ベジタブルな密航者第8話


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貨物船が航海している。
日本を出発して六日目の夜。
鈴木がたまねぎ太郎に呼び出され、
たまねぎ太郎の部屋に密航者達と鈴木が集まっている。
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たまねぎ太郎>
ということでさ、
鈴木にべジタブラーの一員になってもらいたいんだよ。
な、いいだろ?

鈴木>
へい。
それは別にいいでやんすけど・・・。

たまねぎ太郎>
けど、なんだ?

鈴木>
野菜つながりでベジタブラーとか言ってるけど
野菜と関係あるのはたまねぎ太郎だけでやんすよ。
変でやんすよ。

たまねぎ太郎>
いいんだよ、別に。
そこはみんな無視して話を進めているんだからさ。
まぁ、気にするなよ。

鈴木>
それと・・・

たまねぎ太郎>
なんだ。
まだ何かあるのか?

鈴木>
へい。
なんとかレンジャーの時は
日本語で「タマレンジャー」とか
「モモレンジャー」とか言ってたのに
なんでベジタブラーになったら急に
「オニオンタブラー」とか「ピーチタブラー」とか
当たり前のように英語で考えちゃったでやんすか?

たまねぎ太郎>
お前は細かいなぁー。
別にどうでもいいじゃん。
そんなことは。
ベジタブルが英語だから
自然とそうなったんじゃねーの?

鈴木>
あ、なるほど。
そうでやんすか。

たまねぎ太郎>
もういいか?
もうつっこむことはないな?

鈴木>
へい。

たまねぎ太郎>
よし!
じゃあ鈴木もベジタブラーの一員になるということで決まりな!
名前はスズタブラーな!

鈴木>
スズは英語じゃ

たまねぎ太郎>
よーし!
今日はこれで解散!
みんなお休み!!


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貨物船が航海している。
日本を出発して七日目の朝。
キッチンにベジタブラーの5人と
船長が集まっている。
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船長>
みなさん、おはようございます。
仕事は何をしたいか決まりましたか?

たまねぎ太郎>
うん。
決まったよ。
仕事はベジタブラーをやるよ。

船長>
はぁ。
ベジタブラー・・・
ですか。
・・・
で、なんですか?
そのベジタブラーとは?

たまねぎ太郎>
正義の味方だよ。

船長>
え?
「正義の味方」
ですか?

たまねぎ太郎>
そうだよ。
正義の味方だよ。

船長>
はぁ・・・。
で、その正義の味方は具体的にはどんなことをするんですか?

たまねぎ太郎>
タマタブラー参上!

桃太郎>
ピチタブラー参上!

鬼太郎>
オニタブラー参上!

犬太郎>
ドグタブラー参上!

鈴木>
スズタブラー参上!
でやんすよ!

5人全員>
5人揃って、野菜戦隊ベジタブラー!

鈴木>
でやんすよ!

船長>
え?
い、いや、
あのー、
仕事の内容を聞いているんですけど。

たまねぎ太郎>
あ、仕事の内容ね。
仕事の内容はね、
悪者からみんなを守ることだよ。

船長>
はぁ。
そうですか。
悪者からみんなをねぇ。
で、悪者っていったい誰なんですか?

たまねぎ太郎>
タマタブラー参上!

桃太郎>
ピチタブラー参上!

鬼太郎>
オニタブラー参上!

犬太郎>
ドグタブラー参上!

鈴木>
スズタブラー参上!
でやんすよ!

5人全員>
5人揃って、野菜戦隊ベジタブラー!

鈴木>
でやんすよ!

船長>
それはわかりましたから。
質問に答えてくださいよ。
悪者って誰なんですか?

たまねぎ太郎>
それはもちろん、あれだよ。
ほれ、あいつだよ。

船長>
いや、あいつだよって言われましても・・・。

鈴木>
海賊でやんすよ。

たまねぎ太郎>
そ、そうそう!
海賊海賊!
海賊だよ!

船長>
海賊ですか?
今のこのご時世に?

たまねぎ太郎>
お前、海賊をバカにするのか?
そんだけバカにしててもし海賊が出たらどうするんだよ。
正義の味方がいないと、
金銀財宝を海賊に盗られてしまって
大泣きすることになるぞ。
それでもいいのか?

船長>
金銀財宝は元々積んでないですけどね。
うーん。
わかりました。
つまりは、正義の味方とは
警察とか警備員とか自衛隊とかガードマンとか
そのような仕事をする人のことですね?

たまねぎ太郎>
うーん。
ま、そっかな。

船長>
じゃあ悪者が出てこないときは何をしているんですか?

たまねぎ太郎>
お前、やなこと聞くなぁ。
それは、あれ。
あれだよ。

鈴木>
パトロールでやんすよ。

たまねぎ太郎>
そ、そうそう!
そのパトロールってやつをやるだよ。

船長>
あなた、全部鈴木の受け売りですね。
しかも最後の言葉がちょっと鈴木っぽくなってますよ。
動揺してるんじゃないですか?

たまねぎ太郎>
してないだすよん。
まじで、
まじでしてないだすよん!

船長>
はいはい。
わかりましたわかりました。
うーん。
どうしようかなぁ。
・・・・
よし!
ではこうしましょう。
実は今日はこれから食料と燃料の補給のために
上陸することになっているんですね。
そこで船員のみんなが危ない目にあわないように
ボディガードをやってもらえますか?
その結果を見てから今後どうするのか決めましょう。
それでいいですか?

たまねぎ太郎>
ああ。
いいよ。
そうしてくれ。

船長>
わかりました。
では港に着いたら呼びにきますので
それまではゆっくりしておいてくださいね。
それではまた後ほど。

(と言ってキッチンを出て行く)

犬太郎>
へっへっへ。
うまく行ったな。

桃太郎>
おう。
うまく行ったぜ。
これで遊びながら、船旅を楽しみながら
タダ飯が食えるぞ。

たまねぎ太郎>
おいおい。
まだうまく行くと決まったわけではないぞ。
これからテストがあるんだから
テストが終わるまでは気を抜けないんだぞ。

鬼太郎>
そうだな。
じゃあもう一回決め台詞の練習でもしておこうか。

たまねぎ太郎>
タマタブラー参上!

桃太郎>
ピチタブラー参上!

鬼太郎>
オニタブラー参上!

犬太郎>
ドグタブラー参上!

鈴木>
スズタブラー参上!
でやんすよ!

5人全員>
5人揃って、野菜戦隊ベジタブラー!

鈴木>
でやんすよ!

たまねぎ太郎>
あのさ、鈴木さ、
「でやんすよ」
はつけなくていいから。
それをつけちゃうとかっちょ悪いから。

鈴木>
へい。
すいやせん。
でもこの決め台詞って使うときあるんでやんすかね?

たまねぎ太郎>
いいんだよ。
特に使うときがなくてもさっきみたいに
無理矢理ガンガン使っていけばいいんだよ。

鈴木>
へい。
そうでやんすか。


(そこへ船長が再びキッチンにやってくる)

船長>
皆さん、船が港に着きました。
降りる準備をしてください。

たまねぎ太郎>
あっ、そう。
着いたの。
ところでどこの国に着いたの?
東京を出て七日だから、台湾?
フィリピン?シンガポール?

船長>
大阪です。

たまねぎ太郎>
ちかっ!
全然進んでないじゃん!
いったいどこをどう航海してきたんだよ!

船長>
はい。
じゃあ降りますからね。
よろしくお願いしますねー。





ということで大阪に上陸することになった
船員達とベジタブラー。
果たして彼らにどんな事件が待ち受けているのであろうか。
第9話に続く。