披露宴も終えて、二人が出席者を並んで見送っています。
俺は最後まで席を離れたくなくて、会話を交わす新婚の夫婦を眺めていました。
何故だろう、二人が幸せになる事がこんなにも嬉しいのに。
何故だろう、二人はいつものように笑っているのに。
式の最中、ほんの少し垣間見た俺の知らない二人の顔が離れません。
少し泣きそうな自分に、ここで初めて気付きました。
もういい加減行かなきゃ。
答えはわかってる、俺も案外子供なんだな。

並ぶ二人に、俺は精一杯笑って見せました。
「これからも親友だよな?式の途中、まるで知らない奴みたいな顔するから、俺は不安になったよ」
「馬鹿、当たり前だろ?式の時は緊張してたんだって!!」
「そうだよ!ずっと一緒だったじゃん、今更何言ってんの!!」
二人の笑顔が嬉しくて、少し切なかった。


俺は、ずっと三人で一緒にいれると思っていたんだ。
「これから」という未来図の中に、俺もいれると思っていたんだ。
例えどんなに親友でも、お前等は二人だけの未来図を描いていくのを知っていたのに、俺は見ない振りをしていたんだ。
だから苦しいんだよ、お前らが遠くに行くみたいで。
式の時見せた、俺の知らない顔をして先に行ってしまうみたいで。
俺は、お前等の幸せを心から願っているよ。これは本当だ。



だから、今だけ泣くの我慢してる。
三人でいれない事を悲しむ子供のままじゃ、お前らと笑いあっていけないからさ。


END