高校研修会2007

 平成19年12月15日(土)、恒例の高校研修会が浦和高校麗和会館で行われた。
講師は、私と渡辺久記さん、土出康弘さん、吉田昌弘さん、川合仁さんの5人。
3面指しで1人が大体10〜15局くらい指す。
その中から私の将棋を3局紹介したい。
 まずは熊谷高の花野君。
試合前の挨拶で「自分の得意戦法を言ってくれれば何でも受けるよ」と言っておいたが
花野君は「四間飛車をやってください」と面白い注文。
同じ熊谷高のエース松本君に伝授された右四間飛車を試したかったらしい。
第1図まで実にうまく指され、黒星スタートも覚悟した。
              
直前に▲8四歩と叩かれたので、てっきり▲6六角と打たれるかと思った。
それなら△6六同竜▲同歩△6九銀とでもして、後は寄せてくれとやるつもりだった。
ところが花野君の指し手は▲5二歩。
うーん、飛車の横利きが気になったのだろうが、さすがにこの局面ではちょっとヌルく
△6九銀と掛けて逆転した。
着地に失敗した花野君、残念。
 次は越谷北高の高島君
彼はまだ級位者のようで、第2図ではかなり形勢に差がついている
              
どう指しても良さそうだが、実はこの局面は生涯に1度あるかどうかの大チャンス
「盤上この一手」の凡手がある。
【第2図以下の指し手】 △9九飛成(第3図)
              
「何それ」と言うなかれ。後手の持ち駒に注目。
ね、芸術的でしょう。
 最後は川越東高の吉永君。
駒がぶつかる前に千日手模様になり、こちらからは手を変えられない。
これはもう1局かなと思っていると、吉永君は「せっかくの機会ですから」と果敢に打開
してきた。その意気やよし。
吉永君も成算あっての打開だったようで、こちらの苦しい局面が続いたが、図の△3三桂
でようやく逆転したと思った。
              
【第4図以下の指し手】 ▲5六角△4五桂▲3八角
▲5六角には意表を突かれた。これが強防でうまい寄せがない。
△4五桂に▲同角(△同金なら▲2二金△4二玉▲5四桂で詰み)と取られたらかなり困っ
たが▲3八角に救われる。これで本当に逆転した。
第5図はいよいよ最終盤。
最初は△6五桂でいいかなと気楽に考えていたが、これくらい詰まさなくては講師の名が
すたる。で、詰ましにいった。
              
【第5図以下の指し手】 △6八銀▲同玉△8九角▲5九玉△4八銀▲同玉△5七角成
               ▲同玉△4五桂▲4八玉△4七金▲同玉△5七飛▲4八玉
               △3七飛成▲5九玉△5八歩▲4九玉(第6図)
              
「あれ、詰まない」
△4七金あたりで読みきったつもりが、最後の▲4九玉がスッポ抜けていた。
ここは吉永君の方が正確に読んでいた。
そもそも第5図で先手玉に詰みはなかったようだ。
仕方ないので、第6図で△5七桂成とし「さ、詰まして」とやった。
吉永君はしばらく考えていたが、やがて「これ詰まないですね」と音を上げる。
▲3三銀△同玉▲2五桂△2四玉まで指して投了。
先に対局を終えた講師陣が、▲3三銀に代えて▲2一銀△同玉▲3三桂を検討したが
それでも少し足りないようだ。
この将棋はいろいろ勉強になった。