沖 縄 悲 話(那覇)

 出足からケチのついた沖縄旅行だが、空港には友人の瀬島が迎えに来てくれていた。
  瀬島 「お前、寝坊したか。とりあえず斉藤君(これも友人)のおうちに行こう」
 斉藤の家は那覇から車で15分くらいの南風原町(はえばるちょう)というところにあった。
  啓 「よー斉藤、元気か? とりあえずどっか飲み行こうぜ」
 ということで近くの居酒屋へ。

 2時間ほど飲み、店を出たのが夜の8時頃だった。
  啓 「このまま寝るのもつまらんから、那覇に遊びに行って来る」
  斉藤 「家の鍵は開けとくから適当に帰って来いよ」

 タクシーで那覇に着いた私は、早速目指すフリー雀荘「さかえ」に突撃した。
 ここは沖縄に来ると必ず打ちに行くのだが、客が弱くて結構おいしい。
 ところがこの日ついた卓には謎の関西人が・・・
 この関西人、どうにも強くていつもと勝手が違う。
 こちらも熱くなり、途中で斉藤に今夜(月曜)は帰らない旨の電話を入れる。
 
 結局、終ったのは火曜の夜8時。 1万円ちょっと負けた。
 翌日(水曜)は瀬島、斉藤と久米島に行くので、今夜も徹夜というわけにはいかない。
 ところが帰ろうとして席を立つと右足首が全く動かない。
  啓 「あれ、どうしたんだろう? シビレたのかな、まあすぐ治るだろ」
 外へ出るとまともに歩くこともできず、急いでタクシーをひろって斉藤の家へ戻った。
  ※この時点ではまだ事の重大さに気づいていなかったが、長時間足を組んで麻雀を
    していたため右足の神経を圧迫し、「ひこつ神経麻痺」になってしまったらしい。

  斉藤 「その足で明日久米島行けるのか?」
  啓 「うーん」
  斉藤 「東京帰って医者に診せたほうがいいんじゃないの」
 しかしこのまま帰っては何しに沖縄に来たのかわからない。
  啓 「いいよ、久米島行くよ」
 前の日徹夜だったこともあり、その夜は爆睡した。

 翌朝4時に目が覚めたが、依然右足首は全く動かない。
 それからは不安で一睡もできなかった。
 6時ごろ瀬島から電話があったので、事のてんまつを話した。
  瀬島 「パカたれ!」
  啓 「いやー悪い悪い。ところで久米島着いたら病院に行きたいんだけど、
     保険証貸してくんない」
  瀬島 「お前、保険証持って来なかったんか」
  啓 「瀬島さん、お願いします」
  瀬島 「しょうがない奴っちゃ」

 これで不安は少し解消。
 我々3人は午前9時に那覇の泊港(とまりん)から船で久米島に向かった。
 ところが久米島で更にすさまじい悲劇が私を待ち受けていた・・・・・・