ブタの家にて
サンタ>
おーい!
ブター!
いるかー!
ブタ>
はーい。
いてまっせー。
ちょっとまっとくれやー。
戸を開けるさかいに。
(ガラガラ)
なんやポストかいな。
ポストがなんかわしに用かいな。
サンタ>
あんなー、自分なー、
ポストにはハガキとか手紙しか入れたらあかんでー。
ちょくちょくゴミ棄てたりしてるやろ。
そんなんすんなやー。
って、ちゃうわっ!
だ、誰がポストやねん!
サンタやサンタ!
わかるやろ!
ブタ>
なんやサンタかいな。
洋服が赤いからポストとまちごうてしもたやん。
サンタ>
なんで間違うねん。
ポストには白いヒゲははえてへんやろ!
ブタ>
雪がつもってんのかおもたんやからしゃーないやろ!
で、なんやねん。
わしに何の用やねん。
サンタ>
うん、あのな、今日って、12/24やん?!
ブタ>
せやなぁ。
サンタ>
クリスマスイブやん?!
ブタ>
せやなぁ。
それがどないしてん。
サンタ>
うん、ほんでな、七面鳥買おうかおもて肉屋に行ったらな、
もう売り切れやてぬかしてけつかんねん。
ブタ>
ほうほう。
サンタ>
でな、しょうがないから七面鳥の代わりにブタの丸焼きでも
くおかーいうてな、トナカイと話しててん。
ブタ>
ほうほう。
サンタ>
でな、その丸焼きになってくれへんか?
ブタ>
自分、アホやろ!
それで
「うん!わかった!丸焼きになったるでー!」
言うブタがどこにおんねん!
サンタ>
なんや、嫌なんかいな。
ブタ>
当たり前や!
嫌にきまっとるやろ!
ボケ!
サンタ>
そうか、嫌なんか。
じゃあしゃあないわ。
他を当たってみるわ。
ブタ>
おう、そうしてくれるかぁ。
ほな、またな。
サンタ>
おう、ほなな。
って、ちゃうわっ!
ブタの丸焼きなんかどうでもええねん!
ブタ>
なんやねん!!
自分が言い出したんやろ!
なんぞ別の用事でもあんのんかいな。
サンタ>
そや。
今夜はクリスマスイブやん?!
ブタ>
そうや、て言うてるやん。
サンタ>
でな、イブ言うたらプレゼントをくばらなあかんわけやん?!
ブタ>
せやな。
サンタ>
そやけどな、うちのトナカイが、風邪引いて熱があるから
プレゼントを配りに行かれへんとかぬかしてけつかんねん。
ブタ>
そうなんや。
自分、一人で配るの、大変やなぁ。
まぁ、せいぜい頑張りやぁ。
サンタ>
おう!
応援ありがとー!
ほななー!
って、ちゃうわっ!
一人で配る気なら、わざわざこんな、
狼が息を吹きかければ簡単に飛んでいってしまいそうな家までくるかいな!
ブタ>
わしは三匹の子豚の一番上のアホ兄貴か!
自分、むちゃくちゃ言うなぁ。
ほな、なんでこんなところまできてん。
サンタ>
自分も勘の悪いやっちゃなぁ。
ほな、ストレートに言わしてもらいまっけどな、
自分にトナカイの代わりをしてもらえへんかなぁおもてな。
ブタ>
え?
わしがトナカイの代わりでっか?
無理無理無理無理。
そんなの無理でっせ。
トナカイの代わりに、サンタと一緒の布団で寝たり、
お風呂でサンタと背中の流しっこしたり、
ご飯をサンタと口移しで食ったり、
そんなことできまへんて!
サンタ>
あほか!
そんなんせんでええねん!
プレゼント配るのを手伝ってくれるだけでええねん!
ブタ>
なんや、そうでっか。
ほな、手伝うと何か見返りでもありますのん?
サンタ>
見返りなぁ。
うーん。
・・・・
ほな、ほっぺにちゅうしたるわ。
ブタ>
ま、まじで?!
わーい!
ほな、やりますよってに!
頑張りまっさー!
サンタ>
なんや、嫌がるかおもたら喜んでんのかい。
ずっこけやのう。
まぁ、獣好きのわしにとっちゃ、嬉しい話やけどな。
言うてみるもんやな。
ほな、早速うちまできてもらえまっか?
ブタ>
ほいほい。
(で、サンタの家)
サンタ>
ただいまー。
ブタ連れてきたでー。
トナカイ>
おかえりなさーい。
ブタ>
おじゃましまーす。
トナカイ>
あ、ブタはん、いらっしゃい。
なぁなぁ、サンタはん、
ブタを連れてきたっちゅうことは、
今夜のメインディッシュはブタの丸焼きでっか?
サンタ>
せやで。
トナカイ>
やったー!
わーい!
ブタ>
ちょいちょい!!
わしを食うたら誰がプレゼントをくばんねん!
ちゃうやろ!
プレゼントを運ぶのを手伝いにきたんや!わしは!
サンタ>
もちろんわしもそのつもりやで。
でもな、わしとトナカイはプレゼントを配り終えた後の話をしとんねん。
ブタ>
あ、そうでっか。
ほんなら別にええか。
って、あかんあかん!
そんなつもりなら帰るで!
サンタ>
すまんすまん。
ジョークやジョーク。
ブタ>
ほんまにジョークか?
サンタ>
ほんまやて。
草食のトナカイがブタを食うわけないやん。
ブタ>
そっか、そやな。
そのとおりやわ。
もう、冗談きついわ。
自分ら。
サンタ>
すまんすまん。
ほな、早速プレゼントを配るための準備でもしよか。
まずは格好からや。
この鈴を首につけてくれるか?
ブタ>
こうでっか。
サンタ>
せやせや。
じゃあ次は頭にトナカイのような角を生やしてくれるか?
ブタ>
おっけー。
ほな、生やすで。
うーん、うーん、おりゃー!どりゃー!
って、生やせるかいっ!
生やせるもんならとっくに生やしとるわいっ!
サンタ>
やっぱ無理か。
ブタ>
当たり前や!
サンタ>
おい!
トナカイ!
トナカイ>
はいな。
よいしょ。
(パカツ)
これを使ってみて。
ブタ>
角、着脱式?
生えとるんちゃうんかったんかいな。
トナカイ>
そんなの当たり前やろ!
象に角が生えとるわけ、ないやろ!!
ブタ>
ええー?!
なんや、自分、象やったんかいな。
どーりで鼻が長いとおもうたわ。
サンタ>
ほらほら、
もうそんなんどーでもええから、はよ角つけーや。
ブタ>
なんやねん。
そんなにせかさんでもええやろ。
ちゃんとはめるからちょいまちーな。
うーん。
なぁなぁ、サンタはん、
この角、でかすぎ!
サンタ>
そんなん象がはめとったんやから当たり前やろ!
ブタ>
いや、そりゃまぁそうでっけど。
うーん、しかも重おうてはめられしまへん。
サンタ>
なんや、はめられへんのかいな。
ならもうええわ。
テンションさがったわ。
ブタ>
はぁ、すんまへん。
サンタ>
ほな、いくで!
ブタ>
え?
行くって?
サンタ>
行くっちゅうたらプレゼントを配りにいくんや!
わかるやろ!
ブタ>
ええ?
もうでっか?
サンタ>
そうや。
これからまだいろいろと準備があんねん。
ブタ>
あ、そうなんでっか。
サンタ>
ほな、いってくるで!
しっかり留守番頼むで!
よろしくな!
トナカイ!
トナカイ>
おっけー!
気をつけていってきてなー!
ブタ>
トナカイて。。。
象やん。。。
サンタ>
おい、ブタ!
何をブツブツいうてんねん。
車庫に行くからちゃんとついてこいよ!
ブタ>
え?
車庫?
車をプレゼントしてくれるんでっか?
わーい!
サンタ>
あほか!
そんなわけないやろ!
車庫にソリがおいてあんねん!
ブタ>
なんやそうでっか。
(で、車庫)
サンタ>
ほら、これがソリや。
立派なもんやろ。
ブタ>
そうでんな。
で、プレゼントはどこに置いてあるんでっか?
ソリはまだ空みたいやけど。
サンタ>
そんなもんここにはないでー。
ブタ>
え?
ないのん?
じゃあどないすんのん?
サンタ>
今から入手しに行くんや。
ブタ>
あ、なるほど。
今から買いに行くんやね!?
サンタ>
買うんちゃうわ!
入手するんや!
ブタ>
え?
買わないで入手する?
誰かにもらうんでっか?
サンタ>
あほか!
今からプレゼントするもんを誰ぞにもろてどないすんねん!
ブタ>
え?
ほなどうしますのん?
サンタ>
盗むんや!
ブタ>
え?
盗む?
盗んだらあきませんやん!
ドロボウですやん!
サンタ>
あほか!
ドロボウちゃうやん!
サンタクロースやん!
後でちゃんと人にプレゼントするやん!
ブタ>
いやいや、後で人にプレゼントしても
ドロボウはドロボウですやん!
サンタ>
なんやんねん!
ほんなら、悪代官から金品を盗んで、
それを貧しい庶民達に分け与えたという
あの伝説のねずみ男もドロボウやっちゅうんかいな!
ブタ>
立派なドロボウですやん!
それから、ねずみ男やのうて、ねずみ小僧ですさかいに。
サンタ>
ねずみ男やろうがねずみ小僧やろうが、
そんなんどうでもええねん!
つべこべ言わずに行くで!
ブタ>
なんでやねん!
いかへんっちゅうねん!
プレゼント配るだけやいうからきたったのに。
そんな、ドロボウするやなんてきいてまへんで!
サンタ>
お礼のチュウはいらへんのかな?
ブタ>
自分、ずるいわぁ。
そんなん言われたらいかんわけにはいきまへんやん。
しゃあない。
行きますわ。
ほな、どこに盗みにいきますのん。
サンタ>
サンタの家や。
ブタ>
え?
サンタの家?
サンタの家はここですやん。
サンタ>
あほか!
ここは偽者のサンタの家や!
ブタ>
え?
にせもの?
にせサンタ>
せや!
にせものや!
ほら、これ付け髭。
ブタ>
あ!
ほんまや!
全然気ぃつかへんかった。
にせサンタ>
だいたいなぁ、トナカイが象やで。
普通はそこでおかしいことに気付くやろ。
ブタ>
ほんまですなぁ。
にせサンタ>
納得したか?
ほな、納得したとこでサンタの家に行くで!
ブタ>
はっはっはっはっは!!!
あーーーーーっはっはっはっはっはっはーーーー!!!
にせサンタ>
な、なんやなんや!
何がおかしいんや!
思い出し笑いか?
その話、もしよかったらわしにも聞かせてーな。
ブタ>
思い出し笑いちゃうわ!
とうとう正体を現しよったな、おもてな。
にせサンタ>
何ー?
自分、ブタじゃないな?!
お前は誰や!
ブタ>
ふっふっふ。
わしか。
わしこそが何を隠そう本物のサンタクロースや!
にせサンタ>
え?
なるほどー。
それでかー。
白いひげを生やして赤い服を着た変なブタやなぁ、おもてたんや。
サンタ>
自分もそれできづかへんて、相当アホやで。
にせサンタ>
それで、その本物のサンタが何故ブタにばけててん?
サンタ>
それはもちろんお前を捕まえるためや!
毎年毎年ひとんちからプレゼントを盗んで勝手に配りやがって!
にせサンタ>
うっさい!
ボケー!
わしが配りたいんやからしゃーないやろ!!
サンタ>
お?!
なんやなんや?!
開き直るつもりか?
ほな、ちょっと警察にきてもらわなあかんみたいやな。
にせサンタ>
別に警察でもなんでも呼んだらええやん。
でもなぁ、その前にひとつ質問させてもらうけどなぁ、
ほんまもんのブタはどうしたん?
サンタ>
食った。
にせサンタ>
食ったって!
自分がか!
サンタ>
そうや、わしがや。
なんぞ文句でもあんのんかい!
ドロボウを捕まえるためやからしゃーないやろ!
にせサンタ>
そうか。
やっぱりお前が食べたんか。
くそー!
ゆるさんでー!!
サンタ>
なんやねん!
なんでブタと関係ない自分がそないにおこってんねん!
ブタ兄貴>
わしはなぁ、自分に食べられたブタの兄貴や!
なんや弟の様子が最近変やから、サンタに変装して
様子を伺ってたんや!
このやろー!
弟を返せ!
トナカイ>
お兄ちゃーん!
ブタ兄貴>
な、なに?
お兄ちゃん?
お前、誰や!
トナカイ>
僕だよ!
弟だよ!
(と言って、象の気ぐるみを脱ぐ。)
ブタ兄貴>
おお!
弟やん!
お前、無事やったんか!
ブタ弟>
うん。
無事や!
ブタ兄貴>
そっか。
それはよかった。
しかし、なんでこんなことに?
ブタ弟>
うん。
最近な、兄貴がちょっと冷たかったやん?
ほんでな、ほんまにわしのことを好きかどうか試してん。
ブタ兄貴>
そうか、そうやったんかいな。
いろいろ心配かけてすまんかったのう。
ほんなら一緒にケーキでも食おうかいの。
ブタ弟>
そやね。
あはははは。
ブタ兄貴>
あはははは。
サンタ>
こらこら!
「あはははは」ちゃうわ!
ほんならわしが食ったブタはなんやってん!
ブタ弟>
それはほんまもんのトナカイさんや。
わしのためにひとはだ脱いでくれてたんや。
それを食うなんてひどいやっちゃなぁ。
サンタ>
そっかー。
それでかー。
どーりで角がノドにひっかかる思たわ。
ブタ弟>
自分、相方のトナカイを食うなんてひどいやっちゃのう。
サンタ>
トナカイやなんて、知らなかったんや。
ごめんなー、トナカイ。
おーいおーい(と泣きじゃくる)。
ブタ兄貴>
泣いてるところすまんけど、プレゼントはどうするん?
トナカイ、おらへんのやろ?
サンタ>
せやせや。
そうやった。
トナカイがおらんことには、プレゼントがくばられへんのやった。
うーん、困ったなぁ。
しゃあないなぁ。
なぁ、ブタはん、
ブタ兄貴>
なんでっか?
サンタ>
今夜のメインディッシュになってくれまへんか?