| みんなで作る 三文小説 |
| この物語は、人から聞いた話や、私の経験によるエピソードなどを元に脚色したフィクションです。 したがって、登場人物や、ストーリーは実在のものとは、全く関係ありません、ただ、好き勝手に 話を作っているだけです。 また、皆さんから頂いたネタを組み込んで行こうと思っていますので、メールでエピソードを頂けれ ば嬉しいです。さて、どんな話になるのかお楽しみに!ただし、突然終わる可能性もあります(笑) |
| <第10話> あれから1年、雨降って地固まるとはよく言ったもので、お互いが言いたいことを言いい、結果として理解が深まる、もちろんお互いが好意を持っていることが前提だが。 真由は大学を中退して、京都に帰りその後、森村との結婚を承諾するつもりでいた。 「えぇっ、どういう事になってるの。」 京都の実家に電話で話をしたが、母はびっくりしておろおろしているようだった、それも無理はない、真由は大学を中退して京都に帰ると言うのだ、そして、結婚したい彼がいるというのだから。 「とにかく、一度帰ってきなさい、お父さんとも相談しないとね。」 母は動揺をやっとの事で抑えているようだった。 1年前、初めて大喧嘩をして以来、二人はもやもやしていたものが、急速に消えていくのをお互いに感じていた。 真由は、森で出会った人のことは、いい思い出として心の中に整理できたし、森村は、真由の行動が理解できず不安と不信感が広がっていたのが、いまは良くわかる様になっていた。 相手に気を遣いすぎて必要なことさえ言わなくなって、お互いが辛い思いを我慢していたのだ。 思いやりと、気を遣うことは別問題、恋人や、夫婦の間で気を使いすぎるとかえってギクシャクする、気を遣うことが思いやりと錯覚しているのだ。 真由と森村は、ごく普通の出会いをし、また普通の恋愛経験を経て、結婚という一つのゴールへ向かっている。 ただ、少し違っていたのは真由は自己中心的な性格が極端に強く、そのことを自分自身が気づいていないこと、そして、森村はごく平凡な青年で、男とか女とか、年の上下へのこだわりなどほとんどない性格だが、矛盾は許せないタイプで、この二人がどうして一緒に居るのか不思議なくらい合わないタイプ同士なのだ。 しかし、真由は、この人なら我侭も聞いてくれるし、自分も森村の身の回りのことを喜んでして上げられると思えたし、何よりもお互いにバイクと言う共通の趣味を持っていることがすばらしい事に思えたのだ。 母に話せばびっくりするのはわかってたが、自分で決めたことは、誰の反対があっても押し通すのは、真由が生まれ持った性格だ。 考えてみれば、京都を出るときも、母に辛い思いをさせた、今度もまた、辛い思いをさせるのだろう。 でも、それは、仕方のないことだと真由は考えていた、冷たい女だなぁと思いながらも、自分らしく生きようとすれば必ず誰かが辛い思いをする。 これは、厳格な家で育った真由の性格的なゆがみなのだが、真由は、人生とはそんなものと達観していた。 そして、1年半が過ぎ明日は結婚式という日。 花嫁の父は、書斎で一人で飲んでいた。 子供の頃は素直でいい娘だった、いつから反抗するようになったのだろう、まぁ、それでも結婚すれば親の苦労も解るだろう。 そんな事をあれやこれやと考えながら、目頭が熱くなるのを覚えていた、もう少し優しく接すればよかったか。。。 真由は、母と明日の準備をしていた。 「お父さんと話はしないの」 母が聞いた。 「話をしてもお互いが気まずくなるだけやし。」 「真由はわかってないようだけどね、お父さんはいつもお前の事を一番心配していたのよ、ただ、男にはなんだか大事なプライドがあるみたいで。」 「ふ〜ん、そんなものかなぁ、いつも頭ごなしに押し付けられたみたいだけど。」 真由は、母との会話で少し父が可愛そうになっていた。 「そうだ、こんばんはお父さんと飲もう。」真由はこころの中でつぶやいて部屋をでた。 バーボンのボトルを持って書斎のドアをノックしたのはそれから30分後だった。 「お父さん入るよ。」 「あぁ、真由か、お入り。」父はかなり酔っていた。 子供の頃に何度か入ったことのある父の書斎、黒檀の箪笥が如何にも厳格な性格を現しているような部屋だ。 「なぁんだ、もうすっかりご機嫌ねぇ、一緒に飲もうかと思ったのに。。」 父はびっくりしたように姿勢を正した。 「そうか、嬉しいねぇ、真由が一緒に飲んでくれるのか。」 今までの父とはまるで違っていた、目の前で酔っている父は、厳格さもなく、ごく普通の男だった。 「お父さん、今まで本当にありがとう、、、、。」 真由は自分でもびっくりした、こんな挨拶が出来るんだと。 そして、もっとびっくりしたのが父だった、こんな挨拶が出来るようになったのかと。 「もういいよ、かたぐるしい挨拶は、今晩は飲もう。」 「ん、バーボンか。いつそんな酒を覚えたんだ。」 「大学に入ってすぐ、ごめんね、未成年だった。」 たわいのない、父娘の会話が続いた、真由にとっては初めて本当の父を知った思いだった。 「じゃぁ、ぼちぼち寝るね、お酒、付き合ってくれて有難う。」 「いやいや、じゃ真由、幸せになるんだよ、焦らずに。何事も二人で相談して。」 父は時々息を詰まらせながら、一生懸命思いを伝えようとしていたが言葉にならないようだった。 部屋を出ながら真由は、最後に父が「お前が、母親になっても、お父さんはお父さんだからね。」と言った言葉が頭にこびりついた。 真由が部屋を出て行った後、花嫁の父はバーボンが少し残ったグラスを見つめ、「幸せになれよ真由」と心でつぶやきながら自分の夫婦生活を振り返っていた。 変なプライドが母を苦しめることになったことや、少し素直になればもっと楽しい夫婦生活が送れたはず、解ってはいたが、その時々は一生懸命生きていたのだ。 簡単に総括などできるものではない、今は妻に詫びたい気持ちだが、それはそれで妻の努力をないがしろにすることになる、せめてこれからの人生は妻に楽しく過ごしてもらおう。 花嫁の父は、夫としてやるべきことをしなかった事に今、気付きはじめていた、そして、グラスを傾けまどろんでいった。 <続く予定>
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