(2003年7月27日)
知床半島にある羅臼岳1660,2mは道東でも随一の山です。高山植物の多さ、風景の雄大さ、何をとっても道東の最高峰の風格があります。今回7 年ぶりに羅臼岳に登る機会がありました。
午前4時半ましゅまろを出発。知床横断道路で知床公園線を通り過ぎてしまい、少し時間をロスする。岩尾別温泉の登山口についたのは6時25分でし
た。天候は曇りでしたが、暗くはなかった。木下小屋横で登山者名簿に記帳。後はひたすら歩くのみ。
オホーツク展望台、弥三吉水、極楽平とけっこういいペースで登りました。なかなかいけるじゃん。
羅臼岳に登るのは実は2回目です。前回登ったのは7年前、私はまだ30代の「青年」でした。それがいまや40過ぎの「中高年」になってしまった。羅臼岳登
山のしんどさは前回で経験しています。7年前ですら、下山したときは足があがらなくなっていました。まして今ではいささか体力には自信がありません。だか
ら今回の登山もいけるところまで歩いてみようと言うことが基本方針でした。
7年ぶりに登る気になったのは、近所のN氏が「羅臼岳の花がきれいですよ。今が見頃ですよ。」とそそのかしたからでした。N氏はこの夏すでに羅臼岳に2回
登っています。
林間の見通しの利かない道を歩いていると、時々遠くからホイッスルの音がする。多分熊よけのために吹いているのだろうけど、余り気持ちのいいものではあり
ません。ホイッスルは緊急時に使用するようにしないと意味がないような気がします。
大沢の雪渓あたりからエゾコザクラやエゾツツジの群落が現れ始めました。
いやあ、ほんとに見事ですよ。しばし見とれてしまいました。
このあたりまでは、まだまだ快調で、前を行くグループを追い抜いたりなんかする。
ところで、この日は日曜日だというのに余り登山者の数は多くなかった。前日の天気予報があまりよくなかったからでしょうか。旅行会社系のパーティも一組だ
け。後は中高年の夫婦が多い。どこの山でもそうだが若者の姿を見かけません。今はユースホステルの登山ツアーとかはやっていないのかな。
羅臼平に9時到着。このあたりからは高山植物の連続でとりあえずデジカメに写真を撮りまくる。家に帰ってからゆっくり花の名前を調べることにします。
羅臼平から頂上までは溶岩ドームの岩場をよじ登るようなコース。蛍光ペンキのマークに沿って慎重にコースを取っていきます。山渓のアルペンガイドによる
と、ここはザックをデポして頂上まで往復すると書いてあるのに、誰もデポしていない。ヒグマ対策で、最近はデポしないのか。私もザックを担いだまま登りま
した。国後の見える根室海峡は雲海に覆われていました。
10時頃、頂上付近到着。ここでひとつ断っておきますが、実は私は高所恐怖症というか尖端恐怖症というか、羅臼岳のような切り立った頂上は苦手なのです。
前回は頂上まで到達したものの、立ち上がることができず、這いつくばって記念写真を撮ったものです。そのときの写真の顔は笑っているものの、緊張で顔がこ
わばっていました。
そして、今回も岩場を登り切り、あとは横に移動して行くだけという、後10メートルと言うところで足がすくんでしまいました。行こうと思えば行けたので
しょうが、その場合、頂上で足が引きつってしまい帰れなくなる可能性が大なので、あきらめることにしました。登頂ばかりが登山ではない。それに前回は登頂
もしているし、ここは勇気ある撤退です(これは負け惜しみ)。
実際、岩場を降りている時、足の筋肉は疲労と緊張で、こむら返りのような状態になっていました。何とか手足をうまくつかってごまかしながら降りていきまし
た。同じ時に降りている人に「大丈夫ですか」と声をかけられました。「いやちょっと足をつっちゃって」とたいしたことないふりを装いながら答えました。と
ても恥ずかしかった。そのとき私の脳裏には歩けなくなってヘリコプターで搬送されている自分の姿が一瞬浮かびました。それにしてもいわゆる中高年の登山者
たちの足はたくましいですね。私たちよりひと世代上の50代、60代の人でも、ペースは遅いものの、全く疲れを見せずに岩場を登っていきます。
羅臼平に降りてきてから昼食を取りました。そのとき座っていても、足を曲げると時々痛みが走りました。そこでゆっくり休養を取り、また長い長い登山道を降
りました。大沢から下の道では、疲れてはいたものの筋肉の痛みはおさまりました。
岩尾別の登山口に戻ってきたのは午後2時。下りは休憩も含んで4時間近くかかったことになります。今回の羅臼岳は私の体力の限界ぎりぎりでした。それでも
登ってよかったと思います。
羅臼岳は標高差も1430mあり、歩く距離も長く、それなりの体力と筋力が必要です。また往復で7時間はかかるので、時間的にも余裕のある計画でなければ
なりません。
もし次に登る機会があるとしたら、今度はゆっくり花を楽しみながら歩いてみたいですね。
(註)私はあまり花については詳しくありません。帰ってから花の図鑑をみて、適当に写真に名前を入れました。もし間違いがあったらご指摘ください。