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重度化対応リスク  〜住宅型有料老人ホーム・高専賃〜

 

高齢者住宅に対するもう一つの介護報酬の算定方法は、区分支給限度額を利用するものです。平成18年から行われている特定施設入居者生活介護の総量規制によって、介護付有料老人ホームの開設が制限されたことから、住宅型有料老人ホームや高専賃に移行する事業者が増えています。

 この区分支給限度額方式は、介護付有料老人ホームとは違い、当該老人ホーム事業者からではなく、自宅でサービスを受けるのと同じように、入居者個人が外部の訪問介護・訪問看護・通所介護等の介護サービス事業者と直接契約し、介護サービスが提供されます。


すべて包括算定となる介護付有料老人ホームとは違い、利用した分だけ算定される出来高算定であること、また、【訪問・通所】【介護・看護・リハビリ】等の様々なサービスが利用できることから、多様化するニーズに対応することが可能です。

介護付有料老人ホームと比較すると、住宅型有料老人ホームや高専賃には、自立〜軽度要介護状態の高齢者が多くなっています。ただ、述べたように高齢者住宅に入居を検討する高齢者の最大のニーズは介護が必要になった時の不安にありますから、『介護が必要になれば介護サービスが利用できます』『デイサービス等も利用できます』と言ったセールストークが行われています。


しかし、実際には、重度要介護状態になった時にこの介護保険だけで快適な生活を維持するだけの介護サービスを受けることは難しいというのが現実です。『重度化対応』という側面から見た、現在の住宅型有料老人ホーム・高専賃の問題点は、『隙間ケア・臨時ケア』『ケアの連続性』の視点が欠けているということです。


@ 問題T 隙間のケア

『隙間のケア』とは、介護保険の報酬算定とならない短時間のケアのことを言います。

例えば、訪問介護の食事介助は一人で食べられない高齢者に対して、隣に座って介助しながら食べていただくことを目的としていますが、食事中の介助だけでなく、食堂で食べる場合、車椅子への移乗や居室からの移動介助も含まれます。しかし、移動介助のみが必要な高齢者に対しては、介護報酬は食事介助の算定対象としていません。

これは食事介助だけではありません。排泄介助や入浴介助等、ある一定時間が必要な介護サービスの付属以外では、移乗介助・移動介助は介護報酬の算定対象となっていません。車椅子への移乗・移動が一人でできなくなれば、自分の好きなときにベッドへ(またはベッドから)移ることができなくなります。その他、重度要介護高齢者になると、テレビを見たい、電気をつけてほしい、ベッドを上げてほしい等、短時間の細かな介護の連続となります。これらは基本的な生活を送るために不可欠な介助ですが、区分支給限度額方式では介護報酬では算定できず、また誰がやるのかもわからないというのが現状です。

問題U 臨時のケア

2点目は、『臨時ケア』への対応力不足です。ケアプランは一般的に1ヶ月単位で作成・見直しをされていますが、特に、重度要介護高齢者は、日によって体調の変化が大きいため、臨時に必要なケアが多くなります。例えば、定期的な排泄介助をプラン化していても、下痢等で排便のコントロールが効かなくなるときがあります。臨時の対応ができないと、『ヘルパーさんが来るまであと4時間』と不快なままで長時間待たされることになります。

その他、体位交換・汗をかいたので着替えたい等、事前に予定できない、すぐに必要な臨時のケアはたくさんあります。

問題V ケアの連続性

もう一つは、ケアの連続性の不備です。重度要介護状態になると、自分から体調の変化を訴えることが難しくなることから、『今日はいつもより顔色が悪い』『便の色が良くない』等、スタッフが積極的に変化に気づいて、積極的に対応することが必要になります。『毎日3時のみの排泄介助』『週に一度の入浴介助』と、毎回、違うスタッフが行うポイント介助を行うだけでは、疾病や事故のサインを見過ごすことになります。

また、訪問介護サービス事業者のサービスの質が悪く、ヘルパーが食事介助に遅れてくると、『食事は出ているのに食べられない』ということになってしまいます。

軽度要介護高齢者の場合、自分で身の回りのことはできますから、『入浴介助』『通院介助』等のポイント介助だけでも、ある程度対応することは可能です。しかし、重度要介護高齢者になると、述べたような『隙間のケア』『臨時のケア』が増えてきます。出来高算定の区分支給限度額方式は、『食事介助』『入浴介助』『排泄介助』等のポイント介助のみを想定して策定されているのですが、それだけでは重度要介護高齢者の望む『安心・快適』な生活を支えることはできないのです。


この問題に対して、最近開設される住宅型有料老人ホームや高専賃の中には、区分支給限度額方式を基礎としながら、訪問介護サービス事業所を併設させ、ホームヘルパーを常時配置して、『隙間・臨時のケア』に対応するというところもでてきています。

ただ、この新しい取組みも、『外部サービス利用型特定施設』の制度化によって、将来的に規制されたり、集合住宅に対する訪問介護の介護報酬は、減額される可能性が高いと考えています。そのために、将来的には、この高齢者住宅に対する『区分支給限度額方式』の算定は縮小される方向にあると考えています。

 


 

 

 


 

 

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