天災隊

隊長>
隊員の諸君、おはよう。

隊員>
おはようございます。

隊長>
朝からこんな話をしたくはないのだが、
最近お前達はたるんでおる。
そこで今日はこの隊の存在意義というものを再確認していくことにする。
いいか。

隊員>
はい。

隊長>
よし。
それではまず隊員番号1番。
天災隊とは何か、
言ってみろ!

1番>
はい!
我々は、台風、洪水、雷、地震などの天災が発生した場合に被災者の手助けを行い、
天災によるその他の問題を迅速に解決するよう努める集団です!

隊長>
ふむ。そうだな。
では台風の場合にはどういう活動をするのか具体的に述べてみよ。

1番>
はい!
台風は他の天災とは異なり、その災害の発生状況をある程度予測することが可能です。
そこで、毎日ニュースをチェックし、台風が太平洋上で発生していないかどうかを確認します。
そして発生している場合には、台風の進路を確認します。

隊長>
うむ。そうだな。
それからどうする?

1番>
はい。
台風の渦が左巻きなのかそれとも右巻きなのかを確認します。

隊長>
・・・
1番よ。

1番>
はい。

隊長>
なぜ渦巻きの方向を確認する必要があるのかね。

1番>
はい。
まず渦が右巻きだった場合なんですが、
この場合にはいつもと同じなので問題ありません。
ところが渦が左巻きだった場合には大問題です。
なぜ大問題なのかというと、渦が左巻きということはすなわち、
地球が反対に回っているということになるからです。
ですので渦が左巻きの場合には台風の心配をするよりも
まずは地球の回転を元に戻すことに全力を注ぐ必要が出てきます。

隊長>
ほう。
なるほど。
では、地球の回転を元に戻すにはどうすればいいのだ?

1番>
はい。
地球が逆に回転している原因は、
地球の内部に住むマグママンが、逆回転のスイッチをオンにしたからなので
マグママンに、逆回転のスイッチをオフにするようにお願いします。

隊長>
あっ、そう。
マグママンね。
で、そのマグママンにお願いするには地球の内部に潜っていかなければならないと思うけど、
そんなことができるの?

1番>
はい。
実は隊長は知らないかもしれませんが
世の中には携帯電話というものがあります。
何も知らない隊長のために、わかりやすく説明すると
携帯電話とは糸のない糸電話みたいなものです。

隊長>
知ってるよ!
携帯電話くらい知ってるよ!
しかもその糸電話の説明はおかしいだろ!
糸のない糸電話だと、ただのコップだろ!
ただのコップでどうやってコミュニケーションするんだよ!

1番>
あ、そうですね。
糸電話の説明はおかしかったようですね。
どうもすみません。

隊長>
うむ。
で?

1番>
はい。
そしてその携帯電話を使って、マグママンに電話をし、
逆回転のスイッチをオフにするようにお願いします。

隊長>
あっそう。
でもさ、その携帯電話だけど地球の内部には電波が届かないから
マグママンにはつながらないんじゃないの?

1番>
はい。
もしもマグマの都合で電波の状態が悪いときにはマグママンには
つながりにくいと思いますので、その場合には電話ではなく
メールにするから大丈夫です。

隊長>
マグマの都合がよくても悪くても電波の状態は常に悪いと思うけどな。
だからメールにしても一緒だと思うぞ。
メールにしても全然大丈夫じゃないと思うぞ。
メールも電波使ってるからね。

1番>
じゃあ、電報にします。
電報は電波を使ってないからきっと大丈夫です。

隊長>
電報は伝達手段は人だぞ。
電波よりもさらに不可能だろ。

1番>
わかりました。
ではテレパシーを使います。

隊長>
なるほど。
テレパシーね。
そうきたか。
お前、テレパシーなんか使えるの?

1番>
もちろん使えないであります。

隊長>
だめじゃん!

1番>
いえいえ。
大丈夫です。
私は使えないのですが、テレパシーマンがテレパシーを使えるので
テレパシーマンに頼みます。

隊長>
まだマグママンについての疑問が山積みなのに
また新たなキャラが登場しちゃったよ。
で、そのテレパシーマンはどこにいるの?
俺、そんなやつ見たことも聞いたこともないけど。

1番>
はい。
月の衛星であるタイタンにいます。

隊長>
タイタンは土星の衛星だろ!
しかも月は衛星だから。
月の衛星だと、衛星の衛星ってなっちゃうから。
って、衛星の衛星って何?
そんなのないだろ。
あるの?
俺、知らないからさ。
もしそんなのがあるんだったら教えてよ。

1番>
私も知らないです。

隊長>
あっ、そう。
だと思ったけどね。
で、テレパシーマンは何でタイタンにいるということがわかったの?
望遠鏡で見たらテレパシーマンが手を振ってたとか?

1番>
隊長、何を言ってるんですか。
そんなもん、見えるわけないでしょ。
いいですか。
なぜわかったかというとですね、
それは毎晩のようにテレパシーマンがテレパシーで私に語りかけてくるからです。

隊長>
ほう。
なるほどねー。
で、その語りかけてくる内容は?

1番>
はい。
「私はタイタンに独りぼっちで住んでいるけど、とても寂しいよー。
誰か助けに来てくれよー。」
です。

隊長>
ほう。
で、お前は何て答えてるんだ?

1番>
はい。私は、
「まだまだ地球人の文明ではタイタンまで有人宇宙旅行できるほど
発展していないから、まだ助けにいくことはできないけど
そのうちきっと行けるようになるから。
あきらめちゃ駄目だよ!」
と答えています。

隊長>
なんかすごくリアリティに溢れる答えだなぁ。
で、お前がそういう答えをするとテレパシーマンは何と言ってくるんだ?

1番>
はい。
それが、それに対しての返事はないんです。
テレパシーマンからのテレパシーは私に伝わるのですが、
私からのテレパシーは伝わらないようです。
例えて言うと、糸のない糸電話のようなものです。

隊長>
お前、糸電話好きだなぁ。
あのな、いいか?
糸のない糸電話だと受信も送信もできいないから。
例えて言えてないから。
わかった?
じゃあさ、根本的な質問をするけど、
テレパシーマンにマグママンへの連絡をお願いするには
どうやって伝えるのだ?
お前からのテレパシーは届かないんだろ?

1番>
あ!

隊長>
なんだよ。
今気付いたのかよ!
そういうことも織り込み済みで話してたんじゃないのかよ!

1番>
いえ。
気付いたというよりは思い出したのです。
そういうときにはテレポーテーションを使うんでした。

隊長>
おいおい。
またまた簡単に「テレポーテーションを使う」とか言っちゃってるけど
そんなの、お前、使えるの?

1番>
はい。
使えます。

隊長>
だろ?
使えないんだろ?
で、今度はテレポーテーションマンでも出てくるのか?
ん?

1番>
いや、使えるって。

隊長>
え?
使えるの?
っつか、なんでタメグチ?

1番>
すみません。
思わずタメグチでつっこんでしまいました。
はい。
使えます。
以前新幹線に乗った際に、東京でフッと気を失って
気付いたときには福岡にいた、
なんてことがありましたから。

隊長>
それは乗車と同時に寝ちゃっただけなんじゃないの?
だいたい寝すぎだろ、寝すぎ。
東京から福岡まで寝っぱなしって。
普通は途中で1回くらいは起きるだろ。

1番>
はい。
いや、その時は確かに寝てたのかもしれませんが、
私は本当にテレポーテーションが使えるんです。
使えるんです!!!
使えるんですよ!!!
使えるんですってば!!!
ほんとですってば!!!
信じて!!!
信じてくださいよー!!!
信じてくださいよーだよー!!!

隊長>
あー、もう、うるさいな。
わかった、わかったよ、信じるよ。
何の根拠もないのに、勢いだけで信じさせようというお前の押しの強さにびっくりだよ。
だったらさ、そのテレポーテーションを使って
テレパシーマンのところに行ってあげればいいじゃん。
テレパシーマンは毎晩のようにお前に助けを求めてきてるんだろ?

1番>
隊長は考えが浅はかですね。
タイタンなんかにテレポーテーションしちゃうと着いた時点で死んじゃいますよ。

隊長>
えー?
そこの設定はそんなに厳しいの?

1番>
何ですか、「設定」って。
そんなの当たり前じゃないですか。
隊長は私がほんとにテレポーテーションできるって思ってます?
思ってないからそんなことを軽々しく言えるんじゃないんですか?

隊長>
なんかひどい言われようだなぁ。
わかったよ。
悪かったよ。
じゃあさ、テレポーテーションするときには
前もって宇宙服着とけばいいじゃん。

1番>
あのねー、隊長。
宇宙服はいくらするか知ってて言ってるんですか?
宇宙服のような高価なものを
一般庶民の私が買えるわけないじゃないですか。
ちゃんと考えてしゃべってくださいよ。

隊長>
はいはい。
そうだね。
確かにね。
俺が悪かったよ。
じゃあもうテレパシーマンのことはいいよ。
問題はマグママンなんだから。
じゃあさ、テレポーテーションを使えるんだったら
直接マグママンのところにテレポーテーションすれば?

1番>
お前はほんとに浅はかだなぁ。

隊長>
はぁ、すみません。
って、こらこら!
誰に向かって「お前」とか言ってんだ!
思わず謝っちゃっただろ!

1番>
いいですか。
マグママンがいるところはマグマの中なんですよ!
タイタンよりもひどいところなんですよ!
そんなところにテレポーテーションなんかしたら一瞬で蒸発しちゃうんですよ!

隊長>
いや、だってさー、マグママンがマグマの中にいるなんて、
俺、知らないもの。
もしかしたら冷暖房完備の素敵な部屋に住んでるかもしれないだろ?!
いいよいいよ、もう。
はいはい。
だったらさ、お前のテレポーテーションは何の役にも立たないってことじゃん。

1番>
そうですねー。
確かにそうなんですよねー。
うーむ。
困りましたねー。
どうしましょうかねー。
ねぇ、どうすればいいと思います?

隊長>
知らねぇよ!
ドリルマンに頼んでマグママンのところまで行ってもらえば?

1番>
ドリルマン?
ドリルマンってなんなんですか?
そんなのいるんですか?
私が無知だからってバカにしないでくださいよ。

隊長>
くわわーー!
おいおいー!
だったらマグママンっているのかよ!
えぇ?
いるのかよーーーー!!

1番>
あ!
わかりましたわかりました。

隊長>
何だよ。
何がわかったんだよ。

1番>
この問題を解決する方法です。

隊長>
ほう。
わかったのか。
じゃあ言ってみろ。

1番>
はい。
地球が逆回転することは絶対にないので、台風の渦巻きの方向は
気にしないことにしましょう。
これでこの問題は一挙に解決です!
まったくなんでこんな簡単なことに気付かないんですか。
バカですねぇ。
隊長は。

隊長>
そんなことは最初からわかってんだよ!
わかってて聞いてんだよ!
お前、もうクビ!