--------------------------
貨物船が航海している。
日本を出発して六日目の夜。
たまねぎ太郎の部屋に密航者達が集まっている。
--------------------------
たまねぎ太郎>
ということで、明日までに何の仕事をやりたいのか決めなければ
ならなくなったんだけど、何かいい案はある?
桃太郎>
ないね。
たまねぎ太郎>
結論はやっ!
少しは考えろよ。
桃太郎>
やだよ。
考えたくもないよ。
だって仕事したくないんだもん。
たまねぎ太郎>
あのさー、仕事しないとメシ食わせてもらえないんだよ?!
それでもいいのかい?
桃太郎>
それは困るけどさぁ、
もしメシを食わせてくれないっていうんだったら、
力ずくで奪い取っちゃえばいいじゃん。
鬼太郎>
おいおい。
お前は正義の味方じゃないか。
そんなこと言っちゃまずいだろ。
桃太郎>
うるせーなー。
お前は悪者のくせに。
いい子ぶってんじゃねーよ。
鬼太郎>
なんだと、この野郎!
やろーってのか!
桃太郎>
お?
やるか?
また泣かされたいのか?
ん?
たまねぎ太郎>
やめろよ、二人とも。
ケンカするんならしてもいいけどさ、
仕事が決まってからにしてくれよ。
犬太郎>
おい!
ちょっと待ってくれ、みんな!
たまねぎ太郎>
ん?
どうした犬太郎?
犬太郎>
正義の味方だよ。
たまねぎ太郎>
正義の味方?
正義の味方がどうしたんだよ。
犬太郎>
正義の味方を仕事にするんだよ。
たまねぎ太郎>
正義の味方を仕事にする?
それはだめなんじゃないかな。
正義の味方は別に仕事じゃないからねぇ。
犬太郎>
そこだよ、ポイントは!
たまねぎ太郎>
え?
何が?
犬太郎>
正義の味方は仕事じゃないってことだよ。
だから逆に正義の味方を仕事として認めさせれば
普段は遊んでてもいいじゃん。
たまねぎ太郎>
なるほど。
でもさ、悪者が出てきたら戦わなきゃいけないんだぞ。
大丈夫か?
犬太郎>
そりゃあそのときは戦わなきゃいけないけどさ、
悪者なんてそんな出てくるわけないじゃん。
たまねぎ太郎>
そっか。
そうだな。
お前、頭いいな。
じゃあ、仕事は正義の味方ってことで
船長に提案してみるか。
桃太郎も鬼太郎もそれでいい?
桃太郎、鬼太郎>
犬太郎さんがそれでいいって言うんなら。
たまねぎ太郎>
お前ら、なんで犬太郎に対して低姿勢なんだよ。
まぁ、いいよ。
じゃあさ、正義の味方の名前とか決めようか。
桃太郎>
名前?
名前とかいるの?
たまねぎ太郎>
それはもちろんいるよ。
だって、
「正義の味方、たまねぎ太郎参上!」
じゃかっこつかないもん。
桃太郎>
そうかなぁ。
「正義の味方、桃太郎参上!」
・・・
いい感じだけどなぁ。
たまねぎ太郎>
いや、お前は桃太郎だからね。
そりゃあいい感じだと思うけどね。
鬼太郎>
「正義の味方、鬼太郎参上!」
・・・
うん。俺もいい感じだけどなぁ。
たまねぎ太郎>
お前も「鬼太郎」っていうかっこいい名前だからね。
犬太郎>
「猫の味方、犬太郎参上!」
・・・
犬なのに猫の味方ってのはちょっとおかしいだろ。
たまねぎ太郎>
いやいや、お前はポイントがちょっとずれているから。
桃太郎>
結局さ、今の名前のままではおかしいのはさ、
たまねぎ太郎と犬太郎じゃん。
だからさ、二人だけ名前つけたらいいんじゃない?
たまねぎ太郎>
えーーーーーーー。
いいじゃーん。
みんなで統一したかっこいい名前をつけようよー。
なぁ、そうしようぜー。
桃太郎>
いや、別にいいけどさ。
つけるならつけるで。
たまねぎ太郎>
よし!
正義の味方用の名前をつけるってことで決まりね!
じゃあさ、ゴレンジャーにあわせてさ、
何とかレンジャーって名前にしようぜ。
桃太郎>
うん。
いいよ。
たまねぎ太郎>
じゃあ俺はたまねぎの「たま」をとって「タマレンジャー」ね。
桃太郎>
じゃあ俺は桃太郎の「桃」をとって「モモレンジャー」ね、
って嫌だよ!
俺の顔面はハートかい!
あぶねーあぶねー。
騙されるところだった。
レンジャーはやめやめ!
たまねぎ太郎>
そっかぁ。
うーん。
・・・
じゃあさ、野菜つながりってことで、ベジタブラーってのはどうかな?
俺はたまねぎなので、オニオンタブラーってことで。
桃太郎>
じゃあ俺はピーチタブラーね。
鬼太郎>
じゃあ俺はオニタブラーね。
たまねぎ太郎>
おいおい。
オニオン、ピーチと英語できてるんだから
お前も英語にしろよ。
鬼太郎>
鬼を英語でなんと言うかわかんないから
しょうがないだろ!
たまねぎ太郎>
わかんないもんはしょうがないな。
じゃあいいよ。
オニタブラーで。
犬太郎>
じゃあ俺はイヌタブラーね。
たまねぎ太郎>
いや、お前は英語にしろよ。
犬太郎>
えー。
だって、犬って英語で何ていうかわかんないんだもん。
たまねぎ太郎>
ドッグだよ、ドッグ。
そのくらいわかれよ。
犬太郎>
じゃあドッグタブラーね。
うーん。
なんかドッグタブラーっていいにくいから
ドグタブラーにしてもいい?
たまねぎ太郎>
そうだな。
確かにドッグタブラーはいいにくいな。
よし。
ドグタブラーにしよう。
桃太郎>
あ、だったら俺もピーチタブラーじゃなくて
ピチタブラーにするよ。
たまねぎ太郎>
そうだね。
そのほうがいいかもね。
じゃあ俺もオニオンタブラーじゃなくて
オニタブラーにしよっと。
鬼太郎>
こらこら。
それはダメだよ。
オニタブラーは俺だから。
たまねぎ太郎>
あ、そっか。
そうだね。
じゃあたまねぎのタマでタマタブラーにするよ。
鬼太郎>
うん。
そうだね。
それがいいかもね。
たまねぎ太郎>
よし!
それじゃ決まりね!
タマタブラー、ピチタブラー、オニタブラー、ドグタブラー、
5人揃って、野菜戦隊ベジタブラー参上!!
・・・
うーん。
かっちょいーい。
鬼太郎>
あのさ、ちょっといいかな。
たまねぎ太郎>
ん?
何?
鬼太郎>
「5人揃って」とか言ってるけど、4人しかいないからね。
たまねぎ太郎>
あ!
そういえばそうだね。
じゃあ、「4人揃って、野菜戦隊ベジタブラー参上!」ね!
・・・
うーん。
4人揃って、っていうの、やっぱり変だよなー。
揃ってないもんなー。
普通は5人だもんなー。
もう一人欲しいよなー。
鬼太郎>
そうだね。
もう一人欲しいよね。
犬太郎>
あのさ、鈴木を入れようよ。
たまねぎ太郎>
お!
そいつはいい考えだな!
よし!
鈴木を入れよう!
そうしよう!
ということで鈴木を入れてベジタブラーを仕事とすることに
決めた4人であった。
果たして船長は彼らの言い分を認めてくれるのでしょうか。
第8話に続く。