動物園


動物園に入園するカップル。
そこにオヤジが近づいてくる。

オヤジ>
いらっしゃいませ。
私は、本日、解説をつとめさせていただきます佐々木と申します
どうぞよろしくお願い致します。

男>
え?
解説ってなんですか?

佐々木>
はい。
解説というのはですね、動物についての解説になります。
お客様がご覧になっている動物について疑問点などありましたら
すぐさま解説致します。
もちろん疑問点などないようでもちょっとした情報等がありましたら
どんどん解説していきます。

男>
あ、そうなんですか。
でも僕達はいいです。
二人っきりでデートを楽しみたいので。

佐々木>
はぁ、そうですか。
それではお二人でごゆっくりデートをお楽しみください。

と素直に引き下がると思ったら大間違いだこのやろー!
こちとらやっとのことで動物の解説係として
この動物園に雇ってもらってるんだ。
ここで仕事にあぶれるとまた何か就職口を探さなきゃいけないんだ。
もうそんなつらい思いをするのはたくさんなんだ。
だからお客様になんと言われようと意地でもついていきますからね。

男>
なんだよ、それ。
そんなこと言われてもなぁ。

女>
ねぇ、なんだかこの人可哀想よ。
いいじゃない?
ついてきて解説してもらいましょうよ。
知識が増えたら他で使えるかもしれないわよ。

男>
そうだなぁ。。。
お前がそういうならいいけど。

佐々木>
ありがとうございます!

男>
ということで着いてきてもいいですけど、
デートの邪魔だけはしないでくださいね。

佐々木>
はい、わかりました。
邪魔しないように気をつけます。

男>
よし!
じゃあ行こうか。

女>
うん。

佐々木>
さぁ〜、いよいよ動物園でのデートが開始されました。
二人の運命を決めるゴングの音が今まさに打ち鳴らされたかの
ごとく、二人の心臓は早鐘を打っていることでありましょう。
おおーっとぉー!
いきなり目の前に分かれ道の登場だぁ!!
分かれ道のところには「順路」と書かれた立て札があります。
さて、この二人は順路通りに進むのでしょうか、
それとも逆に進むのでありますでしょうかぁーーーーー!!

男>
だぁあああああ!!
うるさーーーーい!!

いきなりデートを邪魔するかよ!
しかも、それ、解説じゃなくて実況だろ?!
実況もやるのかよ!

佐々木>
そっかー!
実況かー!
しまったー!
すいません。
実況はしません。
解説だけです。
以後気をつけますから。
気をつけますからぁあああ!!

男>
だぁあああ!!
もう、うるさいよ!
わかったから。
今後は解説だけにしてよね。

佐々木>
はい。
わかりました。


(キリンの檻の前にやってきた3人)


男>
やっぱりキリンってでかいよなー。

女>
そうねー。
ねぁねぇ、
キリンの舌って黒いのよ。
知ってた?

男>
え?
そうだっけ?
どれどれ。
あ!
本当だ!
黒いね。
なぜ黒いの?
知ってる?

女>
わかんなーい。

男>
そうか、わかんないか。

佐々木>
(ボーっとした顔をしている)

男>
なぜ黒いのかなぁ。

佐々木>
(ちょっとウトウトしてきた)

男>
キリンの舌は、なぜ黒いのかなー!!

佐々木>
(首がガックンガックンしてる)

男>
こらー!オヤジ!!

佐々木>
(ビクッとして目が覚める)

男>
ここで解説じゃないのかよ!!

佐々木>
い、いやぁ、二人のデートを邪魔しちゃいけないと思いまして。

男>
嘘つけ!
寝てただけだろ!
そんな言い訳はいいから解説してみてよ。

佐々木>
あ、は、はい。

えーっとですねー、
キリンの首が長いのはですねー、
今のところは突然変異説と自然淘汰説が
あわさったようなような説が一般的でして、
たまたま首の長いキリンが産まれた時に有利だったので
首の長いキリンが生き残って、結果首が長くなったようです。

男>
誰もそんなこときいてねーよ!
質問を聞いてなかったんなら聞いてなかったって言えよ!

佐々木>
あ、すみません。
あのー、質問って何でしたっけ?

男>
なぜキリンの舌は黒いのか!
だよ。

佐々木>
え?
キリンの舌は黒いの?

男>
なにぃー?

佐々木>
あ、いや、なんでもないです。

えーーーーっとですね、
えーーーーーっと、ちょっと待ってくださいね。

はい。
あー、はいはい。
わかりましたわかりました。

えー、キリンの舌がなぜ黒いかっていうとですねぇ、
習字をするときに筆をペロッと舐める癖がキリンにはあるんです。
それが原因です。

男>
おまえなぁ、
キリンがあのヒヅメでどうやって筆を持つんだよ!

佐々木>
あー、はいはい。
間違えました間違えました。
舌が黒い訳はですねぇ、
舌を黒い石で挟まれたんですね。
それで裏返しになって黒くなっちゃったんですよ。
白い石で挟み返してあげれば、また元の白に戻ります。

男>
お前の目玉を白い石で挟んで白目にしたろか!
違うだろっ!

佐々木>
はい、違います違います。
えーっとですねぇ、
はい。
えー、キリンの舌っていうのはですねぇ、
実はすご〜く甘いんですよ。
なのでそれを舐めるために蟻がたくさんむらがっちゃって。
それで黒く見えるんです。

男>
お前のようなやつはシロアリにでもたかられて食われてしまえ!
もういいよ!
わかんないんならわかんないって言えよ!

佐々木>
わかりません。

男>
なんだよ。
本当にわからないのかよ。
全く。
この役たたずめ!

佐々木>
(悲しそうな顔をする)

女>
ねぇねぇ、キリン首の骨って何本あるの?

佐々木>
(表情がパッと明るくなり)
あ!
それはですねぇ、ろ

男>
七本だよ。

佐々木>
な・・・・・ほ・・・・・ん・・・・。

女>
え〜?
そうなの?
あんなに長いのに七本なの?
あなたって物知りねぇ。

男>
いやぁ、常識だよ常識。
な!
佐々木!

佐々木>
はい。
左様でございますね。

男>
で、ろなほんって何?

佐々木>
いや、なんでもないです。

男>
もしかして六本って言おうとしてた?

佐々木>
なんでもないです、なんでもないです。

男>
まぁ、いいけどね。

佐々木>
(悲しそうな顔をする)

女>
じゃあ次を見に行きましょうか。

男>
そうだね。
そうしよう。
次は・・・っと。

お!
象だぞう!

佐々木>
解説しよう!
今のダジャレは動物の「象」と「象だぞ」って言う言い方の
語尾を延ばして「だぞう」にして、
「象」と「ぞう」をかけてるわけだね。
ありふれたごく普通のつまんねーダジャレだね。

男>
こら!
佐々木!!
そんな解説はいらねーんだよ!
つまんねーダジャレだってことは言われなくてもわかってるんだよ!
こういうときは知らんぷりして流せよ!
まったく、動物についての解説はできないくせに。
こういうことばっかり解説しやがって。

佐々木>
(悲しそうな顔をする)

女>
ねぇ、見て見て!
象ってやっぱり大きいわよね。

男>
うん。
大きいね。

女>
ねぇ、象って体だけじゃなくいろんなところも大きいわよね。
象の耳ってなんであんなに大きいのかしらね。

佐々木>
それはね、お前の話がよく聞こえるようにだよ。

女>
象の目はなんであんなに大きいの?

佐々木>
それはね、お前の可愛い姿をしっかり確認するためだよ。

女>
象の鼻はなぜあんなに長いの?

佐々木>
それはね、
お前を・・・・・

食べるためさぁあああああああ!!
うおおおおおおおお!!

男>
こらこら!
俺の彼女は赤頭巾ちゃんかよ!
だいたい鼻でどうやって食べるんだよ!
鼻から物が食えたとしても鼻水なんかも
一緒に食べることになって汚いだろ!
バカ!

佐々木>
(悲しそうな顔をする)

女>
じゃあ次を見に行きましょうか。

男>
そうだね。
そうしよう。
次は・・・

お!
ライオンだ!!
やっぱライオンは迫力あるなぁ。

ねぇねぇ、ライオンはここの檻の中に何頭いるかわかる?

女>
えー?
そんなのわかんないわよー。
パッと見、2頭しかいないようだけど・・・・、2頭であってる?

男>
ブー。
正解は16頭でーす。

女>
えー?
そんなにいるのー?
とてもそんなにいるようには見えないけど。

男>
ライオンのことを獅子っていうだろ?
それで、しし16、ってね。

女>
なんだー。
ダジャレかぁ。

佐々木>
いやいや、あなた、16頭って、
ここにはそんなにいっぱいいないですよ。
ここにいるのは2頭です。
彼女のほうが正しいですよ。
バカだなぁ。

男>
だからー、ダジャレなんだよ!
誰も本気で言ってないっつーの!

佐々木>
ああ、つまんないダジャレだったんですね。
失礼しました。

男>
つまんないは余計だよ!
別にお前に気に入ってもらわなくてもいいんだよ!

女>
ねぇねぇ、食事の時間かしら。
飼育係がバケツに入った肉の塊を運んできたわよ。

男>
あ、ほんとだね。
面白そうだから、もうちょっと見てようか。

女>
そうね。

男>
あ、あれ?
何か2頭どころじゃないね。
奥のほうからどんどん出てきてるね。

女>
ほんとね。

男>
ちょっと数えてみようか。
1,2,3,4・・・
あれれれ?
全部で16頭いるぞ。

佐々木>
え?
本当ですか?
1,2,3,4・・・
いやぁ、本当ですねぇ。

男>
おい!
何が2頭だよ!
嘘つき!

佐々木>
(悲しそうな顔をする)

男>
じゃあもう次々!!
次いこう。

女>
そうね。

男>
次は・・・・、おっ!
猿山かぁ。
ニホンザルがいっぱいいるなぁ。

女>
ほんとね。
ねぇ、どの猿がここのボスなのかしら。

男>
うーん、どれだろうねぇ。
あの岩山のてっぺんにいるやつじゃないかなぁ。

佐々木>
(人差し指を立てて左右に振りながら)チッチッチ!
違います。
あの猿はボスではありません。
ボスは一番下で寝転んで他の猿にノミをとってもらっている
あの猿です。

男>
あ、あれかぁ。
なるほどー。
そう言われてみれば一番威厳があるような感じがするね。

佐々木>
ちなみに岩山のてっぺんにいる猿は見張りです。
敵が近づいてくると
「おい!火を消せ!」
ってみんなに教えます。

男>
嘘つけよ!
トイレで隠れてタバコすってる中学生かよ!

佐々木>
あははは。
まぁ、これは冗談です。
ちなみに、今のボス猿の名前はメロンって言います。
この動物園が開園されてから10代目のボスになります。

男>
あ、そうなの?

佐々木>
はい。
で、前のボスがモモ、その前がリンゴという名前でした。

男>
全部果物からとった名前なの?

佐々木>
はい。
そうですね。
特に果物というわけではなく、好きな食べ物から名付けるようになってますので。

男>
なるほど。

佐々木>
ちなみにどんどん遡ると、
イモ、

男>
あ、果物じゃないね。

佐々木>
クリ、ニンジン、ミミズ、

男>
ミ、ミミズ?

佐々木>
はい。
ミミズを好き好んで食べる猿もいますので。
猿は元々雑食ですからね。
昆虫や小動物も食べるんですよ。

男>
なるほど。

佐々木>
ネコ、

男>
ネ、ネコ?
それはいくらなんでも違うでしょ!?

佐々木>
は、はい。
ネコじゃなくて、根っこですね。

男>
ね、根っこ?
あんな硬いもの?

佐々木>
あ、い、いや、
ゴボウでした。

男>
全然ちがうじゃん!!

佐々木>
失礼しました。
では、続けて、
カエル、フナ、野口五郎、

男>
の、野口五郎?

佐々木>
あ、いや、稲垣吾郎・・・・・・、
じゃなくて、
えーーーーーっと・・・
あ!
ゲンゴロウ!
ゲンゴロウです!

男>
ゲンゴロウかよ!
野口五郎とゲンゴロウを間違えたことよりも
ゲンゴロウが好物っていう猿がいたことのほうが驚くよ!

佐々木>
で、その前が山田五郎、

男>
や、山田五郎?
今度は何と間違えたんだ?

佐々木>
いえいえ、これは間違いではありません。
この頃は好きなタレントの名前を付けていたんです。

男>
あ、そうなんだ。
じゃあそれはそれでいいとしてもさぁ、
好きなタレントが山田五郎って、いったいどんな猿なんだよ、そいつ。

っつーかさぁ、もう10代以上遡っちゃってるんだけど。

佐々木>
じゃあ次の動物を見に行きましょうか。

男>
こらこら!
誤魔化すなよ!

佐々木>
次はカバですよ!
ほら!

女>
うわーっ!
カバだぁ。
カバって実際にちゃんと見たことなかったけど
意外と大きい動物なのね。

佐々木>
そうですね。
カバは、

男>
カバは陸上の動物の中で象の次に大きい動物だからね。

佐々木>
(悲しそうな顔をする)

男>
なんだよお前は。
うざいなぁ。

佐々木>
だって、僕が言おうと思ってたのに先に言うんだもん。
せっかく持ちギャグもあったのにさぁ。

男>
なんだよ!
じゃあ言えばいいじゃん!
はい、どうぞ!

佐々木>
えへ、えへへへへ。
カバはねぇ、陸上の動物の中で象の次にでかいんだぞう。
でかいんだぞう!
象の次なんだぞう!

男>
・・・・・・・

女>
・・・・・・・

佐々木>
あれ?
リアクション薄いなぁ。
っつーか、ないなぁ。

男>
リアクションする気もおきねーよ。

佐々木>
あれ?
なんで?

男>
なんで、って、
そのダジャレはさっき俺が言っただろ?!
しかもお前は「つまんねーダジャレ」とか言って
解説までしてたじゃん!

佐々木>
いえいえ、これはですねぇ、お笑いの専門用語でいうところの
てんどんってやつでして、
繰り返し同じ事をすることで笑いにつなげるっていう
高等テクニックなんですよ。

男>
いやいや、
てんどんは確かにそうだけどさぁ、
元々がつまんねーダジャレじゃん?
それを繰り返したってさらにつまらなくなるだけなんだよ。

っつーか、そんな解説はいらないんだよ!
何を自信満々で解説してんだよ!
お前は動物のことだけ解説してればいいんだよ!

佐々木>
(悲しそうな顔をする)

女>
ねぇねぇ、カバの汗って赤いのよね!
なぜなの?

男>
ほら、動物に関する質問だよ。
ちゃんと解説してやれよ。

佐々木>
はいはい。
えーっと、カバの汗が赤いのはですねー、
光の反射のせいなんですね。
赤色の波長だけを反射するような物質が
カバの汗には含まれていて、
それで赤く見えるんですよ。

男>
違うだろ!!
それはカバの汗が赤い理由じゃなくて
赤く見える理由だろが!
カバの汗に入っている物質のほうを解説しろよ!

佐々木>
(悲しそうな顔をする)

男>
なんだ。
わかんねーのか。

佐々木>
(コクッとうなずく)

男>
この役たたずめ!

佐々木>
(悲しそうな顔をする)

女>
ねぇねぇ、
この人何も知らないわね。
解説にも何もなってないし。

男>
そうだよな。

お前、よくこんなんでやっていけてるな。
もういいよ、ついて来なくて。

佐々木>
え?
そんな、お客さん。
最後まで仕事させてくださいよ。

男>
いやね、
こっちも最後まで仕事させてあげたいのはやまやまだけどさ、
何の役にも立ってないじゃん?!
っつーか、逆に邪魔してんじゃん?!
だからもういいって。

佐々木>
お、お客さん!!
今度はしっかりやりますから!
ほんとにほんとにー!
お願いします!
もう一度だけ私にチャンスをください!!
(悲しそうな顔をする)

男>
なんだよ、その顔は。
わかった。
わかったよ。
じゃあ最後のチャンスだからな。
次だめだったらもう帰ってもらうからな。

佐々木>
わかりました。
ありがとうございます。
頑張ります。

男>
じゃあ、次に行くか。
次は・・・と、
おー!
蛇だ!
この蛇でけーな。

女>
ほんとね。
これ、何ていう蛇かしら。

佐々木>
・・・・・・・・・

男>
・・・・・・・・・

女>
・・・・・・・・・

男>
おい!
佐々木!
名前名前!

佐々木>
え?
ああ、はいはいはい。
えー、佐々木タケシです。

男>
お前のじゃねーよ!

佐々木>
ああ、蛇のか。
蛇のね。
はいはい。
えーっと・・・・・・・・。
アフリカニシキヘビ
って書いてありますね。

男>
書いてあるー?
お前、檻のところに貼ってある説明書きを読んだな!?

佐々木>
いえいえ、
違います違います。

男>
ほんとか?
じゃあ説明書きを見ないで解説してみてよ。

佐々木>
は、はい。
わかりました。
えー、アフリカニシキヘビなんですが、
ヘビ亜目ボア科に属する蛇で、
体長は約3から7.5mです。
住んでいる場所は名前の通り、
アフリカの砂漠を除くサバンナ地方です。
水辺を好みますが、人家、森林などにも生息しています。
産卵期は地域によって異なり、アンゴラでは1月、南アフリカでは11から12月頃です。
食べ物は、哺乳類、鳥、卵等ですが、人なんかも丸呑みにしちゃいます。

男>
お!
すげーじゃん!
初めて解説らしい解説をしたね。

佐々木>
ありがとうございます。
で、さらにここにいるこの蛇についての情報なんですけど、
しっぽの付け根の所にある黒い模様が牛を横から見た姿に似ているので
モーモーちゃんという名前が付けられています。

男>
え?
そうなの?
どれ?
どこなの?
どこの模様が牛みたいに見えるの?
だいたいどこがしっぽの付け根なのかわかんないし。

佐々木>
ああ、
模様の部分がちょうど石で隠れていますね。

男>
あ、そうなんだ。
じゃあさぁ、その石、どかしてきてよ。

佐々木>
え?

男>
石をどかしてきてよ。

佐々木>
え?

男>
お前、聞こえてるだろ!
石をどかしてこいっつってんの!

佐々木>
えー?
私がですか?

男>
そうだよ。
お前がだよ。
他に誰がいるんだよ。
できないの?
できないんだったらいいんだよ。
帰ってもらっても。

佐々木>
いや、できますできます。
やります。
やらせてください。

女>
え?
できるの?
だって、この蛇、人を平気で丸呑みしちゃうんでしょ?!
大丈夫なの?

佐々木>
あ、はい。
多分大丈夫でしょう。
ここの動物園にいる動物達はみんな私になついてますから。
あは!
あはは!

女>
そうなの?
それならいいけど。

佐々木>
じゃあ、ちょっと待っててくださいね。
どかして行って来ますから。

(と言って、裏口から檻の中に入っていく佐々木。
  蛇に近づいて石をどけようとする。
  すると蛇が佐々木の足に噛み付いた。
  蛇が佐々木の足のほうから丸呑みしはじめた。)

う、うわー!!
こ、こらっ!
やめろ!
ばか!
痛いじゃないか!
あ、あははは!
お客さん、大丈夫ですよ!
何の問題もないですから心配しないで

(と言って外を見る佐々木。
  そこにカップルの姿はない。
  代わりに一人の男が立っている。)

ください・・・って、え、園長!!
た、助けてください!!

園長>
・・・・・・・・・・・・・

佐々木>
え、園長!!
ボーっと見てないで早く助けてくださいよ!

園長>
クビ。

佐々木>
ク、クビ?

(と言って悲しそうな顔をする佐々木。
  そのまま蛇に丸呑みにされてしまう。
  と思ったら、蛇のケツの穴から顔を出す。)

佐々木>
クビ?

園長>
クビ。

佐々木>
(悲しそうな顔をしながらケツの穴に自分から入っていく佐々木)