埼玉棋界昔話(筋違い角)

 私が県の一般戦に出場し始めたのは、昭和52〜53年頃だったと思う。
当時県代表クラスの強豪で筋違い角を得意にしている人がいた。
先手なら必ず▲7六歩△3四歩▲2二角成△同銀▲4五角だった。
「こうなれば私の勝ち」くらいに思っていたかもしれない。
 ただこれは先手でなければ出来ない。そこで氏は考えた。
まず振り駒は必ず自分が行う。
そしておもむろに歩を3枚(5枚ではない)つまみ、すべて裏返して手に乗せる。
次に手を180度回転させて歩を盤上に放ると、あーら不思議90%以上の
確率で先手をにぎれるのである。
何人かの人が苦情を言っているのを聞いたし、私もその被害者の一人だが
今思い出すと何か可笑しい。
その人も今はもう大会には参加していない。
 先日、朝霞の三上四段(県連幹事)と対局したとき筋違い角をやられたが
あの振り駒名人にはまだまだ及びませんな。