沖 縄 悲 話(久米島)

 泊港から久米島までは船で2時間。
 島に着いた我々は、まず宿泊先の「イーフビーチ・ホテル」にチェックインすることにした。
  瀬島 「啓、病院はその後でいいだろ」
  啓 「・・・・・・・・・・うん」
 ところが島でレンタカーを借りるつもりが、車が1台もない。
 もちろんタクシーなんかない。
  瀬島 「じゃあ、ホテルまでバスで行こう」
  啓 「ホテルはいいけど、ボクの病院にはどうやって行くの?
     確か島の反対側でしょ」
  瀬島 「困ったなー」
  啓 「せ、せじまー・・・・・」
 とりあえずホテルに行き、そこでレンタカーを捜すことにした。

 ホテルでレンタカーを捜したがやはり満車。
 困り果てた我々(私)だったが、近くに瀬島が顔の利く商工会議所があり、そこから車
 を借りられることになった。
  啓 「さすが瀬島、沖縄では顔が広いね」 とお世辞を使う嫌な私。

 車で20分くらいの所に目指す病院はあった。
 ところが、ツカナイときはとことんツカン。
 この病院では整形外科は月2回のみで今日は休診日。
 仕方なく専門外の外科の先生に診てもらうことにした。

  瀬島 「いま12時半だから、俺と斉藤は3時頃戻ってくるよ」
  啓 「どこ行くの?」
  瀬島 「島一周」
  啓 「いいなー」

 午後1時に診察が始まった。
  啓 「先生、よろしくお願いします」
  医者 「じゃあそこの台に横になって」
 台の上でしばらく足首を動かしていたが、やがて先生が言った。
  医者 「おそらくヒコツ神経麻痺ですね。長時間神経を圧迫し続けるとそうなります」
  啓 「もう治らないんでしょうか?」
  医者 「いや、大丈夫だと思うけどね。まあすぐ専門のお医者さんに診てもらった
       ほうがいいね。紹介状書いてあげるから。一応お薬はビタミン剤出しとき
       ましょう。気休め程度にしかならないけど」
  啓 (もっと効く薬だしてくれないかな)
  啓 「先生、ありがとうございました」
  医者 「はい、お大事に」
 
 2時半ごろ瀬島と斉藤が病院に戻ってきた。
  瀬島、斉藤 「どうだった」
  啓 「神経が麻痺してるって」
  瀬島、斉藤 「ふーん」
  啓 「ちょっとダイビングは無理だな」
  瀬島 「お前ビーチで寝とれ」

 車でホテルに戻ったあと、目の前のビーチでちょっと泳ぐ。
 しかし右足首が動かないため危険を感じすぐ上がった。
 結局、これ以上沖縄にいてもろくなことがないと思い、ホテルのフロントで翌日の
 東京直行便を予約してもらった。
 その夜はテレビでサッカーの日本vsブラジル戦を観て寝た。