商品名スプロール(岩城)1回2mgを1日3~4回。
いずれも口腔内で唾液により徐々に溶解させること。噛み砕きや飲み込みを避けること。

含嗽薬(うがい薬):アズレンスルホン酸ナトリウムazulene sulfonate sodium・商品名アズノール (日本新薬)、アズレニン(丸石)1回4~6mgを1日数回。
臭化ドミフェンdomiphen bromide・商品名オラドール(ノバルティスファーマ)水で100倍に希釈して1日数回。
ポビドンヨードpovidone iodine・商品名イソジンガーグル(明治製菓)その他多社。2~4mLを水約60mL に希釈して1日数回。市販薬はメーカーによってかなりの価格差がありますが、効果は同じです。しかし香料に 若干の違いがありますので、使用者の使いやすいものを選択すれば良いと思います。



日英対語:
咽頭:pharynx   喉頭:larynx   咽喉:throat   粘膜:mucous membranes   喉頭蓋:epiglottis
急性喉頭炎:acute laryngitis  急性カタル喉頭炎:acute catarrhal laryngitis   急性咽頭炎:acute pharyngitis   
カタル性咽頭炎:catarrhal pharyngitis   含嗽薬:gargle,gargle drug   嚥下痛:painful swallowing



アデノイド:腺様増殖症(せんようぞうしょくしょう)・咽頭扁桃肥大症(いんとうへんとうひだいしょう)

■原因:
扁桃とは口蓋から咽頭へ移行する部分にある口峡(こうきょう)と言う粘膜にあるリンパ組織のことで、  口蓋扁桃、咽頭扁桃、舌扁桃で組織されています。これらの扁桃で口峡が取り巻かれていることから、この全体をリンパ咽頭輪【ワルダイエル輪:ドイツの解剖学者ワルダイエル(Waldeyer)1836-1921が1884年に論説】と呼んでいます。

アデノイドは咽頭扁桃が病的に肥大して引き起こされる病態で、幼児期までは一般的に大きいのが普通ですが、程度を越えると様々な障害が起こります。



■症状:
上咽頭が閉塞されるため、鼻閉、口呼吸、鼻声、鼻炎、いびき、睡眠時無呼吸症候群:SAS、 食事摂食量低下、構音障害、胸郭系性障害、などを起こし、更に悪化させると アデノイド顔貌(あでのいどがんぼう)(顔面筋弛緩、鼻唇溝の消失)も 見られます。
耳では滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)に罹る場合も多く、これにより軽度の難聴になったり肺感染症や胸部の発育が阻害されると漏斗胸(ろうときょう)に、また修学児童であれば集中力が低下することによる学力低下につながります。 また、のどは咽頭炎や喉頭炎に罹りやすくなります。



■診断・治療:
診断は視触診やX線撮影で行い、症状の程度によって切除術を行います。手術が必要な場合は 高度の肥大や睡眠呼吸障害、滲出性中耳炎などの疾患が続発している場合です。

Mackenzie分類:マッケンジー分類(通常用いられる分類法)
Ⅰ度:扁桃が後口蓋弓を僅かに越える状態
Ⅱ度:I度とⅢ度の中間の状態
Ⅲ度:左右の扁桃が正中(中央)でほぼ接する状態

アデノイド切除術【咽頭扁桃切除術】:局所麻酔では坐位で、挿管麻酔では懸垂頭位で行われます。扁桃摘出を行っても免疫力が低下して感染症に罹りやすくなるリスクは殆どありません。また幼少時の肥大は成長に伴って収まることも多いのですが、呼吸障害を起こしている場合は手術も治療の第一選択にすべきです。


アデノイド:adenoid   腺様増殖症:adenoid vegetation  咽頭扁桃肥大症:hypertrophy of pharyngeal tonsil
扁桃:tonsil   咽頭輪:lymphoid ring   ワルダイエル輪:waldeyer ring   アデノイド顔貌:adenoid face
アデノイド切除術:adenoidectomy   咽頭扁桃切除術:adenotomy   局所麻酔:local anesthesia,regional anesthesia
坐位sitting position   口蓋扁桃:palatine tonsil   咽頭扁桃:pharyngeal tonsil   舌扁桃:lingual tonsil
漏斗胸:funnel chest   口峡:fauces   睡眠時無呼吸症候群:sleep apnoea syndrome   リンパ:lymph



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