交通事故悲話(衝突)

自分は今まで交通事故とは全く無縁の存在だった。今年の1月までは・・・・・

それは1月12日の金曜日。
金曜日は夕方から朝霞チェスクラブの例会があり、私はいつものように原付で朝霞中央公民館
に向かっていた。
朝霞駅北口近くの交差点にさしかかった午後6:40に事故は起きた。
赤信号で停車しているライトバンの横を減速しながらすり抜けようとすると、いきなり助手席の
ドアが開いた。
あまりの急な出来事に、一瞬何が起こったのかわからずブレーキをかける余裕すらなかった。
 ガッシャーン!!
右肩に激痛が走り、天地が逆さまになったように感じた。
道路に頭を打ったとき「ゴン」というヘルメットの鈍い音がした。

記憶が定かなのは、車から人が出てきて私を歩道まで運んでくれたあたりからだ。
 (助手席のBさん) 「大丈夫ですか」
 啓 「肩が痛い・・・」
 (運転席のAさん) 「すいません」
 啓 「警察と救急車呼んで・・・」
Aさんが携帯で警察と消防に連絡している。
 A 「場所は朝霞駅北口前の交差点です。本人は肩が痛いと言ってます・・・・・」
どうやら救急車はすぐに来てくれそうだ。
少し冷静になって自分のバイクを見ると、フロント部分が相当なダメージを受けている。
自分の身体も心配だが、それよりこれから先の手続き(警察、病院、保険会社、バイク屋)の
煩わしさを考えると気が滅入りそうだった。

救急車が来るまでの間に、明日の将棋大会(行田市)取材キャンセルの連絡を会社に入れる。
 啓 「いま朝霞駅前で事故に遭いまして・・・・・」
 小島 「ええっ!ホント!・・・・・大丈夫なの」 (小島さんとはこの日の午後会社で会ったばかり)
 啓 「はあ、肩が痛いだけであとは何とか大丈夫そうです」
 小島 「明日の取材はいいから、とにかくお大事に」
 啓 「申し訳ありませんでした」

小島さんへの電話を終えると、運転手のAさんを残してBさんが駅方向に帰ろうとしている。
「何で帰るんだ」と思ったが、文句を言う気力もなかった。
しかし後で警察の人が教えてくれたが、助手席のドアの開閉は全て運転手の責任であり(注意
義務)実際にドアを開けた助手席の人に責任はないそうだ。

そうこうするうちに救急車が来た。「ピーポー、ピーポー」の音が初めて嬉しく感じた。
警察はまだ来ない。
私は現場にAさんを残し救急車に乗り込んだ。
 A 「佐藤さん、連絡先教えて下さい」
 啓 「あっ、そうか」
私は紙に自宅と携帯の番号を書いてAさんに渡した。
 A 「後で連絡します」
 
救急車の中で問診を受け、血圧を測られた。
 救命士 「痛いのは肩だけですか」
 啓 「はい」
 救命士 「これから○○病院に向かいます」
 啓 「はい・・・・・あっ!」
 救命士 「?」
 啓 「Aさんの連絡先聞くの忘れた」