(2005年6月10日)
雌阿寒岳は毎年一度は登っています。深い森林帯からハイマツ帯、火山火口といった変化のある登山道です。これまでオンネトー手前の 野中温泉から入るコースばかり登っていたのですが、今回ははじめて阿寒湖畔側からのコースをとりました。 |
ちょっと早起きして5時に家を出発。途中コンビニに寄り、お昼のおにぎりと非常食のチョコレートを買った。 国道241号線阿寒湖温泉街を過ぎた付近で、左側に雌阿寒岳登山口の標識がある。そこからダートを約5キロ入る。途中、何箇所かで分岐があるが登山口を指 す標識があるので、迷うことはない。 道路の脇にエゾオオサクラソウの群落が続いていた。 やがて登山口着。北海道新聞社の夏山ガイドにはここからまだ1キロ車で入れるとあったが、どうも登山者名簿入れは移動したみたいで、すぐ車の入れない登 山道になっている。 登山者名簿があるが誰ひとり記入がない。6月の平日、それも早朝から入る人はいないか。 雌阿寒岳に登る場合、ほとんどの人は野中温泉コースを取るので、こちらは入山者が少ないことを予想し、今日はヒグマ対策としていつもの鈴以外にもクマ撃 退スプレーを携行した。 6時30分スタート。 針葉樹林帯の中の登山道を歩くがとても心細く、鈴の音だけでは物足りなくて、時々声を出して進んだ。登山道はよく整備されていたが、あまり人が歩いた痕 跡が見えない。 やがて針葉樹林帯が切れ、行く手に剣が峰の切り立った容姿が見えてくる。右手にはボッケ状の草の生えていない地肌があらわれる。天気はうす曇で、時々ぱ らぱらと小雨が降る。広いハイマツの斜面の真ん中にちょっとした空き地があり、そこで小休止。振り返ると阿寒湖と雄阿寒岳がぼんやりと見える。 登山道にはほとんど雪は残っていなかったが、ところどころ雪渓を横切るようなところがあった。歩行には特に問題なかった。野中温泉コースに比べて勾配は 緩いように感じた。息が上がるようなことはなかった。 ハイマツ帯を過ぎると、剣が峰の脇を通り、だだっ広い火山礫の地帯に入る。中マチネシリ火口の淵を歩く。まるで月面を歩いているような感じ。赤茶けた砂礫 のところどころに赤くペイントされ、コース表示されているが、地形が単調なため視界の悪いときはミスコースしそうだ。 岩陰には高山性の植物の葉が出ているが、咲いている花はほとんどない。今年は全体的に花は遅いように思う。あと半月もすれば、メアカンキンバイやメアカ ンフスマ、コマクサなどを見ることができるはずだ。 正面に雌阿寒岳ポンマチネシリ火口がみえてくる。ここにきてやっと勾配がきつく感じられるが、頂上はすぐそこ。 8時50分山頂到着。山頂は少しガスっていて、阿寒富士も青沼もかすんで、はっきり見えない。頂上は南風が少し強い。 尾根を少し降りたところで休憩。登山者はまだ誰もいない。 阿寒湖側もあいかわらず阿寒湖も雄阿寒岳もぼんやりしている。けっして視界が悪いわけではないのだが。 お昼にはまだ早いので、おにぎりを一つだけ食べ、下山開始。 中マチネシリ火口の淵から剣が峰に寄り道してみる。意外と簡単に登れた。ただピークは岩場になっている。高所恐怖症気味の私には苦手なので、パスした。 (風が強く、余り長く居たくなかったと言うのもある)。 11時30分下山。降りてくる途中、2組のパーティとあった。そのうち一組は登山道整備の作業の人たちだった。 頂上がひとつの同じ山でも、コースを変えると、まるで趣きの違う景観になる。雌阿寒岳の野中温泉コースはぐんぐんと標高を稼いでいく力強い山登りだが、 阿寒湖畔からのコースは標高差もあまりなく、勾配もゆるいので、のんびり山登りが楽しめる。人が余り入っていない心細さはあるが、その分、阿寒の森の奥深 さを感じることができた。 |