| みんなで作る 三文小説 |
| この物語は、人から聞いた話や、私の経験によるエピソードなどを元に脚色したフィクションです。 したがって、登場人物や、ストーリーは実在のものとは、全く関係ありません、ただ、好き勝手に 話を作っているだけです。 また、皆さんから頂いたネタを組み込んで行こうと思っていますので、メールでエピソードを頂けれ ば嬉しいです。さて、どんな話になるのかお楽しみに!ただし、突然終わる可能性もあります(笑) |
| <第1話> 人が酒を飲むのには色々な理由があるものだ、高野真由は今日も一人で飲んでいた、と言ってもその店には一緒に飲みに来た友だちが数人いたのだが。 海辺の道路沿いに建てられた白いビルの1階にそのスナックがある、店の中は適度な明るさで落ち着いた感じだが、お客が沢山来ると賑やかな若者の店になり、マスターの機嫌がいいとギターを爪弾いてくれたり、バーボンをおごってくれたりする。 高野がこの店に来るのは酒が飲みたいからだけではではないのだ、彼女 は24歳で結婚しその3年後に別れている、それ以来、何人かの男性と付き合ってきたが、男の子供っぽさに嫌気がさしていた、そんなある日、バイク仲間と海辺の町へツーリングした時にたまたま見つけた店で、マスターもまたバイク乗りである。 店の片隅には古びたピアノが置いてある、しばらく使った様子もない、そのピアノの横でマスターがギターを弾いて歌っていた。 マスターの名前は田端勲、1月に50回目の誕生日を迎えたところだが、40半ばに見える、落ち着いた感じで、いつも周りには若い女性がいるという、羨ましい限りの人物だ。 彼女は、飲みながら小声で言った「もう、ええよ、、。」 田端は歌うのをやめ、彼女の傍にすわった。「今日はどうしたの。」「うん、いつものことだよ、気にしないで。」 二人は、短い会話の中で、お互いの気持ちを読み取っている、高野は初めてこの店に来たときから田端のことを慕い、身の上話をするようになっていた。男とか恋人というより父親に近い感情である。 高野は、厳格な家庭に育ち、今まで家族に人生の悩みなど相談も出来なかったから、話を聞いてくれる田端を父親のように慕い、田端もまた、そんな彼女を愛しく思いやさしく見守っていた。 彼女の「いつものことだよ」と言うのは、酒を飲み、田端の歌を聴いていると、頭の中にあるもやもやが晴れて気持ちよくなるのだが、それ以上聴いていると、悲しくなるのである。 時折、風を伝ってかすかに聞こえる波の音が彼女の心を癒し、酔いに拍車をかけた。 「どうして別れなくてはならなかったのか、、。」別れるときにははっきりとした理由があったはずなのに、年月が経つとその理由も怪しくなってくるのである、高野は、酒を飲み、歌を聴きながら心の整理をしようともがいていた。 波の音が、いつしか小窓をたたく雨の音に変わっていたのを彼女は気づかなかった。 <続く> |