2004.12.26 定期健診

yukiの病気は肺動脈弁狭窄症という先天性の心臓奇形です。

「肺動脈」の入り口にある3枚の弁からなる「肺動脈弁」の根元が癒着をしている為、
弁が充分に開かず、右心から血液をスムーズに肺へ送る事が出来ません。

右心室と肺動脈の圧の差(圧較差)が大きいほど右心の負荷も大きくなります。
今回は圧較差は平均40mmHg程度、右心から肺動脈への血液の流速は3.2m/sと、
数値的にはそれほど変わりはなかったのですが・・・




心臓のレントゲン、肺動脈弁のあたりがうっすら膨らんでいるのが見えます。
これは、血液を肺へ送り出す時に、癒着している3枚の弁が充分に開かない為に、
その部分が膨らむのです(狭窄後部拡張)。

右心室は狭窄にうちかつために、「右心室肥大、右心負荷」を起こします。
心肥大には心臓壁が肥厚して大きくなるものと、心室や心房の内腔が拡張して大きくなるものとがあります。
心臓の筋肉が内腔へ肥大する事も、外側へ肥大する事もあるので、大きさだけでは判断出来ないそうです。
心肥大が進むと心室の内腔が狭くなり、肺への血流が減り、肺が硬くなります。

心臓にかかる負荷が増大するときにみられる現象で、エコーで見ると心臓の内側も外側も肥大して来ているようです。




心電図では、不整脈などは見られず、良好でした。
数値的には変わらないけど、確実に右心がへたって来ているようです。
2歳〜3歳で、このように負荷の結果が表れて来る事が多いそうです。


今後の心疾患の進行で見られる症状は、この病気の場合は咳よりも失神だそうです。



ブーブーする事があって、心臓からの咳かと心配していましたが、
気管虚脱という病気もあり、そのせいではないか?という事でした。
先天的に気管が潰れたように、細くなっています。



主治医の先生、大学院で循環器の勉強をされています。


今日の検査は血液検査(CBC,化学検査6項目)心電図、レントゲン、超音波。
3ヶ月分の薬をもらいました。


参考)この病気の手術について

・開心術
・バルーン法
・鉗子で弁の癒着を破る方法 人工心肺を使う開心手術の費用は100万ほどかかります。
すべてが使い捨ての為で、これは人件費を含まない金額です。
良く牛の処理弁を使うと聞くので弁を取り替えるのかと思っていたら、
そうではなく肺動脈弁辺りの血管を切開して、そこに牛の処理弁を当てて血管を広げるそうです。
肺動脈弁は3枚のうち1枚なくなる形となり、血流はスムーズになっても、
血液の逆流は起きるわけで、根治手術というわけにはいかないようです。

軽度の場合、バルーン法という風船を入れて狭窄部を膨らませる手術もありますが、
再狭窄してしまい、持っても1年とかいう単位だそうで、あまり期待出来ないようです。

血管を切開して、鉗子で弁の癒着を破る方法もあるが、手探りの為リスクも大きいそうです。


2005.7.17 定期健診


病院へ向かう車で・・・すごい喜んでます。
久しぶりの検査でドキドキです。




これは今日の心臓のカラードップラーです。
肺動脈弁が開いている状態の画像です。

左の画像、黄色い点線は肺動脈で、太さは9.7mm。
肺動脈弁が最大に開いている時の状態で、3.1mmしか開かないのがわかります。
普通は、血管の太さに開くそうです。

右の画像は、その時の血液の流れの様子です。
肺動脈流速は2.8m/秒(普通は1m)、圧較差は31.6mmHg(普通は0)。
今回、機械が新型になった為、数値が低く出る傾向があるらしいです。

右心から細い肺動脈弁を通って、肺動脈へ血液を押し出しています。
その為に、血液の乱流が起きて、カラーモザイクが出ています。




こちらは、肺動脈弁が閉じている状態の画像です。
閉じているのに、逆流している様子を表す赤いカラーが出ています。

これは、弁がぴったりと閉じなくてはいけないのに、
閉じていない事を示しています。
「肺動脈弁閉鎖不全」がある事がわかります。

yukiの肺動脈弁は、「開かないし、閉じない」という事です。
肺動脈弁の突出、これは弁が充分に開いていないので、
血液を押し出す時に、膨らんでしまうからです。
レントゲンでも確認できます。



顕著な右心肥大の進行は見られませんでした。
肺は、末梢まで血流はあり、それがレントゲンで確認出来ます。
心臓は肺の末梢の血管まで、、一生懸命血液を送り出しているようです。
あの3mmの隙間から・・・
肺への血流が減ると、肺は硬くなり繊維化してしまいます。


お薬は、心臓の薬、マレイン酸エナラプリル(エナラメルク)4ヶ月分
肺炎の薬は、消炎剤リゾチームと抗生剤ラリキシン。

3週間後に再診です。

2006.1.15 定期健診


今日の検査の結果・・・

肺動脈の流速は通常1mだけど、ゆきはだいたい3m以上です。
弁の狭窄部分は、ホースを潰した時に水が勢い良く出るのと同じ現象が起きています。

その速さが1秒に約3mという事ですが、今回は何度測っても3m未満だったそうです。
良くなる事はないので、誤差の範囲としても進行はしていないようでした。

*参考
圧較差の計算式は、流速の2乗×4
肺動脈と右心室の圧の差で、これが大きいほど、重度になります。



今回の圧較差は、27〜28mmHgくらい。 心臓の肥大も進んでいませんでした。
ただ、前回肺炎?と思われた陰影が相変わらずで、「肺の透過性が悪い」です。

「病態が軽度なので、肺の末端まで血液が通っている」
と思われていたのですが・・・

・肺動脈弁狭窄症(PS)があるのに、血管が肺の隅々まで写るのはおかしい。
・PSと肺の異常は伴う事が多い。

などから、この影は肥厚した血管かもしれないという疑いが出て来ました。
肺の血管の壁が先天的か、PSに伴って肥厚しているのかもしれないそうです。
そうなると、血管の内腔が狭く血液の流れが悪くなり、肺の血管の血圧が上がり、
「肺高血圧症」になってしまいます。
人間でも、原発性の肺高血圧症の治療はとても困難なようです。



3歳9ヶ月になり、心臓の方は落ち着いている状態なので、
検査は1年おきぐらいでもいいかも?という事でした。
肺に関しても経過観察です。

薬は、マレイン酸エナラプリル2.5g/日を半分、変わらずでした。


2006.11.5 定期健診


9ヵ月ぶりの検査でした。

今回の肺動脈の流速は平均2.2m(通常1m)。
圧較差平均17.7mmHg。

前回よりも低い??

レントゲン・・・嫌がったので、まともに撮れず。


これは正常な心電図ですが・・・
QとSではQの方が下に長く伸びています。




今回のゆきの心電図。
QとSが並んでしまいました。





エコーの所見では、心室の中隔の動きが悪くなっていました。
このことから、「リモデリングが起きている」と言えるそうです。

リモデリング=心筋の変化(肥大、繊維化)

やっぱり、常に負荷がかかっているので、進行しているようです。
心筋が厚くなり、心臓の内腔が小さくなれば、心臓は収縮、拡張不全が起きて来ます。



それが流速などの数値が低い原因なのかも??
軽度ではあるけれど、確実に進行はしているようです。
安静、心臓処方食、ACE阻害剤の服用が治療になります。
もうすぐ5歳。
元気で長生き出来るように、ますます気をつけて行きたいと思います。


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yukiはその後、2012年6月に胆管閉塞しもうダメかと思いましたが奇跡の復活。(ブログで記録しています)
胆泥&胆嚢粘液嚢腫を抱え、慢性膵炎、腎不全と闘い、2017年7月に15歳3ヶ月で永眠しました。

1歳未満からの早期の投薬が必要だったのか?個人的には疑問を感じていました。

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