2003年・珍プレー大賞

 昨年も随分たくさんの将棋を観戦した。
埼玉新聞に掲載されたのが62局。
記録を取りながら没になったものも加えると100局近くになるか。
その中から2003年の好プレー・珍プレー大賞を選んでみよう・・・・・と思ったが、
好プレーが意外に少ないので珍プレーだけにした。
改めて棋譜を調べると、その時々のシーンが鮮明に蘇ってくる。
大ポカで好局をフイにし感想戦でため息をつく選手。
優勢な局面で時間が切れ、思わず「あー」と天を仰ぐ選手。
全国大会での逆転負けなど、思い起こせばいろいろなドラマがあった。
しかし昨年ナンバーワンの珍プレーといえばやはりこれしかない。
【支部名人戦決勝・・・長岡俊勝六段vs関向邦人五段(2月23日:埼玉県労働会館)】
 この将棋は今でもはっきり覚えている。
 序中盤は長岡六段がうまく指し完勝モードだったが、その後寄せを誤り逆転。
 自玉に受けの利かなくなった先手が相手玉を詰ましにでて第1図になった。
               
 ここで△7三玉なら後手玉ははっきり詰まず、関向五段の初優勝となるはずだったが・・・
【第1図以下の指し手】 △5五玉▲4六金打△6六玉▲6三飛成まで長岡六段の勝ち
 △5五玉がまさに痛痕の一手。
 手つきは自信ありげだったが、譜のように進んで大トン死である。
 どうやら最後の▲6三飛成をうっかりしたようだ。
 以下は△7五玉▲6五竜までぴったりの詰み。
 クールな関向五段もさすがに悔しそうで、「なまじあんな手(△5五玉)が見えるからいけない
 んだよな」とボソッと呟いた。
 この歴史に残る大逆転で関向五段は初代表の座を逃し、逆に長岡六段は4月の東日本大会
 でも優勝と明暗を分けた。
  しかし人生そう悪いことばかりじゃない。
 これが厄払いになったか、関向五段はこの後4月に行われた関東アマ名人戦で初代表を
 ゲット。9月には結婚もした。
 今は神奈川に住んでいるので、いつか全国大会で県勢と対戦することがあるかもしれない。