「まちのことが好きだ」
僕はまちに自分の素直な気持ちを伝えた。
まちは悲しい表情を見せながら。
「他に好きな人がいるの。ごめんなさい」
まちは逃げるように走っていなくなった。
僕はまちを追う、気力すらなかった。
まちの好きな人は誰だ。それが頭から抜けなかった。
次の日、学校でまちと会うと、まちはいつもと変わらない、様子で。
「俊輔、おはよう」
まちは昨日のできごとを忘れたかのような雰囲気だった。
「おはよう」
僕はまちと視線を合わすことができなかった。
授業が始まる。担任の先生がテストにでる、問題を丁寧に教えてくれた。
休み時間になり、僕は急いでトイレに行った。
トイレにいると、同級生が小さい声で。
「まちの好きな人、知ってるか?」
「誰?」
「それが、彩らしい」
「そうなんだ」
僕は同級生の話に頭から冷たい水を浴びたような心境だった。
休み時間の終わる。チャイムが鳴った。
僕は教室に戻るが、同級生の話が頭から離れなかった。
放課後、まちと彩が教室で仲良く会話をしていた。
僕は二人に気づかれないように近づく。
「まち、今日も行こう」
「いいよ」
僕は両手を思い切り握り、二人に話しかける。
「まち、彩、俺も一緒に遊びに行きたい」
「彩、先に約束した場所に行ってて」
「わかった」
彩は僕を睨み付けながら、その場からいなくなった。
「俊輔の気持ちはわかるけど、私は彩のことが好き。だから、ごめんなさい」
「彩は女性じゃないか?」
「私は女性が好き。その気持ちを理解して」
「理解できない」
「俊輔なら私より素敵な人がいるよ」
まちは吹っ切れた表情で、僕の前から走って、いなくなった。
僕は結局、納得できないまま、その場は終わった。
それから、学校卒業後、まちは結婚した。
まちの婚約者は男性から女性に手術した?だった。








まち